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うめぼっち

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臣桜
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鷹槻れん/鷹槻うなの

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#恋愛
水無月 京
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ありえない甘さの言葉に体を硬直させていれば、ようやく豆さんは体を動かし、次の瞬間私はブランケットごと抱き寄せられていた。
ご褒美も度を過ぎれば、もはや毒だ。頭が全く回らない。
「ごめん」
顔のそばで、さっきから幾度となく聞いた言葉がまた飛び出す。
「今度は何がですか」
「手出さないって言ったのに今こうしてる」
「…これぐらいはきっとセーフです」
毛布越しだし、とやっぱり可愛くないことしか言えない私に、ありがとう、と柔らかく告げる豆さんはどれだけできた人なのだろう。
「さっきのことはきっちり片付けるから安心して。今日は疲れてると思うから、とりあえずもう寝ようか」
豆さんの言葉に、今更自分の疲労を自覚し始める。確かに、今日は色々なことがありすぎた。まあ、もはや今の私はここにきてからの一連の出来事で頭がいっぱいなんだけれど、それは彼には言わない。
「ベッド使って、あっちの部屋だから」
「いやいやいや、それはちょっと無理です」
「無理って何。別に俺はソファで寝るから同じ布団に入ることはないよ?」
「家主さまというか上司がソファというのはますます聞き捨てならない…」
結局、しばらく言い合いをして。
私は無事にソファで寝る権利を勝ち取った。
「もう、意外と強情な子だよね」
ため息をついて、豆さんが「風呂入ってくるね」と浴室に向かって歩いていく。先に風呂に入れと言われて、一番風呂をもらうのは無理だと抗ったことも彼にため息をつかせる原因の1つになっていることは間違いない。
ブランケットに包まったまま見送って、ようやく緊張を解く。さっきから慢性的に酸素が不足していて、何度か深呼吸をすれば少しだけ心臓が落ち着いてきた気がする。
「うーん」
私が足を伸ばしてもまだ余裕のあるソファと、手触りが最高のブランケットと、酔っ払いの私。
そう言えば、私はメイク落としも化粧品も無いんだけど風呂に入って良いんだっけ…?今更の疑問が湧いてきて、虚空を見つめて対策を考え始める。
なのに、あっという間に瞼が下がってきて。
この組み合わせをもってすれば、あっという間に寝落ちてしまうのは必然だろうに、この時の私は気づかなかった。
「弓家さん、歯ブラシならストックあるけど…ってあれ」
だから、残念ながら私は湯上がりの豆さんを目にすることはできなかった。心臓への負担を考えれば、見ない方が良かったのかもしれない。
「本当に無防備に寝るよねー…自信無くすわマジで」
夢か現か、一際強い石鹸の香りと、熱と、振動と。
「もう俺どうしたらいいのよ…」
そんな声が聞こえた気がしたのは、流石に気のせいだろうか。
**
翌朝。
心地よさの中に目を覚ました私が、悲鳴をあげずに済んだのは、これは朝一番にしてその日最大の功績といっていいと思う。
なぜか私は豆さんのベッドの中にいるし、隣には豆さんがいる。
いつも隙のない表情を浮かべている人が、眉間の皺も解いてぐっすり眠っている姿に、全力でときめ…いている場合ではない。
待って。
私は昨日ソファで寝ると言って、豆さんの風呂上がりを待っていたはずだ。服はワンピースのままだし、これは多分寝落ちしている。普通、寝落ちしたら寝る場所は到底移動できないはずで…
「ということは…」
恥ずかし過ぎて想像もしたくないけれど。彼を叩き起こして真相を聞く勇気は無いし、これは何もなかったとして忘れるのが正解?
カーテンの隙間から朝日が差し込んできていて、この明るさは起きるのにちょうど良い時間な気がする。スマホが手元にないから、リビングに戻って時間を確かめようか。
そう思ってベッドの端ににじり寄ろうとした時。
「どこいくの」
背後から、まだ芯の入っていない掠れた声。ひゅっと喉が縮み、体が硬直する。その隙に背後から腕が伸びてきて、私の体は再び布団の真ん中に引き戻された。
「お、おはようございます」
「ん、おはよう」
「起きてたんですか」
「弓家さんが動いた時に目が覚めた、たぶん」
それはすいませんでした、と心臓がバクバク暴れるのを感じながら謝れば、「で、どこいくの。帰るんじゃないよね」と再び問われる。
「時間を確認しようかと思いまして」
「ああ。そんなの」
面倒くさそうに呟いて、豆さんは片腕をほどいてベッドサイドに手を伸ばす。
「ん、6時半」
やべーな寝過ぎたな。
冷静に呟く彼の声は、いつも聞くそれにだいぶ近くて。
豆さんの早起きっぷりは日頃のメールやチャットの受信時間を見ていれば当たり前に理解できるので、もうだいぶしっかりと覚醒しつつあるのだろう。
無防備な姿を少しだけ寂しいなと思いながらも、今日も豆さんは割と忙しいはずだ。朝イチにねじ込んだ打ち合わせのあとは、内部ミーティングを挟んでクライアント訪問が立て続けにあったし、午後はまたパートナー会議も入ってたはず。
「豆さん、朝イチの会議ここから出られるなら、その後の移動時間確保でちょっと打ち合わせのスケジュール変えた方がいいかもしれません」
それとも、耳だけでよければこのタイミングで移動いただければ問題ないかもしれません。それ以外で移動を入れるなら…今?
「こら」
ぶつぶつ呟きながら、豆さんのスケジュールを組み立て直していれば、背後から柔らかい声が聞こえる。
「ベッドの中で、仕事の話しないの。お行儀悪いよ」
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