テラーノベル
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ザザッ、ザザザッ
『No.2ヒーロー、ホークスが失踪してから3日。公安やその他への連絡は無く、恐らくデバイスごと破壊された物と見られます。警察とヒーローは変わらず捜索を続けており、~、、』
『続いて、公安委員会からの見解をお願いします。』
『とても心配です。一刻も早く無事な姿を見せてくれる事を、』
荼毘「よく言うよなァ…。」
傷み気味の黒髪に気怠げな目元。案外整ったパーツを彩るターコイズの瞳を持ったツギハギの男。
彼は所謂「ヴィラン」と吟われる人物である。
後にこの物語のヒーロー。否、真のヴィランと成る男である。
ザザザッザザザザザザッ!!
連日放送されてる、巷で噂の『No.2ヒーロー失踪事件。』警察陣の考えでは悪質な‘’ヴィランによる特殊個性を使った嫌がらせ‘’らしい。
少し前にビルボードチャートに乗ったばかりで今一番勢いのあるNo.2ヒーローだ。狙われんのも無理はない。
俺から言わせて貰えば的外れな考察だが。
興の乗るニュースは特に無かったので、リモコンを手に取り電源を落とした。
トガ「あ~!荼毘くん!!!勝手にテレビ消さないでくださいっ!!」
イカレ女がぷりぷりと怒ってやがる。良いだろ別にテレビくらい。
トゥワイス「つーか荼毘。なんで最近ずっとニヤニヤしてんだ??気持ち悪いぜ…。チョーいかすな!!!」
相変わらずわかんねぇ喋り方だ。
荼毘「いんや別に??。そぉーだなぁ…強いて言えば、」
俺が上機嫌?当たり前だろ。
荼毘「‘’ペットを飼い始めたんだ‘’」
カツ、カツ、カツ、カツ…
荼毘「~♪」
どこかの地下の奥の奥。
誰も知らないその場所に、俺はソイツを隠してる。
長い階段を下れば、
分厚いドア越しに聞こえてくる甘い矯声。ガシャガシャと鳴る金属音。
浮き足立つ気持ちを抑えてドアを押した。
ギィイイイイイ
ホークス「ム゛~ッッ♥️♥️!!///んぐっ////♥️♥️ン゛~~ッッ!!/////♥️♥️」
逃す事の出来ない快楽によって、思い通りに動かない四肢はバラバラ、閉じかけている蕩けた瞳と溢れる滴。
期待通りの姿に充足感が駆け抜ける。
ブーッ…
ホークス「♥️゛ッッ、、////ピクッピクッ///」
今日1日付けっぱなしにしていたまあまあな太さのディルドのスイッチを切り、汗やら涙やらでぐしゃぐしゃになったその愛しい顔に手を添えた。
荼毘「ただいま、啓吾。」
そのまま彼の後頭部に手を回し、口を塞ぐ拘束具をほどいてやる。
ホークス「ッはぁ、!ケホッ///はぁ、、ハァー…、、/////」
いきなり入って来た新鮮な酸素に身体が驚いたのか、少し咳き込みながらも、しっかり呼吸出来ている事に安心する。
荼毘「ごめんなぁ?苦しかったろ。他の奴らにバレちゃ敵わねぇからさ。」
あっこからどんだけ距離があると思ってんだ。声でバレはしねぇよ。
アジト付近に部屋を作ったと嘘を吐いたのは、コイツの動きを封じる為だ。
聡明で思慮深いNo.2ヒーローなら、丸腰でヴィラン連合とたった一人で全面戦争をする様な気は起きないだろう。
なにより、俺は嘘を吐くのが得意なんだ。
虚ろな瞳で力なく項垂れるホークスの拘束を解いて、汚れてしまったシーツごと姫抱きにして風呂場へ向かう。
途中、疲労で眠気が襲って来たのか、愚かな鳥は俺の腕の中で眠ってしまった。
あーあ、良いのかよ。天下のヒーロー様がこんなヴィランに身を任せて。
最初の内はこんな事絶対無かった。
立派な進歩だ。躾が上手く行ってる証拠だな♪
ーーーーーー三日前ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
荼毘「よ、おはよう。」
ホークス「…は、、??」
荼毘「なにボサットしてんだ?ホラ、朝飯。ゆっくり食えよ。」
美味しそうな朝食だ。トーストに目玉焼きを乗せて、彩り豊かなサラダにコーヒーまで付いて、コイツ、料理出来たっけ、???
寝惚けた頭にスイッチが入るまでには少し時間を要した。
脳がクリアになっていくのが怖い。なんだこの状況。考えたくない。
昨夜の記憶が無い。確かヒーロー業務を終わらせて、委員長への報告メッセージをデバイスに…
ダメだ、思い出せない。てかなんで居るんだよお前。
思わず頭を抱え…ようとした。そう。‘‘しようと’’
いや、落ち着けホークス。余りの多忙で脳が疲れてるのかもしれない。
この状況から察するに考えられるパターンは3つ。
一つ、ここは荼毘の家で、俺は信頼を勝ち取って招いて貰った。
二つ、ここは何処かのホテルか何かで、道端で倒れて居た俺を荼毘が拾った。
三つ、呼び出し場所がいつもと変わった、?
全てピンと来ない。
スパイがバレたとか、今から消されるとか、考えては見たけれど違う気がした。
だってそうだろう??
荼毘「どうした?体調でも悪ぃのか??」
仮にも今から殺す男を前に、こんな慈愛に満ちた目を向ける男が居るか。
不気味な程優しい。キングサイズベッドにシルクのシーツ。異常に着心地の良いパジャマはなんだ??
何より不可解なのはこの動き辛さだ。
荼毘「嗚呼そっか。」
ジャラッ…
荼毘「‘‘ソレ’’付けってと、食うもんも食えねぇか。笑」
荼毘がシーツを捲り、ホークスの全貌が解る様にした。
何かで縛られているとは思っていたが、今一度自分の状態を確認するとゾッとする。
なん…だコレ、?鎖…?
先程頭を抱えずに済んだのはコレのお陰か。
(↑勿論イヤミ♥️)
両手首を前でまとめた手錠の様な物を付けられていて、辛うじて指先を動かせるくらいの自由度しか無い。
ご丁寧に足枷までついていて、動きづらい様にする為の鉄球もセットだ。ベッドサイドに括りつけられていて、部屋の中は自由に動ける様になっている。ギリギリ出口には辿り着けない様設定している所タチが悪い。
困惑が治まらない。この際本人に聞くのが一番速いかも知れない。
荼毘「しょうがねぇ、俺が食わせてや…」
ホークス「ちょ、ちょっとまって、、??なに?この部屋。それに…手錠なんて…なんか怒ってるの??」
荼毘「…そうだ!プレゼントがあるんだった。」
投げた質問に帰って来た答えが的外れ過ぎて恐怖心を抱く。
当の本人は腰掛けていたベッドから降り、鼻唄混じりにローテーブルの引き出しを漁っていた。
荼毘「おっ、あったあった♥️」
嫌な予感しかしない。
ホークス「ねえ荼毘、?話を…」
ヌッ…!
影を持った荼毘が両手を俺の首元に伸ばしてくる。
抵抗のしようも無い今、大人しく身体を強張らせていると、首が何かに包まれる感触と共に、カチッ!っとやけに軽快な音が鳴った。
恐る恐る目を開けると恍惚な表情を浮かべた荼毘が居た。
荼毘「良く似合ってるぜなんばーつー♪」
そう言って手鏡を渡して来たので首元を確認すると、俺の首には彼の瞳そっくりの、ターコイズブルーの首輪が嵌められていた。
首輪って…しかもリード付き、??首元から伸びる紐に呆気に取られていたのも束の間、ある方向にグイッと引っ張られて驚く。
思わずよろけた身体を受け止めたのは引っ張った本人で、顎を捕まれ目を無理矢理合わされられた。
荼毘「ほんっとアイツら(公安)どうかしてるぜ。こんなモン外に出すなんて勿体無ェ…」
敵である対象に割れ物を扱う様に優しく頬を撫でられている現状に明確な恐怖を抱く。
その時荼毘は、言い表し様も無いくらい凶悪な顔でこう言った。
荼毘「鳥を飼うなら、‘’一生籠の中で‘’愛でるのが定石だよな♥️」
これが三日前、俺が遠回しに飼い殺し宣言をされた日だった。
つづく。
コメント
5件
ブクマ失礼します!! 続きが楽しみです!
またっこんなっっ最高なぁぁぁっっ
この作品最高すぎます!!やっぱ荼毘ホーいいっすよね〜!!グッチャグチャなホークス、、、、うへへw((キモすぎるすみません))次話も楽しみにしてます!!!!