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『群青色の心中』〜貴方となら海の底まで〜
第9話 『想いを花に込めて』
『粋なことをするっすね。主様も。
クスッ。俺じゃなきゃわからなかったっすよ。』
『ボスキ。これを見てもお前の決断はまだ揺らぐか?主様をあのままにしたいと、思ってるか?』
『揺らがねぇ。必ず、主様を元に戻して俺のものにする。』
『ふふっ。流石ボスキ。頑張ってね。俺達はいつでも応援してるから。』
『頑張れよ、ボスキ。』
『主様と幸せになるっすよ。』
『お前ら…。……あぁ。ありがとな。』
俺は四葉のクローバーを握り締める。
『メリアさん、そのネックレス綺麗ですね。ゼラニウムでしたか?』
『…クスッ。えぇ。私の一番好きなお花です。可愛くて、綺麗で儚いようで…。』
私はネックレスに触れる。
私のこれを暴いていいのは貴方だけなのよ。
ボスキ。気付いて。私の……。
花に込めた想いを。
私はヤーラン様と別れ、屋敷へと帰る。
『おかえりなさいませ、お嬢様。』
『ただいま戻りました。お父様はいないのかしら。』
『旦那様はお仕事がお忙しいので数日は戻らないそうです。』
『……。』
『…お嬢様。夜、時間をくださいますか。私…そして、ボスキさんから話があるんです。』
『!』
マルメロはまっすぐ私の目を見つめた。
『今しか話せないことです。お嬢様。』
『……分かりました。』
私はお嬢様を屋敷の外に連れ出す。
『お嬢様。もういいんですよ。元に戻っても。』
『……なんのことでしょう。』
『そのネックレス…ゼラニウムですよね。
白いゼラニウムの花言葉は偽り。お嬢様は偽っておられます。自分を。本当はまだ諦めてないんですよね。旦那様に抗うこと。そして――。』
ガサッ。俺は草陰から姿を現す。
『ボスキさんのこと。』
サァァァ…。秋の夜の肌寒い風が私と頬をかすめる。
『ボスキ……。』
『メッセージを残してくれたんだな。俺にわかりやすいように。俺じゃなきゃ分からなかった。』
『わざと見せつけたんですよね。お嬢様。』
『…クスッ。流石ね。私の担当執事と側近のメイドには簡単過ぎたかしら。』
私はネックレスに触れる。
ブチッ!
ネックレスを引きちぎる。
『偽りの私はもういない。これは仮の姿。お父様を欺くための…偽りの私。』
『いつもの主様だな。』
『私はずっと信じてました。こんなのお嬢様じゃないって。良かったです……お嬢様。』
『心配かけさせてごめんなさいね。マルメロ。』
『いいんです。それより、お嬢様。今は伝えることがあるんじゃないですか?』
私はボスキに視線を移す。
『っ…。』
『お嬢様。素直になるなら今しかありません。お嬢様の素直な気持ちを…ボスキさんに伝えてあげてください。』
マルメロは屋敷へと戻っていく。
2人きりの静かな空間に風と鼓動の音だけが騒がしくなる。
そして、重い口を開く。
『ずっと…貴方に触れたかった。でも、この形でしか貴方を守れなかった。』
私はポロポロと涙を流す。
『貴方が私の前から居なくなるのは耐えられない。貴方が傷付くのは嫌だから。』
『主様……。』
『私…ボスキのことが好き。大好きなの。 』
私はボスキの胸に飛びつく。
ギュッ…!
『俺もだよ…。主様。大好きだ。他の誰より、ずっと……。』
『ん……っ。』
お互い見つめ合いキスを交わす。
『愛してる。メリア。』
『私もよ。ボスキ。』
お互いの愛を再確認するようにキスが続く。
『私はお父様の目を欺く。結婚式当日まで、怪しまれず、強かに。』
『あぁ。俺もだ。いつか幸せになれる日を望んで…。』
『『約束だ。\よ。』』
2人で指切りを交わす。
2人でギュウっと抱きしめ合う。もう二度と話さないように。お互いの愛を忘れないように。
と、その時――。
『何してるんですか?お嬢様。ボスキ。』
『っ!ソウマ…。』
『申し訳ございません、お嬢様…屋敷に戻ろうとしたら引き止められてしまって…。』
『……。』
『お嬢様――。』
ソウマは私に手を伸ばそうとする。
『主様――っ!』
スっ。
『今までの非礼をお許し下さい。メリアお嬢様。』
ソウマが主様の前に跪いた。
『『え?』』
『……クスッ。どうしようかしら。』
私はニコッと微笑む。
次回
第10話 『敵を欺くにはまず味方からと』