『群青色の心中』〜貴方となら海の底まで〜
第10話 『敵を欺くにはまず味方からと。』
『お嬢様、話してなかったんですか?』
『2人が混乱するでしょう。落ち着いてから話した方がいいと思ったの。それに…敵を欺くにはまず味方からというでしょ?』
『お嬢様、どういうことですか?』
『……最初から、ソウマは私達の敵じゃないわ。むしろ味方よ。ソウマにはお父様の奴隷を演じてもらっていた。そして私には厳しい執事のふりを。全部私の為に厳しい稽古をしてくれたの。フェンシングはいざと言う時の護身術。ピアノやダンスはただのままごと。私とソウマはずっと演じていただけ。お父様にとって都合のいい存在であるために。』
『私はお嬢様には幸せになって欲しいのです。お嬢様には本当に好きな人と添い遂げて貰いたい…それが私の願いであり、夢でもあるんです。』
『ソウマ…。』
『フッ…。それなら安心しろ。俺が主様を幸せにする。もう離すつもりもねぇ。』
ボスキは私の手を握る。
『ボスキ……。』
『では、改めて申し上げます。今までご無礼、どうかお許しください。これから先はお嬢様を守る執事として旦那様からお守りします。 』
『えぇ。よろしくね。ソウマ。』
『でも、お嬢様は来年ヤーラン様と結婚をすることになってます、それをどう回避するか……。』
『それ以前にまず、結婚式当日まで演技をし続けなければなりません。旦那様に怪しまれないよう、細心の注意を払ってください。私達の本当の戦いは結婚式当日です。』
『あぁ。主様。どうかそれまで耐えてくれ。必ず俺が守る。』
『えぇ。私はボスキを信じてる。それに、2人のことも。ね。』
『お嬢様…。あ。そうです、お嬢様、残りのクローバーの1つ、渡しましょう。』
『そうね。ソウマ。これ。』
私は四葉のクローバーの宝石を渡す。
『これは…。』
『クローバーは1つ1つ花言葉があるの。それは1つ目の葉。花言葉は「困難に打ち勝つ」「開拓」「始まり」よ。困難に打ち勝って貴方に道を切り開いて欲しい。ここからが私達の始まりで、原点。貴方に相応しいわ。』
『お嬢様…。』
ボスキとマルメロは自身のクローバーの宝石を取り出す。
『これが4つ揃ったら……花言葉は『約束』
必ず。成し遂げましょう。』
『私はお嬢様を笑顔にする為に。』
『俺は主様を幸せにする為に。』
『私はボスキと幸せになる為に。』
『お嬢様……。では、私は……お嬢様を守る剣と盾に。』
『『『『ここに約束します。』』』』
4人で月夜の光にクローバーをかざす。
4人はニコッと微笑む。
『では、夜も遅いです。お部屋に戻りましょう。』
『おやすみなさいませ!お嬢様!』
『えぇ。おやすみなさい、2人とも。』
『主様、行くぞ。』
『うん。』
ボスキの手をぎゅっと掴む。
次の日――。
『おはようございます。お嬢様。』
『おはよう、マルメロ。お父様は?』
『先程戻られました。食堂で先に食事なさってます。』
『いつもは一緒に食べるのに……余程疲れてるみたいね。まぁその方が好都合だけれど。』
私は食堂に向かう。
『おかえりなさいませ、お父様。お仕事が立て込んでいるようで。』
『あぁ。そうだな…お前とヤーラン様との婚約の準備やらで忙しいな。まぁいい事だが。』
『ふふ、お母様にも見せてあげたかったです。私の花嫁姿を。』
『……。』
『お父様。1つお願いがあります。』
『なんだ?』
『……ウエディングドレスは私の好きな物を選ばせてください。』
『!』
『お父様が選ぶのも素敵ですが、一生に一度の結婚式です。私の好きな物を着させていただけませんか?』
『メリア……。分かった。結婚式の日はお前の好きにしなさい。好きなものを着て、好きなものを食べて過ごすといい。』
『ありがとうございます。お父様。』
私はお父様に頭を下げる。
言質はとった。お父様も哀れ。私が貴方の思いどおりになると思ったら大間違いだ。
さぁ、今日も私は――。
偽りの姿で笑うんだ。
次回
第11話 『誓いを立てさせてくれ。』






