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【第13話:美桜】  


バイトが終わった帰り道、私は奏斗と並んで歩いていた。  


「今日もお疲れ。」  


「先輩も、お疲れさまでした。」  


大学生の先輩と高校1年の私。年上だからって気取らないし、いつも落ち着いていて優しい人。バイトを始めたばかりの頃、私がミスばかりして落ち込んでいたときも、「誰でも最初はそんなもんだよ」って笑ってくれた。その言葉が、すごく救いになった。  


私は、いつから先輩のことを意識し始めたんだろう。  


そんなことを考えていたら、不意に先輩が足を止めた。  


「美桜。」  


名前を呼ばれて、ドキッとする。  


「えっ…?な、なんですか?」  


「ちょっと、話したいことがある。」  


そう言うと、先輩は少し真剣な表情になった。私はなんとなく、これから言われることを察して、心臓がドキドキし始めた。  


「俺、ずっと前から美桜のことが好きだった。」  


「――え?」  


耳を疑った。今、なんて?  


「…好き、ですか?」  


「うん。美桜は優しくて、一生懸命で、話してると落ち着くし…。気づいたら、君のことばかり考えるようになってた。」  


私の頭は真っ白になった。  


先輩が、私のことを?  


「……。」  


急すぎて、言葉が出てこない。まさか、こんな風に告白されるなんて、全然思ってなかった。嬉しい、はずなのに、なんだか胸がいっぱいになって、何を言ったらいいのかわからない。  


「急に言ってごめん。でも、美桜がバイトを頑張ってる姿を見て、気持ちを伝えたくなったんだ。」  


先輩は静かに言葉を続ける。  


「すぐに答えを出さなくてもいい。美桜の気持ちが聞きたい。」  


私は、俯いて手をぎゅっと握りしめた。  


「……私、こんな風に告白されるなんて思ってなくて…。本当にびっくりしてて……。」  


「そっか。」  


「だから、その……ちょっと、考えさせてもらってもいいですか?」  


そう言うのがやっとだった。  


先輩は優しく微笑んで、「もちろん。」と答えた。  



家に帰ると、リビングでは萌音お姉ちゃんがくつろいでいて、ありさと大和が何か言い合っていた。  


「おかえり、美桜。なんか顔赤くない?」  


「え!?そ、そんなことないよ!」  


「怪しい~。もしかして、バイト先で何かあった?」  


萌音お姉ちゃんの勘の良さに、私は余計に慌てる。  


「な、なんでもないよ!ちょっと疲れただけ!」  


慌てて自分の部屋に逃げ込むと、ベッドに倒れ込んだ。  


(どうしよう…。私、本当に奏斗のこと……。)  


考えれば考えるほど、わからなくなる。  


でも、ひとつだけわかることがある。  


先輩のことを思うと、胸がドキドキする。  


…この気持ち、ちゃんと整理しないと。  


そう思いながら、私はそっと目を閉じた。  

真田家の恋事情〜恋の結果がどうであれ、常に全力で私たちは悩み続けます!〜

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