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ほんの少し焦らしてから、彼は腰を動かしはじめた。じわじわと快感が侵食していく。堪らなく熱いのが中を擦る。
「平気?」
「ッ…うん」
優しい律動は次第に変化して奥を突く。悦を食むように、どこか獰猛に。
「はぁッ…はぁッ…あッ……ああッ」
背中を仰け反らせて逃れようとすれば腰を掴まれて引き戻される。その触れる手つきの優しいこと。
「ん…うう、待って…ッ」
「やだ。待たない」
全身を貫く快感に身悶えするも彼が追い打ちをかけるように責め続ける。抜き挿しされるたびに腰が勝手に動いてしまう。
腹が精液で汚れる。太ももまでしかない足をばたつかせるが、力が入らないために対した抵抗にもならない。
ぐぷ、ぐぷと中を掻き乱されて蕩けそうになるのを必死に堪える。
「あッ…あッあッ…ッ」
切なく声を上げるしかない。奥を突き上げられるたびに目の前で火花が散る。
堪らず腕を伸ばした。二の腕から先のない何も掴むことの出来ない腕。
「ッ……ろうッ」
無意識のうちに名前を呼べば熱を帯びた目がパチりと合う。長く彼の目を真っ直ぐ見られなかったのに。鋭く済んだガラスのような目は、熱に浮かされながらも慈悲に満ちていた。彼が怖いとは思わなかった。動きが止まる。
「また、くっつきしながらにしよっか」
聞いたことのない甘い声が鼓膜を揺らして脳が痺れる。その声で何故か心が安らいで、何故か懐かしかった。彼のこんな声を聞いたことなんてないのに。
彼はその腕の先端に優しく触れて背中へと腕をまわす。手を握るような動作に胸が苦しくなった。
緩慢な動作で、あまりにも愛おしそうに抱き寄せてくるからただでさえ煩かった心臓がいっそう強くはねた。
だってこんなの、まるで恋人にするみたいで。
抱きしめられながら揺さぶられるようにして中を擦られる。
「んんッ…んッ…うあッ、ああ」
声を上げるたびに頭を撫でられる。あの時と同じように。
あの時と違うのは口を押さえる手がないこと。彼の腰に絡ます足がないこと。涙が零れる理由が快感と罪悪感と切なさだけではないこと。
やめてよ。そんなに優しくしないでよ。俺がどんなにお前のこと傷付けたか。その罰が下るものだと思ったのに。
辛かった思いを乱暴にぶつけるようにして抱いてくれたらどれだけ良かったか。
「ぁッ…やだ、やだッ」
侵食する快感に喘ぎ、首を振る。それなのに彼はまた包み込むようにして頭を撫でる。
やめて。こんなの、許された気になってしまう。違う。俺なんか許されちゃいけない。何回お前に傷付いた顔させたか。あんな言葉を純粋に捉えてに紡ぐなんて。当て付けにして欲しかった。やめて。ただただ愛そうとしてるなんてそんなの___。
「好きだよ」
頭が真っ白になった。
抱き締められながら耳元で静かに聞こえた言葉。まるで考えていたことを見透かしたかのようなタイミングで言われたから一瞬呼吸を忘れてしまう。
求めちゃいけないのにずっと求めていた言葉。
涙が出るくらい苦しいのに同じくらい幸せだなんて思ってしまった。
俺が泣いていると分かると彼は更に甘やかすようにして体を重ねてきた。
こんな夜なら明けないでいて欲しいと愚直にも願ってしまった。
再生細胞についてのデータ
氏名 星導 ショウ
オトモの加護により体の一部が欠損しても完全に元に戻るほどの脅威の再生力を持つ細胞を持ち得ています。
(中略)
今回、激しい圧力を受けた四肢を手術により以下を切断。
・右腕 肩から先
・右足 太ももから先
・左足 同上
握り潰されたと推測、いずれも骨まで粉々に砕けており原型を留めていない。
左腕の二の腕から先は自ら切断したとのことで切断面は切断した四肢のダメージの少ない部分の皮膚を移植し、縫い合わせて処置。
(中略)
コメント
怪我がここ2年ほどで高頻度になり、治療回数、細胞の再生回数が多くなっています。
現時点で細胞に異常は見られませんが、細胞の超再生能力がどれほど維持出来るか定かではありません。今まで再生出来ていたから、という慢心はしないで下さい。
オトモの加護とはいえ、生物である以上、衰えやこれまでの蓄積ダメージは何かしらの形でいつか出現すると考えます。
職務上難しいかと思いますが、 無理は禁物です。
自分を大事になさって下さい。