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< pnside >
rd「ぺいんと〜?」
pn「ん?」
rd「きてきて」
pn「うん … どうしたの?」
rd「隣座って」
pn「うん 、 分かった」
2週間ほど前まではこの辺りの景色を暖色に染め上げていた紅葉は気づくと姿を消していた。
首元を通る風は少し冷たくなっており近いうちに来る冬の訪れを知らせているようだった。
和を感じさせる家ならではの縁側に2人揃って座り込みそんな景色を見つめていた。
pn「もう11月だね」
rd「ね、ついこの間ぺいんとの誕生日お祝いしたばっかりなのに」
pn「体調崩してごめん 笑ヾ」
rd「変わり目だったし仕方ないよ」
rd「それに 何も無くてよかった」
一息ついてからそう言った彼の横顔には少しばかりの切なさと嬉しさが感じられた。
同棲を初めて1ヶ月と少しが経つけれどいつも俺の身体を心配してくれて俺もなんだか申し訳なくってしまう。
5月にらっだぁと出会って半年。俺の余命は持ってあと2ヶ月ほど。1月が終わる頃にはもう俺の命はない。そんなことは7月に彼に余命宣告を打ち明けるよりずっと前から知っていたけれどいざ近くなると怖くて仕方ない。
俺は元々体が弱かったしそれは父親譲り。
父と同じ病気にかかった時もなんとなく自分もそうなると思っていたから別になんとも思わなかったし、あの頃 俺は父に散々病院に行けと言っていた。けど結局俺だって周りに心配されても病院には中々行かなかった。
心のどこかで病気なのを分かっていたんだ。分かっていたからこそ診断されたくなかった。きっと父も同じ気持ちだったんじゃないかと思っている。
手術をしても必ず助かるという保証はない。それなら最初から手術なんか受けなくていい。
俺は医師にそう冷たく吐いて余生を楽しむことを選んだ。
この場所で。この田舎の静かな街でのんびり生きて呆気なく死にたかった。
らっだぁ。彼に会ってから俺は変わった。いつの間にか生きたいと思ってしまっていたのかもしれない。
この先も、ずっとらっだぁと幸せに暮らしておじいちゃんになって死にたいと思うようになっていた。
rd「この間さ、桜の話したの覚えてる?」
pn「うん、覚えてるよ」
rd「この辺りの桜本当に綺麗でさ〜 、 ほら、紅葉の時もここら辺綺麗だったでしょ?
桜はもっと綺麗なんだよ」
pn「そうなんだ」
rd「俺ね、ぺいんとにその景色見せたい…ていうか一緒に見たいんだ」
pn「 … 」
言うか言わないか悩んだ。でもきっと言うしかない。言わなければいずれらっだぁを悲しませてしまう。
pn「…でもさ、俺その頃まで生きられるか分からない 」
pn「…というか、生きられないから…」
< rdside >
ぺいんとのその発言に俺は胸が苦しくなった。
咄嗟に彼の方を見ると俯いていて悲しそうな表情を浮かべていた。
何も考えずに言ってしまったんだ。ぺいんとが生きる励みになるんじゃないかって。
でも彼は半年の命なんだ。もう半年もないけれど。
rd「ごめん」
pn「俺1月が精一杯なんだって…病院の人もすごく謝ってきたけどさ、謝っても何も変わらないのにね」
rd「俺…そんなつもりで言ったわけじゃなくて…」
pn「大丈夫、知ってるよ」
pn「本当に俺と見たいって思ってくれてるんでしょ?」
rd「うん…」
pn「そんな顔しないでよ 笑ヾ」
pn「別に傷ついてないし気にしてないよ」
pn「それより、らっだぁの誕生日もうちょっとだし !! 何か欲しいものある? 」
pn「俺があげられるものなんて限られてるけど….さ、」
欲しいもの。
俺が欲しいものはぺいんとにしか作れないもの。
rd「ぺいんとの日記が欲しい」
pn「え、日記?」
rd「うん 」
pn「そんなものでいいの?」
rd「そんなものなんかじゃないよ」
rd「何書いてるか気になるし、思い出じゃん」
pn「本当は1月に渡す予定だったけど…らっだぁのお願いなら聞いてあげますよ〜」
rd「ありがとう 笑ヾ」
pn「誕生日メッセージも書いちゃうからね」
rd「楽しみにしてるね」
それでもやっぱり先程の会話が頭から離れない。
もう2ヶ月程しか一緒に過ごせない。
こんな言い方をしてしまって悪いとは思っているけれど正直なところ俺がぺいんとの命を救ってあげられる可能性なんてわずかしかない。
変に希望を持つよりも現実を受け止めないと行けないんじゃないかと思っている。
でもやっぱり俺はぺいんとが居なくなってからの自分を想像できない。想像したくないと言うのもあるんだろうけど。
ぺいんとに対して恋心を抱いてしまった以上避けられないのかもしれない。
彼が死んでしまったら俺の恋は絶対に叶わない。付き合っていても愛する対象が居なくなってしまうとそれはすごく辛い。
なんなら付き合った方が失った時の喪失感は大きい。そう思ってぺいんとは俺の告白に断ったんじゃないか。俺の事を考えて。
pn「…..?」
pn「….来年も、」
rd「..?」
pn「や、やっぱり紅葉綺麗だった し来年も見れるの楽しみだなぁ〜〜 !!」
俺が険しい顔をして考えていたからぺいんとは気を使ってそう言ってくれた。
桜ではなく紅葉で言ったのもきっとわざと。
pn「ね?らっだぁ」
rd「うん、楽しみだね」
俺の気持ちは大きくなるばかり。
コメント
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うわぁぁぁぁぁクライマックスになってきぁぁぁぁ!!!pnさん!!どうかご無事で!!(ちなみに私が推してるのはハッピーエンドです←何情報)ですから、!!ハッピーエンドにしてくだせぇ…!!🙏🙏