テラーノベル
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< pnside >
pn「らっだぁ〜〜〜!!」
rd「ん?なに?」
pn「誕生日おめでとう!!」
rd「え、ありがとう」
夏の騒がしさは消え去り外は冷たい風が吹いている。
あんなに暑かった10月下旬も、気づけばどこかへ行ってしまって、早く消えて欲しかったはずなのにどこか寂しく感じてしまう。
今日はらっだぁの誕生日。
いつもは夜に日記を書くけれど誕生日プレゼントを渡すのも夜だったから仕方なく昼間に日記と誕生日メッセージを書き上げた。
俺の日記が欲しいなんて変わったことを言うなぁ、なんて気持ちと、俺が彼に恋心を抱いてから半年の事を全てバレてしまうのが少し恥ずかしくもある。
pn「らっだぁの誕生日お祝いできて嬉しい!!」
rd「俺もぺいんとに祝えてもらえて幸せだよ」
pn「なにそれ … 笑ヾ //」
照れ隠しをするように笑えば彼も同じように柔らかい笑顔を俺に向けてくれた。
誕生日プレゼントを背中に隠しながら彼に向かって俺の前へ座るよう言った。
らっだぁはにやりと笑って、なにかあるの?と楽しみそうな表情を浮かべていた。
pn「…あの、これ、…誕生日、プレゼント」
渡す時に言おうと思っていたセリフが頭から飛んでいってしまってダサくなる。
めちゃくちゃ噛んだし顔熱いし…きっと耳まで赤くなっているだろう。
だってらっだぁがあまりに真っ直ぐ見つめてくるものだからこっちも恥ずかしくなってしまったのだ。
rd「….日記?!」
rd「俺が欲しいって言ったの覚えててくれてたの…?」
俺がらっだぁの目の前に日記を出すなり彼は目を瞬かせて受け取った。
特になにか仕掛けがある訳でもなくただリボンで結んだだけの本のような日記の外観をじろじろ見るものだから俺も気になってしまった。
pn「そんな見ても何も無いよ…? 笑ヾ」
rd「本当に嬉しい… 」
rd「でも前まで俺に見せるの嫌って言ってたのにいいの…?見せちゃって」
pn「うん、いいよ」
pn「俺が思った事とか..だからたまにきもい事書いてるけど…その、らっだぁに見てほしいなって」
rd「信用してもらえたんだ、よかった」
rd「今読んでもいい?」
pn「はず….けど、いいよ … ? //」
rd「んふ、ありがとう 笑ヾ」
表紙を軽く撫でた後にリボンを優しく解いた。
彼はその時点でもう笑顔で優しく、そしてどこか儚かった。
< rdside >
ページをペラペラとめくり指先でぺいんとの文字をなぞるように読んでいく。
日付だけでなく天気も書いてあってそこがぺいんとらしいと笑いが出てしまう。
初めは少なかった文も、いつの間にか増えていて、字も上手くなっているような気がする。
5月下旬、彼が体調を崩して俺と1週間ほど会えなかった日から始まっているこの日記。
1日ずつ丁寧に読んでいけば内容は全て俺の事。
最初の方から俺のことを書いているからぺいんとの方が先に俺に好意を抱いていたのだと分かる。
血液型、身長差、好きな食べ物、一緒に行った店。
全て俺とぺいんと2人の事で日記に書かれているぺいんとの気持ちにはどこか初々しさがあって可愛いと思った。
…
7月20日 ︎︎ ︎☂︎
今日はらっだぁが家に来てくれた。
“今日は” より “今日も” の方が合うかもしれない。
お泊まりした日からしばらく図書館には行ってないな〜〜カフェの店員さんと話したり一緒に本読むの楽しいんだけどなぁ…らっだぁってば俺の体調の心配するもんだからそんなこと言えないけど…
でも俺はそんならっだぁが好き。心配してくれるって事はそれだけ愛があるんだから。
ありがとう。
…
8月9日 ☀︎︎
今日はハグの日らしい。って話をらっだぁにしたら無言で抱きついてきた。
「ハグして欲しいってことじゃないの?」って言うからそれは否定できない…らっだぁとハグするの好きだし。
らっだぁの方が体が大きいから包まれると安心するしらっだぁの匂いするし、それにらっだぁってハグする時背中とか頭撫でてくれるのが気持ちよくて眠くなっちゃう。
そのおかげで寝る時は困らないけどね!!
…
9月7日 ☁︎
今日はらっだぁに「甘えなさい」って言われて甘えまくった。悪くない。
いっぱいハグしてくるしチューしてくるし、でも声がいつもより甘くてほんと頭おかしくなりそうだった…
らっだぁといつまでもこうしていたいなぁ。
そういえばらっだぁは唐揚げが好きらしいから今度こっそり作ってあげよっと。
きっと喜んでくれるよね
…
10月8日 ☂︎
今日は俺の誕生日!! らっだぁが俺にたくさんプレゼントくれたんだ!!
ぬいぐるみとかお揃いのパジャマとか!!
夜にはご馳走を作ってくれたの!!
こんなに幸せな誕生日が来ると思ってなかったからすごく嬉しかった。
らっだぁの誕生日は俺が盛大にお祝いしてあげたいなぁ。
体調崩しちゃったし雨だったけどらっだぁのおかげで最高な一日になりました。
…
11月11日 ︎︎☁︎︎
今日はらっだぁの誕生日!!
らっだぁにはこの日記をプレゼントするから今日で日記をつけるのも最後!!
最近手に力が入らない日もあって中々日記も書けなくなってきてたしちょうどいいかな
らっだぁに喜んで貰えますように!!
…
らっだぁへ
本当に誕生日おめでとう。
らっだぁと出会って半年、最初は俺も人生に疲れてたし、このまま終わるんだろうなーなんて気持ちでいたけど、らっだぁのおかげで希望が持てたよ。
俺に好きって告白してくれて、断っちゃったのにも関わらず同棲もしてくれて、俺が体調崩したら看病もしてくれる、そんならっだぁが大好きだよ。
俺は1月まで生きるのが精一杯でもういつ倒れてもおかしくないけど、それでも最期までらっだぁの事を愛していたい。これだけは約束するから。
余命持ちでらっだぁには辛い思いさせちゃうことがあったしこれからもあると思う。けどそんな俺のそばにこれからもいてください。
らっだぁのことが大好きなぺいんとより
…
pn「…読み終わった?」
rd「うん、わざわざメッセージも書いてくれてありがとう」
pn「毎日らっだぁのことしか書いてないから恥ずかしくて見せたくないって言ってたの…//」
rd「俺の事いっぱい書いてたね 笑ヾ」
そう言うとぺいんとは頬を赤らめて目を逸らす。そんな仕草も可愛くてつい頭を撫でてしまう。
< pnside >
rd「あ、そういえば俺もぺいんとに渡したい物があるんだ」
そう言ってらっだぁは引き出しから小さい箱を取り出し俺に渡した。
rd「開けてみて」
言われた通りに開けると、中にはペンダントが入っていた。
全体的にシルバーだけど桃色の宝石が埋め込まれた飾りが着いている。
pn「綺麗..これ中に桜入ってない?」
rd「うん、そうだよ」
rd「前、ぺいんとは桜が咲く頃まで生きられないって言ったよね。
でもさ、そうだとしても諦めないで欲しいから。」
そう言いながらペンダントを俺の首に付けてくれる。
ペンダントはすごく軽くて、俺の体の負担にならないものを選んでくれたんだろうなーなんて思った。
pn「ありがとう」
rd「絶対2人で見ようね」
pn「うん、俺頑張る」
俺の気持ちを支えるためにくれたらっだぁの思いが詰まった愛のペンダント。
俺はらっだぁと約束を交わしこの愛のペンダントを握った。
ペンダントからは彼の思いが感じられた。
コメント
4件
タイトル回収……!!!愛のペンダント…この桜のペンダントがどう関係してくるか…… うわぁ、バドエン想像したら涙出てくる😭😭マジで好きです。
れあさんの作品って毎回無理矢理感がなくて自然の流れになるように作られていてすごいですよね この2人の口調とかにも違和感がないし面白いし最高です