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2件
えへへへへ 最高すぎる(゜∀。)
コメント失礼します!! もう最高すぎる、、 見てるだけで泣けてくる😭😭 続きが楽しみすぎる!! コメント失礼しました!
机の上に広がる問題集。
いるまは隣に座っているのに、空気はひどく重かった。
紫「 俺 この後 予定 あるから 、早め に 終わらせよ 。」
赫「 … 」 頷
紫「 そこ 、違う 。 」
解説する声はいつも通り落ち着いているはずなのに、俺の耳には遠く響く。
視線が合えば、すぐ逸らす。 前みたいに軽口も飛んでこない。 俺も「わからない」なんて素直に言えなかった。
赫( これじゃあ 、なんも 頭 に 入んない )
の奥で焦りが渦を巻く。 嫌われたかもしれない不安と、受験が近づく現実と。
全部が絡み合って、息が詰まりそうだった。
__数日後
赫「 … ぇ ? 」
返ってきた小テストの点数を見て、息が止まった。 紙の上に並ぶ赤いバツ印。
前回の好調が嘘みたいな、散々な結果。 隣の席から、クラスメイトがひそひそと声を漏らす。
「ほら見ろよ、やっぱ偶然だったんだろ」
「受験大丈夫かよ」
喉の奥が焼けつくみたいに痛くなった。
廊下から覗いて、立っているいるまの視線が気になって、顔を上げられない。 視線を感じるのに、怖くて確かめられなかった。
赫「 ………… 」
家に帰って、 答案用紙を握りしめる。
悔しい。
情けない。
涙がにじんで、文字がにじんで見えなくなる。
赫( 俺 、ほんと 駄目 かも しんない … )
その時。
ぴ ー ん ぽ ー ん
赫「 … ? 」
玄関のチャイムが鳴った。
息が止まる。
まさか、と思いながらドアを開ける。
… そこには
紫「 …… 」
赫「 ぇ … 」
真剣な顔で立ついるまの姿。
紫「 やりなおすぞ … 」
短く低い声。
でも、その瞳には冷たさじゃなかった。
部屋に上がったいるまは、昨日までの気まずさを引きずる様子を一切見せなかった。 机に答案用紙を広げると、冷たい声で言い放つ。
紫「 泣いて 終わり に するなら 、受験 辞めろ 。」
赫「 … っ !」
心臓が跳ねる。
普段はからかうような笑みを浮かべるのに、今は眉一つ動かさない。赤い ペンを握った手が答案を叩いた。
紫「 ミス の 原因 は 簡単 。ここ を お前 は 理解 してない 。やり直して 。 」
ぐっと喉が詰まる。
悔しさと恥ずかしさが込み上げるけど、逃げられない。 俺はシャーペンを握り直し、言われるままにノートへ書き込む。
紫「 違う 、こう 。」
赫「 …… 」
いるまの手が俺のノートに伸び、ペン先で線を引く。 近い。肩が触れそうな距離で、低い声が耳に落ちる。
ごつごつした指がノートの端を押さえ、俺の視線をそこに固定する。
強引なのに、不思議と安心する。
胸の奥がじわじわ熱くなって、鉛筆を持つ手に汗がにじむ。
赫「 ……… っ 」
紫「 集中 して 。お前 の 顔 に ‘’別 の 事 考えてます‘’ って 出てる けど 。」
鋭い視線に射抜かれて、思わず背筋が伸びた。
誤魔化す言葉も出なくて、俺はただ必死に問題を解き直す。
赫「 ……………… 」
どれくらい問題を解き直しただろう。
頭がぐらぐらして、ペンを置いた瞬間、息が大きく漏れた。
紫「 …… よし 、今 から 休憩 に するから 」
いるまがそう言って、冷蔵庫から持ってきたペットボトルの水を俺に差し出す。
紫「 ん 、… 」
喉がカラカラで、すぐに受け取って一気に飲み干した。
赫「 ぷはっ …… 」
その横で、いるまもペットボトルを傾ける。
紫「 … 」 ゴクゴク
赫「 …… 」じー
喉を上下させて水を飲む姿。
額にかかった髪を無造作にかき上げる仕草。
真剣に問題を解説していた横顔が頭に焼きついて、目が離せなかった。
紫「 … 何 ? 」
赫「 なんでも … 」
休憩が終わると、またすぐにいるまはペンを走らせた。ノートの余白に新しい問題を書き出し、トントンと指で叩く。
紫「 次 は ここ を 完璧 に する 。」
ゞ「 今度 の テスト で 落としたら 、もう 後 が ないから 。」
低く真剣な声に、背筋が伸びる。
からかいも笑みもない。ただ、俺を合格させようとする真っ直ぐな眼差し。
その視線に射抜かれて、胸の奥が熱くなる 。
紫「 … やれるか ?」
挑むように問いかけられ、思わず唇を噛んだ。
情けなくて、悔しくて。
でも、不思議とその声に背中を押される。
赫「 やる 。絶対 、やる 。」
声が震えても、精一杯の言葉を返した。
いるまは小さく頷くと、また新しい問題をノートに書き始める。
5時限目の授業後半
教室にテスト用紙が配られていく。
緊張で心臓がどくどく鳴っていた。
前回は散々な点数で、情けなくて悔しくて…
もう二度とあんな思いはしたくなかった。
先生「 次、なつ 」
赫「 は、はい 」
先生から手渡された答案を、恐る恐る受け取る。視線を下ろした瞬間
赫「 っ ! 」
紙の右上に赤ペンで書かれた数字。
前回とは比べ物にならないほど高い点数。
頭が真っ白になって、次の瞬間、胸の奥から込み上げるものが爆発した。
赫「 やっった ! 」
思わず声が出て、答案を握りしめる。
周りのクラスメイトが振り返り
「すげーじゃん」「お前、どしたんだ?」とざわつく。 顔が熱くなるけど、そんなのどうでもいい。
赫( 見せたい ッ ! いるま に 、今すぐ 見せたい ッ ! )
帰りのホームルームが終わるまで、俺は答案を片手握っていた。
赫「 はっはぁ … はっ 、」
答案を握りしめたまま、職員室しつまで、廊下を駆ける。 体力は無いのに、一生懸命走って。
彼奴に見せたくて、会いたくて、褒めてもらいたくて。
勢いそのままにドアへ手をかけようとした、そのとき__
「もう 1週間弱 だね 」
中から先生の声が漏れ聞こえてきた。
ピタリと足が止まる
紫「 そう 、ですね 。生徒 達 には 名残惜しい ですが … 」
それに続いた低い声は、聞き間違えるはずもない。 いるまの声。
胸がドクンと跳ねた。
さっきまでの高揚感が、急に冷たい風にさらされたみたいに揺らぐ。
赫「 ……… 」
答案を握る指に、じわりと力がこもる。
見せたかった。褒めてほしかった。
でも、いるまがいなくなる日が近づいてることを突きつけられて、喉が詰まって言葉が出ない。
ガチャ
ドアが開く音に、心臓が跳ねる。
出てきたのは、やっぱりドアが開く音に、心臓が跳ねる。 出てきたのは、やっぱりいるまだった。いるまだった。
紫「 なつ … ? 」
赫「 … っ ! 」
目が合った瞬間、反射的に答案用紙を背中の後ろへ隠していた。 なぜそんなことをしたのか、自分でもわからない。
ただ、“今”はどうしても見せたくなかった。
紫「 お前 、ここで 何して … 」
怪訝そうに眉をひそめて、俺を覗き込む。
喉がひゅっと詰まって、言葉が出ない。
さっきまでの勢いなんて、どこかに消えてしまった。
赫( なんで 隠して んだよ … 俺 )
自分でも戸惑いながら、後ろ手に握った答案が汗で少しくしゃりと音を立てた。
赫「 … なんでも 、ない 」
いつもなら強がって言い返すのに、声はひどく小さくて、弱々しかった。
いるまの目を見ることができなくて、俺はそのまま踵を返した。
紫「 なつ ? 」
呼び止められた気がしたけど、足が止まらなかった。
逃げるみたいに廊下を駆け抜ける。
答案用紙を、強く握りしめながら
…… その つもり だった 。
廊下を曲がった瞬間、手の中が軽くなっていることに気づかないまま、俺は教室へ戻っていった。
紫視点(ちょっとだけ)
取り残された俺は、小さな紙片が床に落ちているのに気づいた。
紫「 …… 」
拾い上げて視線を落とす。 そこには、真っ赤な丸が並ぶ高得点の答案用紙。
「……ったく。」
苦笑とも溜め息ともつかない声を漏らしながら、答案を軽く揺らして見つめる。
赫視点
赫「 … 」
机に向かっているのに、集中できない。
いるまがペンを走らせる音だけが静かに響く。
赫( … あと 1週間 で 、居なくなる のか )
その言葉が頭の中をぐるぐる回って、胸が締め付けられる。
気づけば、ペンを握る手に力が入らず、カランと机に転がってしまった。
赫「 ぁ … 」
紫「 … なつ ? 」
顔を上げると、すぐ目の前にいるまの視線があった。 心配そうに俺を覗き込んでいて不意に距離が近くなって、息が詰まる。
紫「 つかれた … ?」
赫「 別 に … 」
強がって答えたけど、声が震えていた。
自分でも誤魔化せないくらい、悲しさがにじみ出てしまっていた。
顔を逸らそうとしたけど、顎に指をかけられて無理やり視線を戻された。
赫「 ッ ! … 」
目の前にいるまの瞳。
真剣で、逃げ場なんて与えてくれない。
紫「 本当 の 事 、言って 。」
赫「 べ 、別に …」
言い訳をしようとしたのに、声が震えて言葉が続かなかった。
喉の奥がつまって、胸の奥に押し込めてた気持ちがじわりと滲み出す。
赫「 …… あと 、1週間 で 居なく なるん でしょ … ? 」
吐き出した瞬間、心臓がぎゅっと締め付けられる。 言うつもりなんてなかったのに、勝手に口から零れていた。
紫「 …… 」
いるまの目が少し大きく見開かれる。
そのまま、ふっと表情がやわらぐ。
紫「 … んな 事 気にしてたの ? 」
赫「 …… 」
沈黙のあと、いるまが小さく息を吐いて、少しだけ口角を上げた。
紫「 俺 が 居なく なったら 、寂しい ?」
からかうみたいな声色が耳に入る 。
胸が熱くなって、堪えきれずにうつむいた。 だけど気づけば、小さく頷いていた。
赫「 …… 寂しい … 」
自分でも驚くほど素直な声。
言った瞬間、顔が熱くなって耳まで真っ赤になっているのがわかる。
赫(きっといるまと、俺の言葉に調子乗って)
ふっと視線を上げたら
いるまも、わずかに頬を赤らめて目を逸らしていた。
赫「 … ぇ 」
紫「 お前 なぁ … ⸝⸝ 」
呆れたように言いながらも、その声はどこか優しい。 その瞬間、部屋の雰囲気が少し甘くなった気がして、心臓が止まりそうだった。
くそほど長ぇ( ᐛ )