休憩室
ミナミが「飲み物取ってきます!」と元気に言って、休憩室を出ていった。
扉が閉まると、空気が少しだけ静かになる。
恒は、ペットボトルを机に置いて、ひろの方をちらっと見た。
「……言わなくていいのか?」
ひろは、工具を拭いていた手を止めて、少しだけニヤッと笑った。
「どうせなら、女の姿じゃできなかったことをしてみたいと思ってね。」
恒は、眉をひそめて「ん?」と声を漏らす。
「いやぁ~、女の子照れさせてみたいと思ってさー。」
恒は、少しだけ目を細めて言った。
「……なんか、複雑なんだけど、」
ひろは、口元だけで笑って言った。
「嫉妬かぁ~?」
恒は、あまり気にした様子もなく、笑って肩をすくめた。
「さあね。」
休憩室の扉が開く。
ミナミがペットボトルを片手に戻ってきた。
「戻りましたー! あ、冷たくて最高です!」
恒は、何事もなかったようにペットボトルを持ち直し、
ひろは、工具を静かにしまっていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!