コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ミナミがペットボトルを片手に戻ってきた。
「戻りましたー! あ、冷たくて最高です!」
恒は、何事もなかったようにペットボトルを持ち直し、
ひろは、工具を静かにしまっていた。
ミナミは、ふたりの前に立って、
「次のバイト、もっとちゃんと動けるようにがんばります。
さっきはちょっと、頭が追いついてなくて……」
ひろは、ちらっとミナミを見て言った。
「でも、動きは素直だった。
声もよく通るし、後ろにいてもわかりやすかった。」
ミナミは、うなずきながら答える。
「ありがとうございます。
……まだ、先輩の動き、ちゃんと見れてないですけど。」
恒は、ペットボトルを口に運びながら、静かに笑った。
「そのうち嫌でも見ることになるよ。
ひろの動きは、見てるだけで疲れるから。」
ひろは、工具を拭きながら言った。
「恒のは、見てると眠くなるけどね。」
ミナミは、少しだけ笑って言った。
「どっちも見てみたいです。
でも、ちゃんと距離は保ちますからね。先輩ふたり、ちょっと読めないので。」
恒は、苦笑しながら肩をすくめた。
「それは正しい判断かも。」
ひろは、何も言わずに工具をしまっていた。
でも、口元が少しだけゆるんでいた。
ミナミの中には、警戒と興味がちょうど半分ずつ残っていた。