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秋の向日葵

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秋の向日葵

1 - ᡣ੭

♥

75

2024年10月25日

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⚠ この作品は腐向け作品です。

⚠ 生徒会パロ・青黄です。


実在の方々とは何も関係ございません。主の妄想を文字に起こしたものとなっています。全体的に甘くほのぼのした作品になっております。それでも大丈夫な方はどうぞ🌻⑅⃛











10月25日。

朝起きて、テレビのニュースを見ていると 日付がそう表示されていた。

あ、今日は僕のお誕生日なのか。なんて思うだけで 他に何も思わなかった。


僕への両親への愛なんてものは無いのだ。


母は一日ずっと帰ってこないことだってあったし、 夜遅く帰ってきたりする。

普段は夕方頃に帰ってきて 母と弟とご飯を食べる。ただ夜になるとまた出かけて行ったりするのだ。 早く寝ろ と躾られているので 母の行方は全く知らないのだが。


父は僕が学校に行ってから出勤している。父はずっと働きっぱなしでいつも帰ってくるのは22時ぐらいなのだ。そのくらいには寝ろと言われてる為 父と話すのは本当に朝のちょっとの時間ぐらい。


父も母も少し無駄口を叩けば怒るので、基本僕と両親は無言。弟はそんな空気になんて気づかずぺらぺらとお話をするのだけれど。


でも弟にはどこか甘くて、弟がテストの点が悪くても 勉強出来なくても 許していた場面を幾度となく見てきた。僕の場合、理不尽にいつも怒られたりするのに。なんなら叩かれたりもした。


そんなことが多くあってから、僕の家族には何も期待してないし 一緒にただ過ごしているだけの人たちなのだ。


だから僕にとって、学校はとても楽しい。


学校は 勉強しろ と制限を強くしてこない。

休み時間は遊んでもいいと言われるし 体育や音楽など 勉強らしくない授業もある。そして 僕は生徒会の時間がすごく好き。


任された仕事をこなしたり 自分の出来る事をするのが楽しいのだ。あと、莉犬ところんの会話を聞いたり 二人と話しているのも楽しい。こんな硬い僕に いつも話しかけてくれる。


もう、ずっと学校にいたいぐらいだ。


そんなことを思いながら学校へ行く支度をし、 もしかしたら誰か祝ってくれるかな……なんて淡い期待を抱きながら外へ出ていった。






下駄箱に着き、靴を履き替えていると後ろから聞きなれたガサガサ声がした。


「かいちょ〜〜〜!!!!!」


「おいころん!朝からうるさいぞ!もっと静かに出来ないのか!?」


ああ、僕も朝から怒ってしまった。


僕が怒りっぽいというか、素直になれないのは 父親譲りなのだ。父親もそんな性格だから僕もきっと似てしまった。本当は話しかけてくれて嬉しい と、 どうしたの? と、優しく声をかけ返せる人間になりたかった。



「すいません……。あの、今日放課後時間ありますか?屋上で待ってて欲しいです」

「え、わ、分かった」


急にどうしたのだろう。僕なんかを屋上に呼び出す理由が分からないが、もしかしたら、誕生日を……。なんて思っていれば「じゃ!」と言いころんは廊下を走っていた。


いつもなら注意するけど… 今日はいっか。


周りから見た僕って怖いのだろうけど、本当はこんなに適当なんだよな。いつもは 生徒会長らしく、を脳内に刻み込んでいるのだけど、今日誕生日だし!なんて自分に言い訳をした。


本当は、ころんに優しくなりたいから。こうゆう所地味な所から、初めてみようかなって思った。








「さとみくん!!ヤバい!!」

教室に入り、僕の後ろの席に座っている同級生のさとみくんに足をバタバタさせながらそう言った。


「どした?」

「どしたじゃねえよ!!あのかいちょーが僕が廊下走ってても注意しなかったんだよ!」


そう、僕にとってこれは緊急事態なのだ。


あのキッパリきっちりした会長。何も見逃さないあの会長が、僕が廊下を走るところをみても何も言わなかったのだ。どこか体調でも悪いんじゃないかと僕は心配だった。


「そりゃ、かいちょうサンもずっと会長してたら疲れちゃうだろ。今日はなんか適当になりたい日なんじゃないのか?」


「ん〜??」

あの会長が適当……?


「まあ、わかんないけどありがと!」

「ん。」




「…注意されないだけでそんななるなんて、よっぽどころんってるぅとのこと見てんだな。」









┈┈┈┈┈┈┈┈



学校が終わるチャイムが鳴って、僕は一番に教室を駆け抜けた。そして、目指すは屋上。


屋上の重いドアを開けると、会長はまだ居なくてほっと息を着く。 夕方の空はオレンジ色に染まっていて すごく綺麗な空色をしていた。


青空じゃなくても、こんな綺麗なんだな。


リュックを屋上にあるベンチに置いて、中身を確認する。会長にあげるプレゼントは綺麗なままで 安心してほっと息をついた。



そして後ろから、屋上のドアが開く音がした。振り向けば、会長が急ぎ足でこちらへ歩いてきていた。


「かいちょー!すいません、呼び出しちゃって」

「あぁ、全然大丈夫だが……」


要件はなんだ?と言いたげな会長の目を見て、こう伝える。



「お誕生日おめでとうございます!!!」



そう言えば会長は大きく目を見開いてから、優しく目を細めた。そんな会長の優しい表情を見るのは初めてでドキドキと胸が高鳴る。


そして僕は持ってきたプレゼントをリュックの中から取り出して、会長に見せた。


「これ……向日葵です!会長にどうぞ」

「えっ、ひまわり、?」


三本の向日葵が 水色のリボンで束になってまとめられているのを不思議そうに会長は見つめた。



「向日葵って、夏だけだと思いがちなんですけど 実は秋の向日葵って言うものも有るんです。向日葵見た時、会長みたいだなって思って…」


そしたら会長はもっと不思議そうな表情をした。


「会長の色なのもそうだし、向日葵のように真っ直ぐで でも何処か素直になれなくて そんな姿がどことなく向日葵に似てて……」


言ってる途中で照れくさくなって、とりあえずここら辺にしておこう。そう思って、戸惑ったような様子の会長に向日葵を差し出した。


「………いいのか?僕が貰っても。」


そう言ってきた会長の目は まるで子供のような不安げな目をしていて そんな会長が愛おしいって心から思った。君だけのために、僕はこの花たちを選んだんだよ。


「はい、会長の為のものなので。受け取って?」

「……」


しん、と静まった空気と固まる会長。


どうしたんですか?と聞こうとしたその時、



ふわっと、何かが僕に抱きついた。




「……会長?」


僕の腰周りに手を回し、正面から抱きついている会長。会長は向日葵と一緒に僕を抱きしめてている。


「ころっ……ぐすっ」


鼻をすするような音が聞こえて、泣いているのだと知った。こういう場合、きっと相場は嬉し涙だって決まっている。こんなささいなことでも喜んで涙を流しちゃうような会長は世間知らずで、本当にかわいい。


「ふふ、かいちょー、顔上げてください」

「……いやだ、僕今かおぐしゃぐしゃ。」

「えー!見たいです。見せて?」


僕のタメ口に弱いのか、会長は恐る恐る顔を上げて、僕と目を合わせてくれた。


会長の色をした瞳が綺麗に揺れていて、透明な涙が休むことを知らないように流れていた。鼻も頬も真っ赤で、彼を構成する全てのものが綺麗で愛おしく感じる。


昔付き合ってた彼女なんかよりもドキドキが止まらないし、会長ほど愛おしいと思う人は居なかった。自分でも知らない内に、恋をしていたみたいだった。


そして、会長の方が背が高いから いつも僕が見上げる風になっていたのに、会長が僕のお腹らへんに顔を埋めているから 僕が見下ろす風になっているのが僕のドキドキを加速させる。



「……ころん、」


急に名前を呼ばれたと思えば、会長は抱きついていたのを辞めて 向日葵を手にかかえて僕の前に立った。


「あの……ありがと。僕、こんな風に祝われた事ないから……嬉しい。」


会長が会長らしくない様に素直になっていて、僕は思わず目を見張る。会長って、本当に素敵な声をしているよな……なんて目の前にいる彼に惚れ惚れとした気持ちを抱く。


僕が君のこと、こんなに好きになっていたなんて君は知らないだろうな。僕だって知らなかったんだよ、こんな気持ち。


「……ころちゃん」

「………………は、はい!?」


僕は一瞬時が止まったように思った。



あの会長が、ころちゃん と呼んだのだ。


「ころちゃんって……僕のことすか?」

「……もう。他に誰がいるんだ」

そうやって会長はくすくすとかわいく笑う。


「僕、プライベートではころんのこところちゃんって呼びたいんだ。……だめ?」


そうやって首を傾げた会長に、僕の張りつめていた細い糸がプチッと途切れた。



「あー!!!!!!!可愛い好き!!!」



僕がそう叫べば会長は「ぇ……?」と呟き、頬や耳が真っ赤になっていた。そんな会長に気分が良くなる。


「かいちょー!!かいちょーは、可愛いんですよ!あざといし!自覚してるんですか!?」

「ぇ……えっ??」


あ、やばい。本音を叫びすぎたかもしれない。冷たい屋上の床に女の子のようにぺたんと座り込んだ会長が僕の目の前にいた。そんな会長の前にしゃがみこんで、にこっと微笑んだ。



「……好きです。」


そう言うと、会長は萌え袖になっている手で口元を隠すようにした。耳も手も顔も、真っ赤に染まった会長が僕を見つめている。次第に恥ずかしくなったのか目を逸らしだした。


「目、逸らさないで?るぅとくん」

「っ……!る、るぅとくんって……」

「…るぅとくん。返事、ください。」


会長は僕と目を合わせると、僕の手を控えめに優しく握って、こう言った。


「ぼくも……好きです。」

さっきまであんなに照れ照れしていたのに、今では会長モードに入ったかのようにきっちりとした声で、姿で言っていた。


何も言わない僕に不安になったのか「……ころちゃん?」と不安げに僕を見つめる会長に、僕が会長の全ての感情を支配しているような支配感に陥った。


「ふふ、かわいい。ねえ、それって僕たち付き合うってことでいいんですよね?」

「……ぅ、ん」

そしたら会長はもじもじと何か言いたげにしている。


「かいちょー、どうしましたか?」



「……けいご、やだ。あと、僕のこと会長って呼ぶのも、だめ。」

すっかり幼くなってしまった会長の語尾に笑みが零れる。


「わかった。るぅとくん、これから宜しくね?」

「……うん。あっ、でも!!学校では会長って呼ぶんだぞ!!絶対だからな!!」

「わかったわかった!!あと、るぅとくんも敬語外して?」

「う……ん、わかったよ……!」

ぎこちない彼が愛おしくて仕方がない。


「そうだ、るぅとくん。今日金曜日ですし、明日お泊まり会とかしようよ!」

「んえっ……お、おとまりかい……?」


ぶわっと頬を赤く染めたるぅとくんに「何期待してるんですか~?」とニヤニヤすれば、いつもの会長らしくべしっと叩かれた。ちょっと力加減されているけど。


「もー嫌い!ころちゃんきらい!」

そうは言われたが、嬉しそうにるぅとくんは笑っていて、声にはしないけど 僕のこと大好きなんじゃんって嬉しくひとりで微笑んだ。








帰り際。

夕暮れに照らされながら、僕らは手を繋いで歩いていた。


「ね、るぅとくん?」

「はい、どうしまし……どしたの?」


「お誕生日、おめでとうね。これからの君は、僕が幸せにしてみせるから。」

ちょっとクサイし重いかな?って思ったけどるぅとくんは照れくさそうに笑っていた。


「えへへ……なんか、夢みたいです。お誕生日って、こんな特別な日で良かったのかな。」

そう言って彼は笑うけど、その目は何処か寂しそうで、愛を知らないようだった。


そんな彼を見て、るぅとくんは僕が幸せにしてみせるって強く思った。そんな想いが伝わればいいなって 握っている手に少し力を込めた。


「あ、家ついちゃった……」

るぅとくんは自分の家が見えると、寂しそうに眉毛を下げた。


「じゃあるぅとくん、明日お泊まり会しよね。僕の家ね!」

「……うん。」

まるで、まだ一緒に居たいとでも言うようなるぅとくんの目を見て、明日まで待とうとしていたことを解禁することにした。


「るぅ、目 閉じて。」

そしたらるぅとくんはぎゅっと目を瞑った。ちょっと焦らしたいなとも思ったけど、こんな可愛い彼を見たらもう耐えられなくて。食らいつくようにちゅっと優しいキスをした。


「んっ……」

「こんなので声出ちゃうの?かわいい。」

「ば、ばか!もう、イジワル……」


僕の一言で真っ赤になっちゃうるぅとくんがかわいいのが悪いんだよ。ほら、好きな子には意地悪しちゃうって言うじゃん?


「……ね、ころちゃ」

「ん?どし……」

“どしたの”と言おうとすれば、るぅとくんは僕に近づいて、影が重なって……優しいリップ音が鳴った。


「あ、明日ねっ!ころちゃん!またね!!」

逃げるように家に走っていったるぅとくんに、そんなんありかよ……とひとりで文句を呟きながら、赤く染った頬を、冷たいお茶で冷やした。




それにしても、向日葵のプレゼントをして終わるつもりだったのに、まさか告白するとは思ってなかった。それくらい、彼が愛おしかったし 僕がこんなに彼を好きになっていたと知らなかった。


ねえ、るぅとくん。君にこの気持ちが伝わっているか分からないけど、君が知らないこと、したいこと。全部僕が叶えるから。


これからの君は、僕の君でもあるんだよ。


本当は人一倍繊細で、誰よりも周りを見ていて 謙虚で優しいるぅとくん。


どんな君も、大好きだよ。こんな僕だけど、るぅとくんのこと、幸せにしてみせるから。

だからずっと、僕だけを見ていて。



𝑒𝑛𝑑 .



┈┈┈┈┈┈┈┈


ひまわりの花言葉・・・

「憧れ・情熱・光り輝く・あなただけを見つめる・あなたを幸せにします」


ひまわり三本の花言葉・・・

「愛の告白・あなたを愛しています」


┈┈┈┈┈┈┈┈



お誕生日おめでとうございます!黄色が輝く貴方が沢山の愛で愛されますように。

生徒会パロな青黄大好きなのに全くと言っていいほど書いたこと無かったのでこの機会に……!青黄万歳!とだけ言っておきます


最後まで読んでいただきありがとうございました🍀


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