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あまね🍡💠
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朝の訓練場。
育成プログラムのメンバーが整列していた。
日下部が全員を見渡す。
「昨日に続き、救助訓練を行う。」
「今日は二人一組で行動してもらう。」
「能力だけを見るな。」
「仲間を見ろ。」
「それが今日の課題だ。」
訓練場に緊張が走る。
「では、始めろ。」
全員が一斉に動き始めた。
湊は昨日と同じく九条とペアになった。
訓練開始前。
九条が静かに口を開く。
「朝霧。」
「はい。」
「昨日、一つ聞き忘れていた。」
「昨日の判断は、その場で思いついたのか?」
湊は少し考えて答える。
「はい。」
「九条さんが瓦礫を動かしているのを見ていて、この場合は違う方法もあるかなって思いました。」
九条は少しだけ目を細めた。
「観察して考える。」
「それも一つの力だ。」
湊は少し照れながら笑う。
「ありがとうございます。」
二人は瓦礫の救助訓練を始める。
九条は念力で大きな瓦礫を支える。
湊は周囲を確認しながら、安全なルートを探していく。
「九条さん、そのままでお願いします。」
「分かった。」
短い会話だけで息が合う。
昨日よりも連携は明らかに良くなっていた。
日下部は少し離れた場所から、その様子を静かに見守っていた。
一方。
別の訓練エリアでは、神童輝羅と如月葵がペア訓練を行っていた。
雷が走る。
氷が瓦礫を支える。
二人は迷いなく課題を終える。
訓練終了後。
輝羅はタオルで汗を拭きながら歩き出した。
向かった先には湊がいた。
「朝霧。」
湊は振り返る。
「神童くん。」
輝羅は短く言う。
「昨日の判断。」
「悪くなかった。」
湊は少し驚いたあと、笑顔で答えた。
「ありがとうございます。」
それだけ話すと、輝羅は踵を返して歩き出す。
その様子を、如月は少し離れた場所から見ていた。
(神童くんが、人を褒めた……。)
思わず小さく笑う。
「朝霧湊か。」
「ちょっと面白い人かも。」
その様子を見ていた人物がもう一人いた。
蒼井源太。
腕を組み、黙って湊を見つめている。
「……。」
昨日のように否定はしない。
だが、認めてもいない。
湊は蒼井に気付き、軽く頭を下げた。
蒼井は何も言わず、そのまま歩き去る。
しかし昨日ほど険しい表情ではなかった。
訓練が終わる。
育成プログラムでは、片付けも訓練の一つだった。
能力者も無能力者も関係ない。
全員が瓦礫を運び、道具を片付け、訓練場を元の状態へ戻していく。
湊も黙々と作業を続ける。
九条も無言で手伝う。
如月もほうきを持って掃除をしている。
輝羅も文句一つ言わず瓦礫を運んでいた。
この場所では、能力があることは特別ではない。
人を守るために行動すること。
それが何より大切だった。
全ての片付けが終わる。
日下部が全員の前に立つ。
「今日はここまでだ。」
全員が整列する。
日下部は静かに全員を見渡した。
「明日から訓練内容を一段階引き上げる。」
その一言で空気が変わる。
「ここからが、本当の育成プログラムだ。」
誰も言葉を発さない。
湊は静かに拳を握る。
自分に何ができるのか。
まだ分からない。
それでも、この場所で学びたい。
その気持ちは昨日よりも強くなっていた。
第17話 小さな変化 完
コメント
1件
九条さんの「観察して考える。それも一つの力だ」という言葉、すごく響きました。湊くんの変化はまだ小さいけど確かで、輝羅が自ら褒めに来たシーンにもグッときましたね。能力の有無じゃなくて「人を守るために行動すること」を軸に据えた世界観の描き方が丁寧で、続きが本当に楽しみです。