彼の顔が迫り寄る気配がして、伏せた瞼に、唇が触れ合わされる仄かな温もりに、
「あっ……」と、目を見開いた。
「さっきのことを、もう一度聞いてもいいか?」
揺るぎない眼差しでじっと私を捕らえて、
「……君は、私のことをどう思っているんだ?」
再び、同じようにも尋ねた。
「…………。」
声が喉に引っかかったみたいに、何も出てはこなかった。
「……君は、私を好きではないだろうか?」
彼の問いかけに、咄嗟に首を横に振った。
「…………。……好き、です。あなたが、好きで……」
それ以上は言葉にならなかった。
「……ありがとう、嬉しいよ。……私も、君が好きだ」
甘やかな優しい声音がかけられると、ずっと待ち望んでいた言葉に、涙は後から後から溢れて頬をつたい落ちた……。
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