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太陽はギラギラと暑さを放っているが五月の爽やかな風を肌で感じられる日曜日、一緒に住む家を探しに不動産会社を二人で訪れた。 何箇所か見て周り、彼女がどうしても自分の部屋は必ず欲しいと言うので確かに結婚するとはいえ、出会ったばかりだしプライベートは大事だろうと彼女の意見に同意した。駅から徒歩五分、五階建の3LDKの賃貸マンションの三階角部屋を契約した。
床はホワイトウォークのフローリングに壁紙も白とかなり明るい室内になっていて、カウンターキッチンのリビングに、寝室、各々の部屋とかなりゆとりのある間取りだ。
ベランダは南側なので日当たりも良く洗濯物も気持ちよく乾くだろう。
これからこの家で彼女と、いや俺の妻となってくれる人との新しい生活が始まるのかと思うと嬉しくてにやけてしまうのをグッと口を結んで堪えた。油断したら絶対にデレデレで締まりのない顔をしてしまいそうだったから。
俺も彼女も実家からの引っ越しだったので各々に荷物を運び入れ、六月頭の日曜日から一緒に住む事になった。
お互い仕事は土日休みと分かった。土曜日に彼女の実家まで迎えに行き家電や家具を買いにデパートに行く事にした。
教えてもらった住所をナビに入力し、彼女の実家まで迎えた行く。”つきました”と一言メールを入れると”出ます!!”と直ぐに既読になり返信が来た。
実家の玄関から出てきた彼女は今まで見た服装とはまた違ってカジュアルな格好。白のTシャツにデニム、黒のスニーカー。ショルダーバックが赤色と差し色になっていてお洒落だな、と思わせた。
彼女の小さな耳にゆらりと揺れる小さな石のイヤリング。揺れる度に光を放ち、つい視線を奪われる。
デパートに着きデパート内の家電製品屋で家電は冷蔵庫、電子レンジ、オーブントースター、炊飯器、洗濯機、掃除機、テレビ、これから暑くなるので扇風機も購入した。エアコンは各部屋についていてこれほどありがたい物はない。家具はゆとりをもって三人掛けのネイビーのソファー、寝室に置くダブルベッド、サイドチェスト、ダイニングテーブル 、テレビボードと生活に必要な最低限の物を購入し、この日の為にATMでおろしてきた何十枚もの諭吉とおさらばした。
「だ、ダブルベッドとか結婚した! って感じがしますね」
ちょっと照れくさそうに目尻を下げて笑う彼女が可愛くて愛おしくて、ドスっと弓矢が心臓を突き刺したかのように痛苦しくなった。
「付き合うを通り越して結婚になったけど、これから新婚生活を楽しみましょうね」
「はいっ」
何だかんだで全て購入して、配送手続きなどをしていたらあっという間に空は綺麗なオレンジ色に変わり夕方になっていた。
お互いまだ実家暮らし。彼女の実家まで車で送り届けた。
本当は帰るのを引き止めて朝まで返したくない、と思っていたが大事な一人娘を嫁入り前に朝帰りなんかさせたらあの貫禄のあるお義父さんが黙っていなさそうな気がして、そう焦る事はない。これからずっと一緒になんだから、と自分に言い聞かせ、理性を総動員して耐えた。