コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
体育座りをして、ちっちゃくなって泣いてたら人が来たんね。
「伊華?」
不思議そうにioの名前を呼ぶのは愛なんね。
「愛〜」
ioが泣きながら愛の名前を呼ぶと愛はそっと微笑んでioを抱きしめてくれたんね。
あまりにも優しく撫でられるものだから、逆に安心し過ぎて涙がポロポロ流れてきたんね。
ioがちょっと泣き止んだ時、愛は優しい顔で、「何で泣いてたか話してみろ」って促してきたんね。
「姉さんのこと、思い出しちゃって。寂しく、なっちゃって。姉さん、やっぱり、ioの事嫌いなのかなって、思っちゃって」
息が詰まりそうだったけど、何故か、愛の紅い瞳を見ていると言葉がポロポロと出ていったんね。
「寂しかったな。お前はなんにも悪くないんだ」
そう言いながら愛はまだioの頭を撫で続けるんね。
「ただ、不器用な奴が不器用なりに頑張って失敗しちゃっただけなんだ」
そう言った愛の目はほんの少しだけ淋しげに揺れてたんね。
「伊華、お前は本当に優しくて、人を思いやれる子だ。そんなお前がわざわざ泣いてやる必要は無いんだぞ」
ふんわりと愛は笑ったんね。
真面目な顔をして愛が「不器用な彼奴を少し急かさないとな」って小声で言ってた気がしたんね。多分気のせいかもしれないけど。
「愛、ありがとうなんね」
ioが笑ってそう言うと、一瞬驚いたような顔をして、「これが私の役目でもあるからな。まぁ、ただのお節介だ」って愛は優しくそう言ったんね。
少し冷たくも温かい春の風が満開の桜を揺らしてたんね。
「伊華、明日、私の家に来ると良い。一度来たことがあるだろう?」
「愛の家?」
不思議そうにioがそう聞き返すと愛は、「頼むぞ」とだけ言い残してこの公園を後にしたんね。
愛は、時々、直ぐに消えそうな淡い光みたいに思えて、すぐに何処かに消えて無くなりそうで、少し、怖いんね。
次の日、ioは愛に言われたとうりに愛の家に行ったんね。
チャイムを押して出てきたのは、鈴だったんね。
「愛に呼ばれてきたんね!」
「いらっしゃ~い!姉さんは道場にいるよ。しっかり話し合ってきなよ」
いつもどうりに明るく出迎えてきてくれたと思ったら、急に真剣な顔をして鈴はそう言ったんね。どう言うことなんね?
不思議に思いつつも道場に行くと、正座をして愛にお説教を受けてる姉さんが居たんね。
「お前は本当に不器用過ぎるんだ。もう少し心の声を表に出す練習でもした方が良いんじゃないか?」
「理解はしてるんね!でも、でも、伊華は優しいから、酷い言葉を投げ掛けてでも突き放さないとついて来ちゃうんね!」
「あの子の目の前で、もしかしたらioが首をはねられたりする可能性もあったんね!そんなの、そんなの!伊華には酷なんね!」
「良くそこまで言った」
ニヤリと笑って愛はそう言ったんね。
「どうだ?伊華。お前の姉さんの心境を知れたか?」
此方を見て少し不思議な雰囲気を纏った愛がそう言ったんね。
「姉さんは、ioを命がけで守ろうとしてたんね、?」
ioの目から何故か涙が溢れてきたんね。
「姉さんありがとうなんね。大好きなんね〜!」
「伊華、、、。ioもなんね!ioも、大好きなんね!」
二人でワンワン泣きながら、抱き合ってたんね。愛は、いつの間にか道場から居なくなってたんね。
それから暫くして、お気に入りのカフェに行くとほぼ毎日のように会う独華にioは惚れたんね。
数年の歳月が経って、独とioはめでたく付き合う事になったんね。
「物語の強制力とは、侮れんのだよ」
怪しげに微笑んだ愛華が近くて遠い場所を眺めながらポツリと呟いたことは、貴方以外は知らないだろう。