テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「「いただきまーす」」
マリィは挨拶すると、机に置かれた銀のナイフとフォークを手に取り、パンケーキに刺して切り分けた。そのままひと切れを口に運ぶ。
「あ、美味しい!早く食べなよ〜」
瞳を輝かせてにこにこと笑うマリィ。
窓から差し込む陽光に照らされた整ったその顔が、彼女の瞳にはよりいっそう可憐にうつった。
高鳴る鼓動を笑顔で包み隠し、彼女は一番小さなひと切れを少しだけ開いた口に入れた。
「うん」
口から飛び出したのは、たった二文字だった。
「_ねぇ、トワ。トワって好きな人いるの?」
「___え?」
唐突な質問に、間抜けな声が漏れる。
「その反応は、いるんでしょ」
にやにやした顔で彼女を見つめるマリィ。
「あ、ぃや、そのっ…えとっ…あ、まあ、うん…」
彼女は慌てて誤魔化した。
あはは、と乾いた笑いをうかべ、彼女がたずねる。
「でも、なんで、急に」
「気になったから。…じゃ、ダメ?」
お茶の入ったグラスをコトリと机に置き、そう呟く。
「いや…まあ、いいんだけど」
視線を横へ逸らす。
「じゃあさー。 どんなタイプ?その人」
「…はぇっ」
また間抜けな声が漏れる。本日二回目。
「あ、私の予想はー…お日様みたいな人!」
ぴん、と人差し指を立て、勝手に推測をはじめているマリィに、くすっと笑いが漏れる。
「うん…まあ、そんな感じ_お日様っていうか、暖かいっていうか」
パンケーキをひときれ口に運び、肘をついてそう言う。
「暖かい、かぁ_。…」
窓の外で、きらきらと小鳥が鳴いている。
マリィの手にしたフォークが、カラリと音を立てて落ちる。
「………陽光、みたいな」
少しの沈黙をはさみ、彼女が口を開いた。
「ようこう、ねぇ」
「うん」
「すてきだねぇ」
「_うん」
他愛もない会話をしながら、ふとガラスの向こう側を見やる。
遠く広がった景色を、陽光が包み込んでいた。
ふと気づいたように、マリィが壁にかけられた時計を見る。
「ふぁあ…パンケーキ食べ終わったし、私そろそろ帰るね。」
「あ、うん_」
「…そうだ、明後日、遊べる?ちょっと、行きたいとこがあって」
「うん、いいよ」
「ありがとう。じゃあ行くね」
__暖かさと、哀しさと、ほんの少しの光を添えて。
「ばいばい」
私の中の、陽光へ__。
#カンヒュ
狼コ*活休
1,298
コメント
3件
短っっっっっか!!!!!!
「陽光」、とても素敵なエピソードでした。パンケーキを食べるシーンの温かい空気感から、突然の「好きな人」質問でトワが慌てる可愛らしさまで、一つひとつの仕草が丁寧に描かれていて、風景が目に浮かびました。とくに「陽光みたいな」という言葉選びが、読後も胸に残る甘やかな切なさをしっかり届けてくれました。次がすごく気になります!