ー中村家ー
幸恵「あんたたち〜早く準備しなさい。港に行くわよ。」
今日はシベリアから帰ってくる日本兵たちを迎える日だ。
そこで電話がかかってきた。
「中村さんであっていますか。」
幸恵「はい。」
「私は中村智昭さんの上官。石橋です。」
幸恵「智昭がどうかなさいましたか?」
石橋「とても言い難いのですが、智昭さんは、癌で亡くなってしまいました。ご冥福をお祈りします。」
私はその言葉を聞いて、言葉というか感情にできなかった。私は庭に出て、泣き叫んだ。
「なんで、、、必ず帰るって約束したじゃない、、」
「智昭ぃ。帰ってきてよ。ねぇ、、」
しばらくするとインターフォンがなった。
「ご無沙汰しております。中村さんの同僚石井と申します。」
私は頭を下げた。
石井「遺言書をお届けに参りました。」
私はそう言われ遺言書を渡され、開こうとしたら、
石井
「拝啓、我が母よ、
今まで私を育ててくれてとても感謝しております。こんなワガママで私はとても親不孝者です。どうか、許してください。私は日本のために最善を尽くしました。しかし、私に感謝することなどおやめ下さい。私は母にとてもご迷惑をおかけしたのです。感謝される義理なんてありません。大人になってもお世話をしてくださったことは忘れません。私は母のことを尊敬しております。毎朝早くから弁当作りや、準備などやっていただき感謝してもしきれません。母よ、私は一足先にあの世で待っています。悔やむなどしないでください。今を楽しんでください。私は希望を信じました。母も希望と言う言葉が好きでしたね。こんな私も母の影響を何度も受けていました。本当にありがとう。そしてごめんなさい。これからも、家族をよろしくお願いします。私のことなど気に使わないでください。」
智昭のお母さんは涙を流していた。
私「石井さんありがとうございます。夫が役に立っていたなら良かったです。」
石井さんは一礼してその場を去ってった。
次に樂永さんと名乗る同僚が来られた。
「こんにちは。私は樂永といいます。遺言書をお届けに参りました。」
私「ありがとうございます。どうぞこちらに」
樂永「いえ。こちらで大丈夫です。子供さんたちを連れてこられますか。」
樂永
「拝啓、子供達よ
智弘、幸宏、お父さん帰ることできなかったです。約束守れなくてごめんな。そして伝えたいことがある。”希望”というものは絶対に捨てないでください。希望は何が起きるか分かりません。私もこれをかけて伝わっていること自体が奇跡です。そして、二度と戦争をしてはならないということを後世に伝えてください。そして、私の代わりにお母さんをよろしくお願い。私は守ることが出来ない愚か者ですが、お前たちなら行ける。私は父としてそれを信じています。最後に、会えなくてごめんな。大好きだ。お前たちは優しい人になりなさい。将来のことを見据えても、託します。あなたたちに日本という国を。」
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