どうも皆様、サカナです
今回のお話なのですが…通報はご勘弁を…な内容なんですね。
ディープなことに手を出すのは気が引けたのですが、脳が思いついて手が書いてしまいました。
好きになった男がクズでトラウマ植え付けられてる日本くんと、純粋に日本が大好きなアメさんの話です。
※最初だけ胸糞モブ日要素あります、 めっさ長いです
なんでもありな方だけお進みくださいな
「俺…日本のことが好きなんだ、付き合ってほしい」
とある夏の日、僕は彼に告白された。
夕方の校舎裏で赤い夕陽だけが僕たちを見守り、まさに青春の1ページと言える風景。
「…僕、確かになよなよしてますけど…男ですよ?いいんですか?」
同性からとはいえ、人から告白されたのだなんて初めての経験。
僕の頬は夕陽や暑さとは関係なしに赤く染まり、見つめてくる彼の目を見る。
「わかってる。日本がいいんだ、まあ男からだしキモいとは思うけど…」
「い、いえ!そんなことはありませんよ!」
俯く彼を前に、僕は咄嗟に大きな声を出した。
「びっくりしましたけど…男だからとか女だからとか、そういうの関係ないと思うんです。告白なんて初めてされましたけど…僕でいいなら、喜んでお受けいたします///」
彼とはあまり話したことがなかった。
だけど、いつもクラスで馬鹿騒ぎしているこの人が、こんなにしおらしく告白している事実がなんだか面白くて、なぜか惹かれた。
「そ、そっか…い、いやー、よかったよかった。安心したわ」
差し出した手は掴まれなかった。
「んじゃ、俺もう帰るわ!」
「えっ、あ…さ、さようなら…?」
彼は足早にその場を去った。残されたのは、斜陽に照らされる僕1人。
「…帰りましょうか」
初めて恋人ができて、嬉しいはずなのに。
彼がさっさと帰ってしまったことに、心は引っかかりを感じている。
せっかく恋人になったのに、一緒に帰ることすら叶わないとは。
「あっ…教科書を忘れてきてしまいました…取りに行かないと」
彼と恋人になって一ヶ月ほど。
僕は教室に忘れ物をし、駆け足で取りに向かった。
あの時と同じ、赤い夕陽に照らされながら。
ギャハハハハ!!
「!」
教室に戻ると、大きな笑い声が聞こえてきた。
ちら、と開いているドアから中を覗き込むと、恋人の彼とその友人で談笑しているようだった。
「お前マジ悪だわwww」
「てか、ただの罰ゲームでこんなことになるとか思ってなかったwww」
「それなwww」
「あいつ弁当持ってくるし、一緒に帰ろうとか言ってくるしマジうざいwww」
「えっ…」
あいつ、とは多分僕のこと。
彼のために慣れない料理を頑張ったのに。
恋人らしく一緒に帰ってみたかっただけなのに。
うざかったんだ、僕。
「あーwマジ別れてーわwww」
「お前から告白したくせにwww」
「お前らが言うからだろーwww」
罰ゲームで告白。 いわゆるお遊び。
「あんなネクラ誰が気にかけんだよwww」
「しかも男だしなwwwよく付き合ってられんなwww」
「流石にそろそろフるってwwwキモいし暗いしうざいしwww」
「…」
告白を受けた僕が悪い。
好きになっちゃった僕が悪い。
“ノリ”がわからない僕が悪い。
傷ついてるのも全部、自業自得。
「…教科書とか、もういいや…」
僕は彼らに気づかれないようにそっとその場を離れ、泣きながら家に帰った。
「なぁ日本、やっぱ俺ら別れよーぜ」
「…はい」
「俺思ったんだけどさー、男同士だと色々メンドーじゃん?お前に苦労かけたくねーから、別れてくれる?」
「…わかりました」
「話早くて助かるわ〜、じゃーな」
「…嘘つき」
最後まで、嘘をつかれた。
本当は僕がうざくて、気持ち悪くて、面倒だと思ってるのに。あくまで僕のためにするんだ。
「は?」
あ、聞かれてたのか。
「お前さぁ、人がエンマンに別れようとしてやってるのに、嘘つきとかあんまりじゃねえ?」
「…」
「この際言うけど、お前うざい」
知ってる。
「女ならまだしも、弁当とかいらねーよ!気持ち悪りぃ…重いんだよ!!」
知ってる。
「ってかむしろ、キモいホモ野郎に夢見させてやった俺に感謝しろよ!」
「…あなたから告白したくせに」
「あんなの罰ゲームに決まってんだろ!!自惚れやがって!」
「……」
あぁ、やっぱり目の前で言われたら傷つくな。前が見られない。こわい。
「あばよ!このネクラ!」
「……僕、人を見る目ないな…」
数日後、僕はいじめを受けることになった。
男からの罰ゲーム告白にマジになって、本当の恋人のように接したホモだから、と。
そうじゃないのに。
僕は、好きになってしまった人が彼だっただけなのに。まあ、彼は僕が嫌いだったわけだけど。
いじめは学校全体まで範囲が広がり、そんな状態で学校に行けるはずもなく、家で父から勉学を教わった。
もちろん進学は県外の大学へ。そしてそこで就職した。これで、あの人たちから離れられると思ったから。
仕事は楽しかった。誰もこわいことを言わなくて、できた分はちゃんと褒められるし、たまにボーナスも出る。
頼れる先輩、厳しいけど優しい上司、楽しい同僚…全部完璧だ。
「ようやく平穏な日々が過ごせる…」
僕が大事にしただけだけれど、僕が全部の元凶だけれど…普通に就職できたことだし、父さんも安心してくれるはず。
「よっ、Japan。今いいか?」
「アメリカさん!どうかされましたか?」
この人はアメリカさん。 入社当初から色々と世話を焼いていただいた、尊敬する先輩だ。
「ちょっと向こうの会議室来てほしいんだ。伝えたいことがあるから」
「わかりました。ちょうど区切りもいいところなので、すぐ行きます」
「おう!ありがとうな!」
この人は笑顔が似合う。まるで太陽のように、周りがキラキラして見えるから。
「来てくれてありがとうな、日本」
「いいんですよ」
「…あのな、驚くと思うんだけど…聞いてくれ」
「はい!」
アメリカさんはいつになく真面目だ。最近昇進したと聞くし、僕にも何かあったりして…?
「俺…お前が好きなんだ」
「…へ?」
「別に付き合いたいとか、そういうことじゃない。ただ伝えたかったんだ」
「…どこで…」
「こんなこと急に言われても困るよな、できたらこれまで通り接してほしいけど…」
「どこで…その話を聞いたんですか…」
「…え?」
…僕、試されているのか?
「僕は、もう騙されませんからね」
「…え?」
「ノリが悪いとか思わないでくださいよ。本当に付き合えるかどうか試されるなんて…そんなに軽いやつだと思われたんですか」
「ちがっ…」
「わかってます、もういいですよ。結局は遊びなんでしょう?僕はもう遊ばれたくなんか…」
「なあ、話を聞いてくれ!」
急にガシッと肩を掴まれた。アメリカさんのサングラスは、この人の表情を読めなくさせる。
何を考えているのかわからない。
「なんの話だ?騙されないってどういうことだ?そもそも俺はノリで告白したわけじゃないし、本気で好きなんだ!」
あぁまずい、墓穴を掘った。
「…ぼ、僕の…誤解だったようですね…ごめんなさい、離してください」
「嫌だね。ちゃんと答えるまで帰さねえ」
この人のこういうところは、少し苦手だ。普段は浅く広くな接し方をしているのに、ふっとした瞬間に急接近してくる。
こわい人だ。
「…何もありませんってば。離してください」
「嘘だろ、声震えてる」
この人、妙に観察力がすごいのなんとかならないのかな…
「ほ、本当に何もありませんから…」
アメリカさんはあの時の彼と同じ、真剣な眼差し。
でも…あれ?あの時より、ちゃんと見つめてくれてる…ような…
「好きなやつが傷ついてるとこなんか、俺は見たくねえんだ。なんでもいい、とにかく俺に話してくれないか?」
騙されちゃダメだ。
こうやって僕を釣って、話したら社内に広める気だ。僕を罵るために聞いてるんじゃ… なんて、下衆な考えばかりが浮かぶ。
「…そんなに言いたくないほど、辛いことなのか?」
「……」
肯定も否定もできなかった。肯定すれば何かあったと言っているようなものだし、否定はつらいと叫ぶ僕の心を無視してしまう。
「…大丈夫だぜ、俺はどんなことがあってもお前が好きだ」
アメリカさんは僕を抱きしめた。
暖かくて、優しくて、甘えたくなってしまうほど安心した。
でもダメだ。こんなことで簡単に信用してしまったら、きっとまた傷つくことになる。
「…もう、この際言ってしまいましょうか…」
本当に好きって言うなら、この話くらい乗り越えてもらわなきゃ。
…まあ、どうせ違う。ここは良いところだったのに、転職しなきゃいけないのかな…
「…それ、マジ?」
「ええ、マジですよ。なんですか?引きました?やっぱり貴方もその程度で…」
「違う違う!」
てっきり引いているかと思えば、彼は笑顔だった。
愉快そうに口の端を上げて、ニヤつく、という表現がピッタリだった。
「えと…あの、な?俺…今だいぶテンション上がってんだわ…」
「…どうしてですか?」
「…結構クズなこと言うけど…いい?」
「ど、どうぞ…?」
…なるほど?遊びで告白したら、本当に男と付き合っていた過去があるとわかり、罵れるとでも考えられたわけだろうか。
「日本て…男もいけるんだな?」
「え、えっと…ま、まあそうなる…んですかね?」
女の人も好きになるけど…絶対に無理とかそういうわけではない。
どうしてそんなことを聞くんだろう。
「よかった…」
「…え?」
「俺な、半分諦めてたんだよ。同じ男だしな〜、付き合えねえよな〜って」
…この人、もしかして本気なんじゃ…
「でもよかった!日本が男もいけるならよ、俺にもチャンスあるよな?改めて告白させてくれ」
「俺と、付き合ってください!」
「あれ、馴れ初めにしては殺伐としてましたね〜」
「懐かし〜、あの時の日本はマジで人間不信だったよな」
「しょうがないじゃないですか、本当にトラウマだったんですもん」
「そういやあ、その時の男はどこ行ったんだ?覚えてるなら俺が制裁するけど」
「それが、わからないんですよね。父さんたちに相談してすぐ、行方不明になったらしくて…なんならその学校まで廃校ですよ?なにがあったんでしょうね〜」
「何があったんだろーなぁ…HAHAHA…」 (…お義父さんがやったんだろなぁ〜)
コメント
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ガチ泣きしました......尊いな…
ちょあの屑共しばいてくr父さんスゲェェッ!!!!(