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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第42話 - 第42話 【怪物教師・大槻】跳び箱に刻まれた公開処刑の記憶!共通の敵の誕生?
46
2,518文字
2026年05月12日
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42-1◆跳び箱に刻まれた屈辱◆
轟木たちに囲まれたまま、俺はカーストスカウターを作動させ続けた。
新機能──人間関係相関図を、轟木剛造に向けてスキャンする。
轟木剛造を中心に展開される相関図。そこに表示されていた意外な名前。
《大槻理人》──洛北祥雲学園バスケ部 顧問。
大槻の名と轟木の名前を結ぶ赤い太線が、激しく点滅していた。
(この二人、強く対立してる?)
だが、その線の意味まで、まだ読み解けない。
「おまえが認めなくても、どうでもいい、お前がクロってのは、もう俺らの中で確定してるからよ」
坂元の声。次の瞬間、強烈な蹴りが俺の腹に叩き込まれる。
「がっ!」
地面に崩れかけながらも、視界の片隅に自分自身と大槻との記憶がよみがえる。
思い出したのは、1学期。あれも「逃げ場のない時間」だった。
体育の授業。いつもの先生が休みで、代理として現れたのは――大槻理人。
洛北祥雲学園のバスケ部を率いる伝説の指導者。普段は授業なんかほとんど持たない。
そんな男が、俺たちの前に立っていた。
「今日は跳び箱、8段な」大槻の声はよく通る。けれど、どこまでも冷たい。
跳び箱を前に、足がすくむ俺。けれど、大槻は言った。
「音無、行け」
助走に入ろうとしたその瞬間――その瞬間、大槻が笑った。
「ははっ。お前、ビビりすぎて走り方がチキンなんだよ」
ざわめく生徒たち。俺は顔を伏せるしかなかった。
「おいみんな、今日から《チキン音無》って呼んでやれ」
どっと笑いが起こる。
次の瞬間、それはもうあだ名として教室に根を張った。
「その構えと助走じゃムリだな。見とけよ、お前ら。怖がってるやつの跳び方ってやつを」
体育館の空気が、凍りつく。クラス全員の視線が、俺一人に突き刺さる。跳んだ。
けど、跳び箱の上で体が潰れて、落ちた。
「ほら見ろ。勇気はあるけど、実力が伴ってない奴ってのは、こうなる。大事な教育だぞ」
大槻は笑っていた。その声が、今でも耳に残ってる。二回目。
「音無、次は跳べるよな?さっきの失敗から、ちゃんと学んだよな?」
あれは授業なんかじゃない。公開処刑だ。
再び跳ぶ――けど、また落ちた。膝の痛みも、声にならない笑いも、全部が焼きついた。
「失敗を恐れてる時点で、人生負けてる」
床に座り込んだ俺を見下ろして、そう言った大槻の目。あれは、指導者の目じゃなかった。
「もう一回行け。失敗は恥じゃないってとこ、次は見せてみろ」
そう言われて、何度も跳ばされた。三回、四回、五回――。
全員の視線を浴びながら、転び続けた。
もはや授業ではなかった。あれは――処刑だった。大槻は満足げだった。
まるで自分の演出に酔っているように。
跳び箱の脇、床に座り込んだ俺の手が、かすかに震えていた。
膝の痛みなんてどうでもよかった。胸の奥が、冷たい泥のように重かった。
その時、ふと思った。――こいつ、何なんだ?初対面だぞ?こっちは何もしてない。
逆らったわけでも、侮辱したわけでもない。
それなのに、なぜここまで――徹底的に貶められなきゃいけない?
(この人間、どこかが壊れてる)そう確信した。
教師として? いや、人として――何かが、根本的に破綻している。
俺は黙って立ち上がった。何も言わずに、静かに、でも確実に心に刻みつけた。
(絶対に忘れない)あのとき、あの瞬間。
俺の中で、大槻理人という人間は、憎しみの対象になった。
42-2◆脚本家がカマをかける◆
俺の思考中でも、当然、彼らは待ってくれない。坂元の蹴りが、わき腹に突き刺さった。
「くっ!」
奏:「ミラー、見ての通り、大ピンチだ。だが、新しい機能が発動してる。これ、どう使えばいい?」
ミラー:「お前にも轟木にも、大槻とは因縁があるようだな。そこに活路がある。」
奏:「そんなこと言ったって、どうやって――」
ミラー:「思い出してみろ。轟木を以前スキャンしたときのことを。」
思い出せない。けど――もう一度、俺は轟木の顔を見つめ、スカウターを再起動する。倒れ込みながらも、俺は視界の端に浮かぶインターフェースを見つめた。
《カーストスカウター:機能解放中》
《キャリア・ディグ:ACTIVE》
《Target: 轟木 剛造》
《脅威レベル:S+(接触回避推奨)》
《部活動:元柔道部(1年時 廃部)》――
(元柔道部?1年時 廃部?)
『それって何か大槻と関係がありそうでは?』
「お前は俺らを利用して、三好を制裁させた!」
轟木の怒声が飛ぶ。坂元が怒りに任せて俺の襟元を引き上げる。
(落ち着けここで潰されてたまるか)
坂元も続く。
「お前のやり方は汚すぎる。長峯を危険に晒しそして俺たちを利用する。一体、何が目的だ」
俺は、ゆっくりと立ち上がる。
恐怖を押し殺して、ただ轟木の瞳を真正面から見据えた。
ミラー:「お、かっこいいじゃないか。どうする?」
奏:「ありがとう。ミラー。元柔道部1年時に廃部、大槻との関連。カマをかけてみる」
ミラー:「まず論点をすり替えろ。そしてお前の機転を見せてくれ」
「目的?そんなものはない。ただ、分かっただけなんです」
「何が分かったってんだ?」
「この学園では、正義だけじゃ何も変えられないということです。違いますか、轟木さん」
「!」
「本当に才能のある人間が、真っ直ぐに生きようとしただけで――全てを奪われる。そんな理不尽を、俺は見てきた」
俺は一瞬、目を伏せた。まるで、何かを悼むように。
「たとえば、あなたの柔道部のようにな」
「お前、大槻と柔道部の例の事件のことを言っているのか」
ミラー:「お、もしかしてビンゴ???」
静寂が落ちた。轟木の眉がぴくりと動く。轟木の脳裏にあの日の光景が鮮烈にフラッシュバックしたのを、俺のスカウターは見逃さなかった。
【思考残響観測:起動】
【Keyword:柔道部、大槻、絶望】
【深層記憶ディープ・メモリーへのアクセスを検知。再生します】
俺の脳内に、轟木と大槻の因縁、その全てが流れ込む。
そのあまりにも、壮絶な真実に俺は一瞬息を呑んだ。
だが俺はその動揺を、完璧に隠し切った。
「あなたと同じ。僕も大槻には少し、痛い目にあってますからね」
言葉を選びながら、静かに笑った。
「もし大槻を潰すっていうなら俺、協力できますよ」
風が吹いた。何かが、静かに動き始めた気がした――。
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れいとうみかん