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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第43話 - 第43話 【ハッタリの誓約】影の帝王を飲み込む「未完の脚本」!孤独な観測者が友に明かした夕闇の告白
24
2,131文字
2026年05月13日
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れいとうみかん
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43-1◆影の帝王との悪魔の契約◆
俺の脳裏に、焼き付いた跳び箱の記憶。その屈辱と憎悪の炎が、俺の中の恐怖を焼き尽くした。俺は、顔を上げる。そして目の前の影の帝王、轟木剛造を真っ直ぐに見据えた。
「僕と、あなたは手を組むべきだ。轟木さん」
俺は切り札を、切った。
「僕もあなたも大槻理人を、憎んでいる」
しかし轟木は、首を縦には振らなかった。彼の瞳には、意外なほどの理性が宿っている。
「馬鹿、言うな。確かに俺は大槻を潰したい。だが俺の復讐に今のバスケ部を巻き込むつもりはねえ。長峯には、俺が果たせなかった夢を、バスケで叶えてほしいんだ。バスケ部を常勝軍団に育てたのは、明らかに大槻だ。その事実は変わらねえ」
(くそっ)切り札だと思っていた「共通の敵」のカードは、あっさり無効化された。
俺は大きな勘違いをしていた。この男はただの不良じゃない。
轟木剛造――こいつは、理想のために現実と妥協し続けてきた男だ。
「バスケ部を無傷にして、大槻だけを葬る。そんなことが可能だと思うか?」
そう問いかけられた瞬間、俺の背筋を冷たい汗が伝った。
「俺らも何度も考えたんだ。おまえに何か策略はあるのか?」
――策略?あるわけがない。俺の脳内は、まだ真っ白だった。
ミラー:「どうする脚本家先生。お前の脚本は、まだ白紙だぞ」
奏:「うるさい。帰ってから、じっくり書く」
だが、今は演じきるしかない。俺は顔を上げ、轟木の鋭い瞳をまっすぐに見返した。
「僕の脚本通りに進めば、大槻だけを社会的に抹殺し、バスケ部には一切の被害は出ないと約束します」
坂元が鼻で笑った。
「は?お前、その場しのぎのハッタリかましてんじゃねえぞ」
ミラー:「そのとおりだな 奏」
奏:「わかっている。黙っていてくれ」
「僕のやり方は、あなたたちとは違う。暴力なんて野蛮な手段は使いません」
俺は一歩前に出た。
「もし、轟木さんが大槻を殴って大ケガを負わせたとします。どうなります?あなたは即退学です。そして長峯くんはあなたを決して許さないでしょう」
「僕は――情報と心理で、大槻を自ら破滅させる。その脚本を、僕は今まさに書き始めてる」
もちろん、真っ赤な嘘だ。今の俺にはまだ、漠然とした構想すらない。だが、俺は絶対的な自信を装って言い放った。いや、この場を乗りきるにはそれしかなかった。
轟木は、沈黙のまましばらく俺を睨みつけていた。
そして――
「面白え。気に入ったぜ、音無 奏」
口元に、獰猛な笑みが浮かんだ。
「乗ってやるよ、お前の脚本に。成功すりゃ儲けもんだ。どうせ諦めていたことだしな。ただし、長峯やバスケ部に少しでも被害が出たら――そのときはお前の心臓、俺が直にえぐり出してやる。それでいいな?」
「はい」
俺は静かに、だが確かに頷いた。
こうして俺と、学園の影の王との間に、歪で、危険すぎる同盟が生まれた。
その場しのぎの嘘によって。
43-2◆友と交わす最初の真実◆
屋上の重い鉄の扉を、俺は震える手で、ゆっくりと閉めた。
轟木剛造という、圧倒的な「暴力」と、坂元要介という、底知れない「知性」
影の帝王たちとの息詰まるような対峙。俺はからくも生き延びた。
教室に戻るとほとんどの生徒が帰宅した後の、がらんとした空間で、たった一人、山中駿平が俺を待っていた。
俺の姿を認めた瞬間、彼は椅子から転げ落ちそうな勢いで駆け寄ってくる。
「音無!大丈夫か!? 生きてたのか! あいつら、お前に一体、何を!」
俺は彼のその必死の形相を冷静にスキャンする。
いつものようにゴシップを求める情報屋の顔ではないことを確認するために。
【Target: 山中 駿平】
【感情分析:純粋な心配(85%) 野次馬的な好奇心(15%)】
【対あなたへの評価:75(友人)】
その瞳にあるのはゴシップへの好奇心ではない。
純粋な友人への心配の色が浮かんでいた。
奏:「こいつ、いいやつだな」
ミラー:「おまえにとってただの情報源だったやつに、何か感情が芽生えたか?」
奏:「うるさい。少し疲れているだけだ。」
俺たちは、並んで夕暮れの帰り道を歩いていた。
山中の、心配そうな声だけが、やけに大きく聞こえる。
奏:「山中は何も知らない。俺の特殊能力も、俺が書いた醜い脚本のことも」
ミラー:「でも奏という得体のしれない存在を「友人」として心配してくれている」
奏:「ここまでの事情を言える範囲でこいつにだけは伝えておくよ」
ミラー:「奏、お前も少し変わってきたな」
「山中」
俺は、珍しく自分から口を開いた。
「少しだけ、話しておきたいことがある」
俺は全ては話さなかった。話せるはずもなかった。
三好が長峯に絡んだあの事件。その原因となった「メモ」を俺が書いたと、轟木たちが疑っていること。それからその疑いを晴らす、というわけではないが、結果として轟木が憎んでいる大槻コーチへの「復讐」に、協力させられることになった、と。
話せる範囲内で山中に打ち明けた。
山中は、絶句していた。
「マジかよ。お前、とんでもないことに巻き込まれてるじゃねえか」
俺は、隣を歩く友人の顔を盗み見た。
奏:「俺は悩みや秘密を、少しだけ誰かと共有できた」
ミラー:「悪くない気分だろ?」
俺は、その問いには答えなかった。
ただ夕焼けがいつもより、少しだけ綺麗に見えた気がした。