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よいおこないをしたひとは てんごくにいって てんしに
わるいおこないをしたひとは じごくにいって あくまに
このよにみれんがあるひとは げんせのまま だてんしになる
「ああかみさま どうしてあなたは わたしのたいさつなともを つれていったのですか?」
「ともがいないこのせかいでいきていくなんて わたしにはつらすぎます」
そういっててんごくにいこうとしたおとこは せなかにくろいつばさがはえて だてんしになってしまいました
「ああかみさま どうしてあなたは わたしをこんなすがたにしたのですか?」
かみにといかけたおとこに かみさまはいいました
「それは あなたがあのよに みれんをのこしたままきえたからよ」
だてんしは げんせでのみれんをはたさなければ てんしにはなれないのでした
「そんな ならばわたしは どうやってこのみれんをはたせばいいのですか!?」
「かれがいないのに みれんなんてものははたせません」
おとこはそういって ぜつぼうにみちたまま げんせをさまよいつづけたのです
「この絵本は難しかったかなあ…」
「はなめねぇちゃん、このおとこのひとはどうなっちゃったの?」
「んん? それじゃあ…
「夢?」
『チュンチュン』
昇った日の光が、部屋のカーテンの隙間から差し込む
少し開けた窓の外から入ってくるそよ風が涼しい
「ふあぁ〜あ」
大きなあくびをして、ムクリとベットから起き上がる
ふと時計に目をやると、時刻は8時を指していた
「え”?」
「「「「ちこくじゃーーん!!!!!!!!!!」」」」
家中に大声が響き渡る
ドタドタと階段を降りる音が聞こえたかと思うと
「おはよう母さんっ! なんで起こさなかったのっ!?」
母「だって〜、あまりに気持ちよさそうに寝てたから。 なんかいい夢でも見たの〜?」
朗らかで落ち着いた母さんは、のんびりした口調でそう言った
「それどころじゃないよ〜っ‼︎ 今日遅刻しちゃう! わたしの万年皆勤賞がかかってるのに〜っ!!」
ラン「おねえ今日はめずらしいね、いつもは早起きなのに。」
ワイシャツのボタンを止めるのに手こずり私が痺れを切らしていると、三つ下の弟のランが不思議そうにそう言って家を出るところだった。小学五年生のランは、成長した背中にランドセルを背負って靴を履いている。
「ラン、もう出るの?! いってらっしゃい!!」
焦りながらカバンに荷物を詰めてゆく
ラン「行ってきま〜す。」
少し眠たそうにあくびをしながらランは学校へと向かっていった。私はというと、遅刻という焦燥感ですっかり目は覚めていた。
お決まりの赤いカチューシャを定位置にかけてから、ランの後を追うように私も家を出ようとする。
母「待ってレイ。お弁当忘れてるわよ〜。」
「ありがとう母さんっ!! 行ってきますっ!!」
お弁当をカバンに仕舞い込んで、いまだに履き慣れないローファーを履いてから豪快に扉を開けた私を
「はい。いってらっしゃい。」と母さんは見送ってくれた。
7月の初旬の空気は、暑いのに爽やか。澄み渡った青空の街並みを、私は全速力で駆け抜けていく。
目の前を早々と通り抜けてゆく風が、今はただ心地いい。
『なんかいい夢でも見たの〜?』 今日は何の夢を見たんだっけか でもなんか いい夢だった気がする。
「ヤバいヤバいヤバいっ!!」
校舎を目前とした私はラストスパートで走り切ると、なんとか校門前のゴールを決めることができた。
廊下は走らない というどの学校にも一つはあるであろう書き置きを堂々と無視して、教室までなんとかたどりついた。
「ふう、ギリギリセーフ」
浦野「ギリギリアウトだろ」
予鈴のチャイムと同時に、教室の扉に手をかけてそう言った私に、クラスメイトの浦野が話しかけてきた。
『イラ』 「おはよう 浦野」
浦野「はよ」
教室の雑騒とした空気の中、あいさつを交わして浦野の隣の席にどっかり腰掛けると、ちょうど先生がやってきた。
『ガラガラガラ』
教師「おはよ〜う。ホームルーム始めるぞ〜。」
『キーンコーンカーンコーン』
『ガコンッ』
自販機で購入したいちごミルクの容器に、プスっとストローをさして飲み始めると、昼休みの何気ない会話が聞こえてくる。
生徒「この前さ〜、彼女が俺のこと振りやがったんだぜ!? マジでムカついてる‼︎ 地獄に堕ちればいいのにっ!」
生徒「そんなことじゃ神サマ地獄には連れてはいかんだろ。」
生徒「〜〜〜〜〜〜〜。〜〜〜!」
(地獄、ねえ…)
「いっただっきまーす!!」
教室に戻ったレイは、自分の席でお弁当を食べるところだった。
「もぐもぐ」
大きな真っ白いお米が、次々にレイの口にと運ばれてゆく。
浦野「お前って食い意地はってるよな…。」
隣の席の浦野は、購買で買ったパンを食べている。あれが昼食らしかった。
「食べないとでっかくなんないぞ! もぐもぐ」
浦野「お前ほど食べたいとは思わねえよ…。」
「……………。なあ浦野。 天国と地獄って、ほんとにあると思う?」
おかずの卵焼きを口に消化し切ったところで、そう尋ねてきたレイに対して浦野は、
浦野「天国と地獄? んなもんは死んでみねえとわかんねえだろ。」
と、いかがわしげな視線付きでそう答えた。
「じゃあさ、前世ってあると思う?」
どこか遠くを見ながら、レイは漠然と問いかける。
浦野「はぁ〜?知らねえよ。 そういうもんて、大概あっても知らねえだろ。」
「お前今日大丈夫か? 柄にもなく遅刻とか。」
「遅刻ギリギリね!? ……なんか今日、変な夢見たんだよ。」
浦野「どんな?」
「誰かに、、、、、、 えっと〜 どんな夢だったっけ?」
浦野「何だよ、忘れたのか?」
「あれ〜?でもなんか見たんだよ。」
浦野「まあ夢ってすぐ忘れるもんだからな。」
「うーん、そっかあ。」
食べ終わった弁当箱を片付けようとすると、一枚の付箋が出てきた。
「あ」
[レイちゃんへ 卵が切れちゃったからお使いお願いします♡]
教師「最近は物騒な事件も増えているので、気をつけて帰ってくださいね。」
『ざわざわ』 下校の時間 部活のある生徒は、校庭で準備を始めている。 浦野もその一人。
「「またな〜!浦野。」」
靴を履き替え終えて、グラウンドに向かおうとする浦野に声をかけた。
バッとこちらを振り返ってかと思うと、「……おう。また明日。」と無愛想にそう言って、また歩き出していった。
部活のない私は、すぐさま下校する。 母さんからお使いの任務を遂行するために、私はその足でスーパーに向かった。
「はあ〜っ。最近は卵も高いなあ〜。」
スーパーのレジ袋を垂れ下げて、いつもの道を歩いて帰路についた。 日が沈み始めた空と、それに反射するような街並みは真っ赤に染まっていた。
(なんだかデジャブに感じるのは何でだろう。)
この光景が、何だか懐かしく思えた。歩き慣れた通学路は、何十年も前から踏みしめていたもののように感じる。
そう、夕焼けが照らす道に逆光する人影が、ちょうどそこにーーー
私は目を見張った。それは初めて見るもので恐ろしいはずなのに、なぜか懐かしい。
私の目の前に現れたのは、黒い翼を宿した、天使だったのだ。