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太中
まぁ、ゆっくり読んでくださいね
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あのとき首領が撮った写真だ
いつかの任務終わりで、喧嘩しながら帰ってきて
そのときの
写真
𐦍
𐀔
𐦍
𐀔
白い天井に
白い壁の窓から光が差し込んでいた
狭いとも広いとも言えないような部屋だった
俺が横になっている寝台の横には小さな花瓶に入った花が飾ってあった
何処か嗅いだことのある独特な匂いが包み込む
そこは病院の一室で、
辺りは異様な程に静かだった
静かな病室で一定の音を刻む時計の針の音が聞こえる
昼ぐらいだろうか
窓の外から日光が差し込んでいて、カーテンが忙しなく動いていた
この病室を出たら、
またあのときみたいに
『いらない』
『いらないから其奴』
わかってる
知っている
でも、もう太宰は、憎たらしい彼奴は
もういない
俺が殺した
もう、あの頃に帰りたいどころか、もう帰ってこないじゃあないかッ……、…
それから少し経って、扉の一部の磨りガラスの先に人影が見えた
太宰だと思った
反射的にそう思っただけ
どうにかしてここから逃げ出さなきゃと思って、腕の点滴を抜いて、開いている窓から外に出ようとした
でも、病室は二階程の高さがあって正直、怖気付いた
中に医者が入ってきて、窓から降りようとしている俺を見て、一目散に身を呈して止めた
其れから医者は、俺が目を覚ましたことを首領に連絡した
俺はただじっと医者が電話していた姿を見ていた
もうあのときみたいに抵抗はしなかった
だってもう俺はいらないのだから
暫くして、首領が扉を勢いよく開けて中に入ってきた
心配した と何度も何度も言っていた
だけども、俺はそんなこと聞いていなくて、ずっと太宰のことを考えていた
全身に冷や汗をかく感覚が俺を襲ってきて、どうにかなってしまいそうだった
首領の顔を見ることなんて出来なかった
俯いて、俯いたまま、なけなしの声で
『…ごめんなさい…ッ…、…』
『殺しちゃって…ごめんなさい…ッ』
自分でも意外なほど、弱々しい声が出てきた
首領は一瞬固まって、其れから俺が何を言っているのか分かっていない様子だった
「殺したって…誰を……?…、」
『彼奴…、…太宰を…ッ俺は……、…ッ』
「な、何を言っているか…、…さっぱり……そもそも太宰くんは四年前から組織を抜けていて……、。」
四年前?…抜けた?俺達はいつでもどちらかのそばを離れなかった
首領は何を言って……
「君は四年前に倒れたんだよ」
……そんな訳がない
だって、俺には彼奴に付けられた傷の証拠だってある
俺は咄嗟に自身の腕をまくる
……ない。どこにも。
あの青と赤の痣、傷口、どこにも見当たらない
見当たるとすれば点滴を無理矢理抜いた跡ぐらいだ
ならば、今までのことはすべて悪い夢だった?
それならば辻褄は合う
俺は心の底から、心底安心した
殺してなんかいない
これもあれも全部全部ッ悪い夢だった!
あぁでも、
そもそもなんで太宰は抜けた?
……なんで…って
…あぁ
全部俺のせいだった
俺があのとき、彼奴の手を引気止めて居たら、 あの頃のまま…
どちらにせよ、太宰とはもう会えないのだ
もう考えたって仕方ない
仕方がないことなのだ
『…彼奴は今、何処にいるのだろうか……』
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お疲れ様でした!
なんか久しぶりに書きました
すばるでした