「俺、彼女出来た。」
それは、昼休みの出来事だった。僕は、いつも通りお弁当を食べようと屋上へ向かった。屋上は、人が余り居ないので自分の中では、お気に入りの場所だ。入り口から、少し離れたところに中学校からの友達の綾人が日向ぼっこをしていた。しかし、今日は一人で居たい気分だったのでバレないようにと静かに移動した。
「あ、おーい!雪」
綾人は、こちらに気づいたのか大きな声で呼んで来た。面倒だなっと思いながらも僕は、すぐさま綾人の方へ駆け寄った。
「何だよ、綾人。」
綾人は、ニコニコしながら言った。
「話したいことがあるんだ。」
僕は、どうせ下らない話だろうと思いながら、一応聞いてみる事にした。
「何だよ。話って」
「それがさ…」
僕は、思いもよらない言葉が、返ってきたので衝撃的だった。前までは、「彼女なんて、居てもあんまり変わんないよな」などと言っていた綾人に、彼女が出来たからだ。けれど、僕は綾人の事だから思い嘘なんだろうと分かった。
「おい、綾人。そんな嘘つくだなんて、落ちこぼれたもんだな」
そう、僕が言うと綾人はニヤリと笑いながら1枚の写真を見せてきた。それは、学年1の美人の山村春奈ちゃんと綾人のツーショット写真だった。しかも、そこに写っていた春奈ちゃんは、少し顔を赤らめていた。僕は、不思議と少し嫌な気持ちになっていた。
「どうだ?羨ましいだろう」
綾人は、自慢げにそう言った。とっさに聞かれたので、僕は愛想笑いをしながら、言った。
「すごいね、うらやましいなー」
その時僕は、この気持ちは何だろうと気になってしょうがなかった。
―終わり―
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