志乃は涙をこらえながらも、覚悟を決めていた。
「ごめんね、圭吾……」
その言葉は刃のように重く、そして自分自身をも傷つけていた。
「裏切るなんて、私が一番嫌いなこと。
でも……これが私の選んだ道。」
彼女の心は引き裂かれていた。
愛する人を傷つける痛みと、
守りたい誰かを救うための苦渋の決断。
「あなたの闇は深すぎて、
私ひとりじゃ救えない。
だから、私は――」
志乃の目が鋭く光る。
「…裏切る。
でも、それは終わりじゃない。
これは、あなたを救うための、
最後の戦いの始まり。」
胸の奥で渦巻く想いが爆発する。
「ごめんなさい、圭吾。
でも、あなたのために。
あなたが光を取り戻すために。
私、あなたを信じてる。
だからこそ、いまはこの道を選ぶ。」
心は引き裂かれ、涙は止まらない。
だけど志乃の瞳は、強く揺るがない覚悟で満ちていた。
「いつか、また――
私たちの絆が、
闇を越えて繋がるその日まで。」
闇に背を向けて進む志乃の姿に、
その裏切りがどれほどの愛から来ているのかを、
誰もが知らないのだった――。