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あの日から、俺はずっと元貴のところで過ごしていた。
元貴と一緒に居ることが、俺の全てだった。
ある夜、
滉斗「元貴、外に出てみようよ。星が綺麗だよ。」
と、元貴を誘った。
元貴はあんまり外に出ちゃいけないってお医者さんに言われたけど、このくらいなら大丈夫だろう。
元貴との思い出を増やしたい。
元貴「、うん…」
なんだか悪い事をしてるような、暗い声色で、元貴が返事をする。
元貴と手を繋いで外へ出て、大きな木の下に座り、星を眺める。
もう夜中なのに、星のおかげで辺りは光に照らされている。
元貴「ねえ、滉斗。」
不意に、元貴が言った。
元貴「なんで人って、大切なものをつくりたいって思うのかな。その人が死んじゃったら、全部無くなっちゃうんだよ?」
元貴はこちらに顔を向けず、上を見上げたまま話し続ける。
元貴「僕は、どうせ亡くなっちゃうなら大切なものは増やしたくない。自分が辛くなるだけだから」
元貴からそんなふうに言われると、自分の死を予知しているみたいで、すごく悲しくなる。
滉斗「、、俺は、死んでも、その人が今まで抱えてきた物は無くならないと思うな。そのまま、天国に持っていけると思う。だから、元貴とこれからも一緒に居たいし、守りたいって思うよ。」
元貴「、、そっか。」
滉斗「…元貴。」
元貴の頬にそっと指を添わせて、目を見つめる。
元貴「、、」
元貴が目を閉じる。
俺たちは、星空の下でキスをした。