青白く輝く月が、私の顔を覗き込む。
時刻は1時。
何故か今日は目が冴えてしまっていて、とても寝付けない。
仕事をしようにもやる気が起きない。
どうしたものか、そう考えていた矢先、扉がノックされる。
『誰だ?』
「私だ、日帝。」
『英帝さん…?』
どうやら、私の同盟相手が来たらしい。
『こんな時間に何故起きているのですか…?』
「まぁまぁ。君もそうだし、細かい事は良いじゃないか。」
『…深夜に何の様です?』
「今から私の部屋に来てほしくてね。」
『今から、ですか…』
「勿論無理にとは言わないよ。君が折角の私の誘いを無下にするだけだからね。どうする?どちらでもいいよ。」
『そんな言い方しなくても…私行くつもりなんで。』
「…そうか、ふふ、そうこなくては。」
赤がかった茶色の廊下を二国並んで歩く。
年季が入っており、所々ぎしぎしと鳴る。
私にあてられた部屋と英帝の部屋は近い為、すぐ着くようになっているが、夜も深く、それに両者無言である為に長く感じた。
部屋につき、中に通してもらうと、如何にも高級そうな椅子と机が待ち構えていた。
待っていて、と言われ、椅子に腰掛ける。
既に何回かこの机と椅子を使った事があるが、やはり慣れないな。
「待たせたね。」
そういい、何かを持ち、こちらに近づいてくる英帝。
何か、は紅茶だったようだ。
「紅茶にはリラックス効果があるんだ。飲んでみて。」
そう催促され、一口飲んでみる。
ふわりといい匂いが口いっぱいに広がる。
熱すぎず、飲みやすい。
「アールグレイを入れたんだ。」
『あぁ、なんとなく知っていますよ。』
「はは、そうか。お味はどうかな?」
『えぇ、それはもう。とても美味しいですよ。』
「それは光栄だ。ありがとう。」
笑顔がまるで絵のようで、顔が良いとつくづく思う。
…どことなく怖さもあるが。
それから二十分もたたないくらいに、段々と眠気がおしよせる。
分かりやすかったのか勘付かれてしまった。
「眠いかい?寝るなら私のベッドで寝ると良いよ。」
『え…っと、流石に其処までは…』
「移動していると眠気が覚めるだろう。遠慮は要らないからね。」
『…そこまで言うのなら…』
「ほら、ここだよ。」
大きいベッドが一つ置いてある部屋に、何故だか姫抱きで連れられ、ベッドに優しく落とされた。
英帝の匂いに包まれて、心地良い。
優しい声で、おやすみ、と言われたら、意識はそこで途切れた。
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