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1551年 1月 尾張国 鳴海城斥候「殿大変です!」
鳴海兼清「なんだ?申せ」
斥候「織田軍2000が盛清様の居られる大草城を奇襲、城は落城との事」
鳴海兼清「息子は!盛清は落ち延びたのだろうな!」
兼清は怒り任せに立ち上がり胸ぐらに掴みかかり
斥候「わ、分かりませぬ盛清様は城に残り」
鳴海兼清「ちぃ!役たたず共が!」
そのまま投げ飛ばし
鳴海重臣「と、殿一先ず急ぎ城に兵を」
鳴海兼清「ああ、すぐにも城に集めよ」
しかし思った程に城に兵は集まらず、ついに織田軍が鳴海城を包囲する
如月純直「殿急ぎ城攻めの下知を」
織田信孝「出来れば兼清の捕縛しワシの元へ連れてま入れ」
三ノ輪義重「はっ!お任せ下さい」
織田信孝「城攻めだ!」
鳴海兼清「来たか、敵を迎え撃て!」
兼清は自ら前線で指揮を取り弓や槍を使い敵を食い止めた
三ノ輪義重「そこそこの将とお見受け致す、三ノ輪義重参る!」
鳴海兼清「織田家の三ノ輪義重か、相手にとって不足なし」
2人が刃を交えるが一枚上手の兼清に軍配が上がった
三ノ輪義重「久方ぶりの強者だ、殿不覚を取り申し訳ございません」
鳴海兼清「敵でなければ酒でも交わしたかった、うぐっ!」
突然背後から斬られ絶命した
如月純直「大丈夫か、敵はあと少しだが」
侍大将「おのれ!兼清様の仇!うぐっ!」
純直に瞬殺されたが次の瞬間2人は血の気が引いた
織田信孝「出来れば兼清の捕縛しワシの元へ連れてま入れ」
如月純直「義重!何故コイツが兼清だと言わない!?」
三ノ輪義重「バカ言え!ワシも知らなかったんじゃ!」
如月純直「敵将の名と顔ぐらい把握しとかぬか!」
三ノ輪義重「ワシが悪いのか!?そもそも一騎打ちの戦いに背後から斬るのが!」
如月純直「やかましい!御主を殺られそうだから助けたんだろ!」
その後鳴海城は陥落し二人は渋々事の次第を信孝に報告した
織田信孝「それで兼清の首取って来ちゃったと…盛清よ、一応御主の父で相違ないな?」
鳴海盛清「は、はい父兼清で相違ないです」
織田信孝「そうか、遺体は丁重に葬る故案ずるな…連れて行け」
盛清は織田家臣に連れて行かれた
伊吹良利「殿、一先ず戻りましょう後の始末は某が」
織田信孝「そうだな良利頼んだぞ」
伊吹良利「はっ、お任せを」
その後織田軍は帰城し後に評定が行なわれ伊吹良利は旧鳴海領を正式に与えられ鳴海城の城主になった副将として鳴海盛清が選ばれた、更に此度の評定で山崎正政が岩崎城の城代に選ばれた、そして捕虜となっていた鳴海光弘は鳴海城落城から2ヶ月後この世を去る享年66、盛清が鳴海城の副将になってから僅か10日後の事であった
1551年 4月 鳴海城
伊吹良利「盛清よ」
鳴海盛清「良利様如何なさいましたか?」
覇気を感じぬ事を察して
伊吹良利「父と叔父を失ったのだ、四十九日が過ぎるまでしっかり養生せよ」
鳴海盛清「はっ、すみませんがそう致します」
1551年 8月 尾張国 清洲城
織田信孝「梁田殿すまぬな、わざわざ呼びつけてしまって、まあとりあえず座ってくれ」
高元は迷わず座り込む信孝に問いただす
梁田高元「なんぞありましたかな?」
織田信孝「尾張での暮らしは慣れましたかな?」
梁田高元「ええ、お陰様で今年は豊作でしょう、一揆もなく畑を荒らす害獣も賊もいないですからね、ひとえに織田家の力でしょうかね」
織田信孝「左様か、梁田殿我ら織田家は領土を拡大したいと思うが三河の川崎を攻めるか、伊勢の長島を攻めるべきか、梁田殿其方ならどちらを攻める?」
絵図を高元に渡し高元は吟味ししばし悩んでから信孝の方を見て
梁田高元「攻めるなら西でも東でもなく北でしょう、つまりは美濃の梁田です」
織田信孝「ッ!…良いのか?同族だぞ」
梁田高元「しかし、今の織田が領土拡大するなら底しかありません、それに別に戦だけが領土拡大ではありません」
織田信孝「謀略か、しかし誰が」
梁田高元「私めにお任せ下さい」
織田信孝「良いのか?」
梁田高元「出来るだけ犠牲は減らしたい、その代わりと言ってはなんだか」
織田信孝「なんだ?申してみよ」
梁田高元「であれば、織田殿国力を上げ力を蓄えて頂きたい」
織田信孝「…戦をするなと?」
梁田高元「攻められたら尾張から追い返す程度で、時がきたら北に攻めて欲しいのです」
織田信孝「具体的にはどのくらい待てば良い?1年か?それとも2年か?」
梁田高元「…7年です」
織田信孝「馬鹿げてる、7年もあれば美濃を手に入れれよう」
梁田高元「ええ、その通りでございます」
織田信孝「ふっ、多方説得と時間稼ぎだろうが思惑が外れたな、もう良い」
信孝は立ち上がり話しを切り上げようと席を立った
梁田高元「ですが、織田殿当家を滅ぼした後、別の勢力に攻められたら?兵数も家臣も被害は甚大でしょう無理にせめては領民から一揆されかねません」
織田信孝「一度他の家臣とも吟味して決めたい、答えは来月の評定で話そう梁田殿も出世願いたい」
梁田高元「構いませぬ」
それから約束の期日の評定の日が来た主だった重臣らが集まった
如月純直「殿お待ちしておりました」
織田信孝「皆よく集まってくれた、皆には先ず話した事がある以前話した事だが、我ら織田家一眼となり今より7年尾張の国力増強に専念する、無論進行してきた敵は尾張で倒すが逃げる者は追わぬでよい、手の空いた者は田畑の世話をせよ、それでも人が余るようならワシの元に来い」
家臣一同「おう!」
それから織田家は不気味な程静かであった攻められる事があっても決して攻めて来なかった、様々な噂が流れた
織田信孝は病で床から起き上がれないなど既にこの世には居ないなどアリもしない噂を信孝本人は楽しみながら聴いていた
織田信孝「信三よ、どうやらワシは死んだらしいぞ」
織田信三「冗談を、ならば自分の前にいるのはいったい」
その時信孝はある悪知恵を思いついた
織田信孝「のう、信三よワシが誠に死んだ事と噂を広めよ」
織田信三「何を馬鹿な」
織田信孝「まあ聴け我ら家臣以外には漏らすでないぞ、信三先ずはだな…」
織田信三「よ、よろしいのですか!?」
織田信孝「抜かるなよ」
それから半月程過ぎた頃美濃国では
美濃国 稲葉山城
梁田高康「なるほど織田殿が病と」
間者「はい、その為戦を指揮する者が居らず家督を次男か三男に譲ろうかと弱気な声も」
梁田高康「わかった下がって良いぞ」
梁田元種「兄上もう良いのでは?」
元種の一言に首を傾げ
梁田高康「もう良いとは?」
梁田元種「家督を譲られる前に尾張を叩くのです、今なら各個撃破して行けば織田なんぞ」
梁田高康「ッ!…少し頭を冷やせ元種、冷静になれ」
梁田元種「いいや!兄上が動かぬのなら某が動かす!梁田家を」
立ち上がりと腰の刀を抜きだし高康は咄嗟に腰に手をやるが、弟元種を信じていた為、刀など持っておらず
梁田高康「早まるな元種!」
梁田元種「さらば!兄上!」
元種は自らの手で兄高康を斬り殺し強引に当主の座を奪い、我こそは梁田家の当主であると方々に触れ回ったが、元種に美濃一国を統治する技量はなく民が各地で一揆を起こす程であった
美濃国 稲葉山城
梁田元種「どうしてどいつもこいつも助けに来ぬのだ!」
足軽「そ、それが美濃の各地で一揆が起きており何処の城も兵が集まらず又…」
梁田元種「そ、そうだ!美濃三人衆だ安中、永野、牧野の隊をすぐに城に集まるように早馬を」
足軽「そ、それが…」
文を渡し
安中昭康「元種よ、此度の一揆に我ら家臣一同加担はいたせぬ、我ら高康様の家臣であり欲深く強引に家督を簒奪された事我らは許さぬであろう、攻めて来られるなら何時でも御相手致します、では世話になりました」
永野興綱「元種、此度の」
文を潰し
梁田元種「安中も永野もダメか、激怒だ…」
足軽「あの、一応牧野様の文」
梁田元種「どうせ、無理だと思うが」
牧野照景「元種許さん」
チラッと文を見るとやっぱりの内容が見え即閉じて溜息する
梁田元種「はぁー、ほらな恐らく他の者らも同様であろう」
侍大将「と!殿!大変です!」
梁田元種「どうした?」
侍大将「南西の方をご覧下さい」
梁田元種「打ちに来たか永野」
永野興綱を始めとする美濃の国人が城を包囲を始めていた、そして使者が門前まで来ており
侍大将「使者が門前まで来ておりますが、お会いになりますか?」
梁田元種「会おう、客間に通せ武器などは全て門前で預かれ」
そして元種は客間に向かい
梁田高元「元種よ、久しいな」
梁田元種「ち、父上!?なぜ」
思わずその場で体制を崩して横たわる
梁田高元「まあ座れ」
梁田元種「あ、ああ」
梁田高元「色々と話したい事はあるが、元種よ出家せよ、某から言える事はそれだけだ」
梁田元種「こ、断ればどうなる?」
梁田高元「明日織田家の軍もこちらに来て総攻めとなろう、援軍もどこからも入らぬであろう」
梁田元種「…わかった、父上の言う通りにしょう」
梁田高元「そうか、分かってくれたか」
その後織田陣営で身柄は確保され美濃より追放し出家した、永野興綱など一部の者らは高元に再び美濃に戻って来て欲しいと説得するも高元は断り、それから半年程かけて織田信孝は美濃の国衆を従え、元梁田家の家臣達を家臣に迎え入れた
1559年 美濃国 稲葉山城
公家「うむうむ確かにこれからも献金を忘れるでないぞ、織田殿これからも頼りにしておるぞ」
金銭の入った袋を抱き抱えながら信孝の方を見て
織田信孝「はっ、それとお頼みしていた近江の件は」
公家「ああ、池田長綱殿との約条も取り付いだ読まれよ」
文を手渡しして再び金銭を数えて始める
織田「では拝見致します…ふむわかった、この文に書いてある通りにいたそう、そう池田長綱殿にお伝え下され、そうそう傭兵を雇うのも大変でしょう」
銭の入った袋と伊賀国より集められた伊賀衆が待っていた
公家「ほう、またたんまりと、それとこやつらは?」
織田信孝「伊賀の者らです、尾張から兵を出すと池田長綱殿が警戒する恐れも御座います、何よりせっかく手に入れた銭から傭兵を雇うのも日が掛かりましょう」
感心した公家は鼻から息を吐き
公家「いやはや、織田殿とはこれからも長くお付き合いしたいものですな」
満足そうにその日のうちに尾張から近江に向け出立したそれから数ヶ月後の秋稲刈りの時期先に動いたのは織田の方であった
如月純直の隊800が長島城の東に布陣、更に元美濃梁田家臣の小早川晴勝と尾張織田家臣鳴海盛清が小早船で南から包囲する更に西からは池田隊2000が布陣した
長島城では隠居していた久野宗義と久野宗政の娘三玉姫が長島城にいた
1559年 伊勢国 長島城
久野宗義「今回は数が多いな、小舟も数十は居るな」
足軽大将「見渡す限りでは小早船が100艘はおります」
久野三玉「叔父様この城は大丈夫でしょうか?」
久野宗義「案ずる事はないが、奥間でゆっくりしておれ城には如何程おる?」
足軽大将「逃げてきた領民、女子供も合わせると5000はおります」
久野宗義「何故、城に入れた!急ぎ女、子供は逃せ!」
足軽大将「し、しかし西には池田長綱の隊がおり、領民は」
全てを察した宗義は肝が冷えた
久野宗義「蔵にはどの程度の食料がある?」
足軽大将「二ヶ月…詰めれば三ヶ月は持ちます」
久野宗義「すまぬ…援軍は必ず来るそれまでの辛抱だ」
1559年 伊勢国 亀山城
底では重臣達が集まり緊急の軍議をしていた
久野宗政「皆、よく集まってくれた」
跡部重有「殿、長島の援軍に是非某を総大将に」
別所通泰「いや、殿此処は是非とも我が隊にお任せ下さい」
久野宗政「皆の申し出は嬉しいが此度の総大将は某自ら軍配を握り指揮する」
跡部重有「なんと!殿自ら!」
別所通泰「であれば先鋒は是非とも我らにお任せ下さい」
久野宗政「うむ、別所には先鋒を任せる、各自所領に戻り戦支度せよ、山名」
山名氏兼「ハッ、殿」
久野宗政「伊賀に向かいいくらか兵を集めてくれ」
山名氏兼「承知」
久野の諸将は慌ただしく戦支度を始めた久野宗政の隊1500はゆっくりと北に陣を進めた遅れて山名氏兼の伊賀衆1000が到着し総勢5000になった
1559年 伊勢国 亀山城
底では重臣達が集まり緊急の軍議をしていた
久野宗政「皆、よく集まってくれた」
跡部重有「殿、長島の援軍に是非某を総大将に」
別所通泰「いや、殿此処は是非とも我が隊にお任せ下さい」
久野宗政「皆の申し出は嬉しいが此度の総大将は某自ら軍配を握り指揮する」
跡部重有「なんと!殿自ら!」
別所通泰「であれば先鋒は是非とも我らにお任せ下さい」
久野宗政「うむ、別所には先鋒を任せる、各自所領に戻り戦支度せよ、山名」
山名氏兼「ハッ、殿」
久野宗政「伊賀に向かいいくらか兵を集めてくれ」
山名氏兼「承知」
久野の諸将は慌ただしく戦支度を始めた久野宗政の隊1500はゆっくりと北に陣を進めた遅れて山名氏兼の伊賀衆1000が到着し総勢5000になった、その頃北から睨みを効かせていた長綱の元に次々と情報が流れてきた
池田長綱「よし、先ずは釣れたか、大将は久野宗政で間違えないのだな」
斥候「はい、更に久野晴政も姿も確認しており、ほぼ全ての戦力だと思われます」
池田長綱「わかった、すまぬがその足で織田陣営にもこの事を報告し我らは北から織田方は西より挟撃するように伝えよ」
斥候「かしこまりました、すぐにも」
池田長綱「各将は持ち場にて待機し、ワシからの合図を待て」
そして織田信孝の耳にもその事の報告が入り
織田信孝「そうか、下がって良いぞ」
斥候「はっ、ではごめん」
田原胤久「殿、此処は包囲を継続するべきかと」
織田信孝「それでは長綱殿に申し訳ない…が城の包囲はこのまま継続せよ」
蝦名興国「しかし、殿それだと兵数が心もとないかと」
織田信孝「後詰めの部隊は本陣にこのまま残し、ワシと馬廻り衆だけで良かろう」
田原胤久「それは余りにも危険です、殿」
織田信孝「堺より取り寄せた物がある、良い機会だから此処で試そうではないか」
田原胤久「かしこまりました」
織田信孝「それと包囲しておる忠義者らにも早馬で伝えてくれ」
田原胤久「は?なんとですか?」
織田信孝「包囲網を崩しワシの元に来たら裏切り者とし処罰するとな」
田原胤久「はっ、直ちに!」
本気だと察しすぐに走る
織田信孝「勝手に動かぬとは思うが念には念をと言うしな」
その後西に織田信孝の隊1500が布陣した
両軍兵数はほほ互角で布陣した先に動いたのは久野の隊であった
山名氏兼「武功が欲しい者は我に続け!」
馬を走らせ我先と前進した狙うは織田信孝の陣であった
別所通泰「氏兼が動いただと、ちぃ!遅れを取るな!別所隊前進せよ!」
遅れて別所隊が山名隊の後方を追いかけるように進む
織田信孝「ほう、早速お出ましか、鉄砲隊前に」
鉄砲で構成された部隊が前に出るが数は200程で山名氏兼は足を早め
山名氏兼「大将さえ打てば城持ち所か一国の大名にもなれるぞ!行けぇー!」
織田信孝「放て!」
その瞬間雷のような音が辺りに響いた驚き目を瞑る者そして馬が暴れ周りの足軽らが次々倒れ山名氏兼の馬も暴れだし放り投げられた
山名氏兼「なっ!なんだ!?何が起きた!?」
足軽「殿!一旦下がって隊列を!」
織田信孝「放て」
その後再び先程の音が響き渡ったと思ったら足軽らが次々と倒れていく
足軽「うぐっ」
山名氏兼「なんなんだよ!クソぉ!本陣まで下がるぞ!」
山名の隊は何が起こったか分からず後方にひたすら走り出した
信孝はそれを好機と見ると
織田信孝「鉄砲隊走りながらで良い追い討ちだ!全軍進め!」
別所隊の元に山名隊が次々と逃げてくる
別所通泰「おっ!おい!何故こっちに逃げてくるんだ!山名説明せよ!」
山名氏兼「今すぐ下がるぞ!何故だが知らぬが、雷みたいな音が聞こえた瞬間兵が次々と倒れたのだ!俺の馬もその音で倒れた!」
訳も分からず別所隊、山名隊は本陣に下がると事の次第を報告した
久野宗政「なるほど」
跡部重有「恐らくそれは鉄砲と呼ばれる武器かと」
久野宗政「鉄砲?鉄砲とはなんだ?跡部」
跡部重有「弾が目にも見えない程の速さで飛んでいく武器です、弓よりも非常に強力な代物です」
久野宗政「何か弱点はないのか?」
跡部重有「鉄砲は1回撃つと弾込めに時間を要する所です、後は雨の中では使えないといった所でしょうか、先程の音の数からして100は少なくともあります」
久野宗政「100か…ならば機動力の高い騎馬隊を先鋒に」
その日の軍議は終わり、夕刻両軍は睨み合いで終わり久野宗政は雨が降るのを待った、そして待っていた雨は来ず時間だけが過ぎた
久野宗政「これ以上は城も持たぬ、兵糧も持たぬだろう、皆の意見を聞きたい、戦うべきか長島城を見捨てて撤退するべきかを」
重い選択が家臣らの声を奪った皆が沈黙した、勝算は五分五分の中、敵側には南蛮武器の鉄砲の存在もある中、兵数も劣っている父や娘を棄てて撤退するべきかと宗政は俯いたその時声を上げた者がいた
久野晴政「行きましょう、殿」
久野宗政「晴政、しかし…」
周りも晴政の声に後押しするように声を挙げた
跡部重有「僭越ながらお供致します、晴政様」
別所通泰「某も」
山名氏兼「はぁ〜、仕方ねぇ!お供しますぜ!」
別所通泰「フッ、また鉄砲にビビって逃げて来るなよな氏兼」
山名氏兼「うるせぇ!次はやってやるよ!」
先程まで静かな空気に活気に溢れた、宗政は立ち上がり声を張る
久野宗政「皆!感謝する、この戦無事勝って生き残るぞ!褒美も期待しとけ!」
家臣達が声を挙げた
家臣達「おう!」
久野宗政「行くぞ!出陣だ!」
久野陣営から法螺貝の音が鳴り響いた、それを察してか織田方も急ぎ配置に着く
久野宗政「先陣は、この久野宗政だぁ!続け!」
総大将自ら兵達に鼓舞し馬を走らせ最前線に出て行った、皆が遅れまいと鬨の声を挙げ突き進むが
織田信孝「鉄砲隊充分に引きつけよ、御大将自ら前に出て皆を鼓舞するか、放て!」
100もの鉄砲が一斉に火花を吹く、宗政の兜を掠め他のものが慌て出すが宗政は一括し
久野宗政「狼狽えるな!我の背中を見失わず前進せよ!」
田原胤久「弓隊援護射撃です、これ以上近づけてはなりません」
蝦名興国「ドンパチやってるな、よしウチらも手柄立てに行くぞ」
蝦名の長槍隊が久野宗政の前に立ちはだかる
久野宗政「どけぇ!」
伊勢国 長島城
両軍が激突するのを櫓から確認し
久野三玉「葛城、居るか」
葛城吉充「ハッ、此処に」
久野三玉「城兵を全て動かし城か打って出よ」
葛城吉充「しかし、姫」
久野三玉「クドい、このまま待っていても助からぬ、叔父上には私から申しておきます、行きなさい」
葛城吉充「ハッ!では半刻(1時間)が過ぎましたら城から打って出ます」
久野三玉「頼みます」
その後半刻が過ぎた頃長島の城内の門が全て開き一斉に攻めかかる
葛城吉充「良いか!先ずは敵を混乱させてる女、子供は敵が混乱した隙に南に逃げよ!かかれ!」
織田信三「急ぎ持ち場に着け、一兵足りとも逃すでない」
如月純直「水軍にも合図の狼煙を」
足軽「かしこまりました」
その頃海から長島を見張ってた小早川の隊が狼煙の合図を確認した
小早川晴勝「敵が動いたか、全船団これより長島に上陸するぞ、船には3分の1だけ残し残りは敵を討つぞ」
久野宗義「ゼェゼェ、流石にこの歳では馬に跨るのもやっとだわ」
家臣らの手を借りようやく馬に乗る事が出来た後は逃がすだけだったが宗義は足を止めた
侍大将「御隠居様?如何なさいましたか?」
久野宗義「此処で最後というのも悪くないな…」
宗義はそう呟くと周りの家臣らは慌てて
侍大将「何を仰います、御隠居様が打たれれば当家は」
久野宗義「こんな80も過ぎた老いぼれが打たれた所で当家は揺るがぬ、ソレをこっちによこせ1人でも多く敵を討つぞ」
足軽の弓を奪い取り
足軽「ああ、ちょっと」
侍大将「あまりご無理をなさいますと」
久野宗義「構わぬ、もう長くない命せめて一族の為に使うと今決めた」
宗義の放った矢は小早川の水軍の兵を1人また1人と撃ち抜く
それに見惚れた者たちが宗義の前に立ち
侍大将「お供します、これでも武士です、例え名を残せなくともあなたと共に、この命潰えるなら本望です」
久野宗義「好きに致せ、あの世でも使ってくれるわ」
その後久野宗義は小早川隊に討ち取られた享年81
余りの老将に小早川晴勝は最後まで戦った者らを丁重に扱った
足軽「殿!長島城が落ちました!」
久野宗政「なんだと…」
足軽「久野宗義様、久野三玉様、葛城吉充様お討死」
久野宗政「そうか…法螺貝を鳴らせ全軍撤退せよ」
法螺貝の音が鳴り響いた久野の隊は随時後退を始めた
跡部重有「撤退だと…長島は落ちたのか」
その後撤退する久野の隊を池田長綱の隊が猛追撃し久野宗政並びに久野晴政は逃げる際敵の矢を多く受けそのまま絶命した
その後2ヶ月に渡り逃げる久野側の残党が籠る砦や支城を次々と落とし抵抗する者らを討ち取り、残るは亀山城だけとなった
1559年 12月 亀山城
久野信政「そうか、ワシの隠居だけでこれ以上伊勢で血を流さず済むのだな、わかった城を開城し隠居しよう」
田原胤久「良き判断かと」
久野信政「ひとつ此処に追加しても良いですか?」
田原胤久「無理な要望でなければ」
久野信政「家臣達の処遇なのだが」
田原胤久「無論降伏した者らを切る事はせぬ、織田家の一家臣として迎え入れよう」
久野信政「かたじけない」
その後城は開城となり久野家は信政の代で滅亡した当主の久野信政は伊勢の何処かの所で静かに隠居生活を過ごした
1560年 1月 伊勢国 亀山城
織田信孝「皆の者良くぞ勝ち抜いた長きに渡る久野の家との戦はこれで終いだ、特に長島は因縁の地でもありワシの代で勝てたのはめでたく思う、寒空にも負けぬよう尾張にいる者らに届くように声を挙げよ!勝鬨だ!」
織田家と久野家両軍に渡る14年にも渡り信孝にとっては父そして織田家に仕えた家臣達の弔いともなった、それから1月が過ぎた頃伊勢南部を支配していた森家の重臣久武義弘が織田信孝に直に会い領土安堵と森家の存続、森義国様に織田信孝の信か孝の一字を森義国に与えるを条件に織田家に従属した
これにより織田信孝は尾張、美濃そして伊勢の国を納めるまでになった。
コメント
1件
第3話、読み終えました…!戦国時代の駆け引きと策略がすごく丁寧に描かれていて、特に梁田高元が7年待つように進言したところ、めっちゃ印象に残りました。その後の展開が全部その計画に繋がってたんだなって。あと、信孝が病死の噂を流すところとか、悪知恵って言い方にニヤリとしました(笑)。鉄砲の威力が歴史を変えていく感もいいです。次も楽しみにしてますね🥀