注意事項⚠️
・knkz
・空想リスナー
・トラウマ表現
葛葉がパニック発作を起こしてから数日。配信は休止中。
彼は自宅に籠もりがちになっていた。外に出る気力もなく、誰とも連絡を取りたくなかった。──叶を除いて。
LINEの未読がいくつも並ぶ中で、叶のアイコンだけには、自然と既読をつけていた。
「声だけでも聞かせて」
「何か食べた? Uber送ろうか?」
「おはよ、いま新作のゲームしてる」
短い言葉。無理強いはしない。でも、ちゃんとそこにいてくれる。
……気がつけば、葛葉は叶との通話をつなぎっぱなしにする日が増えていた。
夜、画面越しの距離
「なあ、叶。……おまえさ、なんであんなすぐ来てくれたんだ?」
通話越し、眠れない夜にふと投げかけた問いだった。
「……なんでって、葛葉が呼んだ気がしたから」
「俺、あのとき……おまえの声聞いて、初めて……“助けて”って思ったんだよな。おまえだけには、言えた」
叶は少しだけ黙ってから、優しい声で答えた。
「僕も、あのとき……触れてほしくない誰かじゃなくて、“僕”がそばにいたかった。
……それって、多分もう、ただの“相棒”だからじゃないんだよね」
葛葉の心臓が、ドクンと鳴った。
「……叶、おまえ……」
「うん、僕、葛葉のこと……ただの相棒以上に見てる。最近は特に、そう思うようになった」
通話越しなのに、鼓膜の奥まで熱が伝わってくる気がした。
こんなふうに言葉を交わすのは、初めてだった。
でも、葛葉の中にはすでに──ずっと前から、芽のようなものがあった。
叶の手だけは平気。
叶の声だけは欲しい。
叶のそばにいたい。
それはきっと、「守られる」だけじゃなくて、「叶だから」だった。
「……ずりぃよ、おまえ」
「うん。ずるいのはわかってる。でも……葛葉が苦しそうなのに、黙ってられなかった」
葛葉は、黙ってスマホを胸元に抱えた。
「……俺もさ。叶に触れられるたびに、思ってた。
“安心する”って、こんな感情だったっけって……。
なんかちげぇなって思ってた。ずっと前から、なんとなく……気づいてた気もする」
深夜1時、眠る前の、でも眠れない2人の会話。
「……今度、また会いに来いよ」
「いいの?」
「いい。……叶だけは、……ずっと、そばにいてくれ」
「うん。喜んで、葛葉の隣にいるよ」
その夜、2人の関係は「名前のあるもの」にはならなかった。
でも、相棒という枠を越えた“想い”が確かに宿った。
その翌朝から、葛葉は少しずつまた配信を再開し始める。
笑顔はまだぎこちなくても、コメントにはこう書かれるようになった。
“叶くんがいると、葛葉くんの声があったかい気がする”
コメント
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/ くろのわてぇてぇすぎます このまま付き合って欲しいです