テラーノベル
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「愛音……」
熱を孕んだ瞳が、私を見つめる。
シーツに縫い止められた私は、ただその瞳を見つめ返す。
私の手首を掴んでいた手が離れると、その手は私の頬をやさしくなぞった。
「ん……」
思わず息を漏らし身を捩ると、彼の唇が私の鎖骨に押し付けられた。
「可愛い」
頭を上げた彼がこちらをじっと見る。
まるで獲物を得た野獣のように。
「や……言わないでよ」
顔をそらすと、顎をすくわれちゅっと唇が重なった。
「いいじゃん。俺はもっと聞きたいんだけど」
「壱月……」
じわりと熱くなった目頭で彼を睨むと、壱月はふっと笑った。
「イヤ? なら、やめるけど」
ここはホテルのベッドの上。
ここまでついてきてしまった手前、「やっぱりやめよう」なんて言えない。
何より、心が彼を欲する。
あのときの後悔を、繰り返したくない。
好きだ、好きだ、好きだ。
だから、触れて、感じたい。
今、奇跡みたいに、目の前にいる彼を。
「ヤダ。もっと、して?」
言ってから恥ずかしさに涙が溢れそうになって、慌てて唇を噛んだ。
「なら、遠慮なく」
再び合わせられた唇から、彼の熱が私の中にするりと入り込んでくる。
それを受け入れれば、私の中の熱くなった想いを全部絡め奪っていく。
「ふあ……あ……」
優しく素肌に触れる彼の手つきに、思考が蕩けていく。
「愛音……」
私の名を呼ぶ愛しい声に、身体中が疼く。
「いいか?」
その声に、必死にコクコクと頷いた。
壱月の口角がふっと上がる。そのまま、彼は私を抱き締めた。
大きな背中に腕を回せば、彼が首筋に噛みついてくる。
「あ……」
──私はそのまま、彼の熱を受け入れた。
*
「もう帰っちゃうの?」
情事の後の気だるさに微睡みながら体を起こすと、シャツを羽織る壱月が見えた。
「ああ。明日、朝早いんだ」
「そっか。せっかく会えたのに残念」
そう言うと、壱月はベッドに近づいてくる。
一糸纏わぬ私は恥ずかしくなって、シーツをキュッと胸元まで引き上げた。
壱月は微笑んで、私の頭をポンポンと優しく撫でる。
「また、会おうな」
その笑顔が余りにも爽やかで、好きだという気持ちが溢れ出す。
「うん」
だから、私も笑顔でそう返した。
――これが、人生最悪の日になるなんて、その時は思いもしなかった。
コメント
1件
あ゛〜〜〜〜!!待って待って待って!!これ私の大好物すぎるやつ!!😭💕💕 壱月くんの「可愛い」とか「いいか?」って優しいのに強引な感じ…!!愛音ちゃんの「もっと、して?」ってお願いするところとかもう性格出てて尊い…!! 最後の「人生最悪の日になるなんて」って一文がめっちゃ気になる…!!この甘いシーンがフラグになるやつですか!?続きが早く読みたいよ〜!!😭💕 朝永ゆうりさん、尊い作品をありがとうございます…!!次話も楽しみにしてますね!!⋆♡