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kz side
久しぶりのsyとのデート。駅内に人が予想以上に多くてsyになにか起きないか少し不安にはなったが、何事もなく。
なんなら、目的地に行く途中でsyから手を繋いでいいかなんて聞かれて俺は最高潮に幸せだった。昔の “ あの出来事 ” があってからsyは人前でスキンシップを取ることに苦手意識を持つようになった。だからこそ、syからのお誘いは貴重で何より嬉しいものだった。
そして、朝からスマホで調べ直していた。チョーカー専門店に着き、少しsyにプロポーズっぽいセリフを投げかけると、syは『そんな年齢じゃない』なんて口では言うが、嬉しそうにはにかんだ笑顔を見せてくれた。
そして、店に入りsyと共にショーケースに並んだ様々なチョーカーを見る。沢山のチョーカーがあり、なかなかに悩みそうだ。だが、syが気に入ったものがあればなんでもいいだろう。
syは少し周りを気にしたようにチラチラと様子を伺っているが、少しするとチョーカーに釘付けになったようだ。
そして、俺もsyに似合いそうなチョーカーを探すことにした。
少しショーケースの周りをウロウロしていると見つけたのはsyの髪色と同じワインレッドのチョーカー。それをsyにすすめてみると、syはキラキラと目を輝かせ、『俺の髪の色と同じ』と気に入った様子を見せてくれたので、会計に向かうため店員さんを呼んだ。
すこーしばかり人見知りなsyは、サッと俺の後ろに隠れる。その行動が小動物のようで可愛らしい。
俺は笑顔でこちらへと向かってきてくれる店員彡に軽く会釈をする。
店員彡『お気に召したものはございましたでしょうか?』
何ともニコニコして愛想がいい店員彡だ。syは変わらず、俺の後ろに隠れている。
店員彡『ふふ…、後ろの方番さんですか?』
後ろに隠れているsyに目線を向けた店員彡は、口に手を当て、軽く笑い出す。
kz『あー、まだ番じゃないんですけど。いずれ、ふふ…w』
店員彡『可愛らしい方ですね』
俺も愛想良く、相手に微笑みかけながら話を続ける。
kz『あの、サイトで見たんですけど、チョーカーにイニシャル入れられるんですか?』
店員彡『はい!入れられますよ。別オプションなので、追加料金にはなってしまうんですが…』
買いたいチョーカーを指し、オプションについて話してみる。
syへの初めて贈るチョーカー。少しでも特別なものにしたくて、色々なオプションが付けられる店を選んだのだ。
kz『大丈夫です。オプションについて詳しくお聞きして…も、……』
〃『ッ…!!』
ふと、甘い匂いが鼻をかすめた。花のような、それより濃い。αの本能が刺激されるような匂い。
頭の奥が痺れるような濃い匂いが俺を支配する。
syに視線を向ける。syの顔は赤く染め上がっており、辛そうに肩で息をする。syに声をかけようとしたその途端、syは力なく地面に膝を着く。
__ヒート。
その言葉が俺の頭をよぎる。
俺は、手で口元を覆い周りを警戒する。αとΩの集まるこの店。もちろん番同士もいるだろうが、番になっていないもの達の方が多数であろう。身体全身で感じるα共の視線。
どうすればいいか、熱く沸騰しそうな脳を必死に働かせようとする。
syはぼんやりとした意識の中、俺を上目遣いで見上げ、はくはくと口を動かす。
sy『か、じゃえ…、んえ…//』
蕩けた甘い声が俺の名を呼ぶ。
名を呼ばれた途端に、この目の前にいるΩを守れ。と俺の中の防衛本能が溢れ出す。
本能に支配される頭を無視し、syを抱き上げ、店を後にする。
syの乱れた熱い呼吸と溢れる甘い匂いに、
呼吸が乱れ、 酷く喉が渇く。
何とか、人の行き来が少ない多目的トイレに身を寄せる。
sy『かじゃ、ッ…ぇ、かざッ… 』
syは俺の名を呼び縋り、目からは大粒の涙が溢れている 。このままではどうなるかが分からない。
このsyの匂いが充満する個室で、
俺がsyを…
どうにかしてしまいそうで怖かった。
kz『ふーッ…、ふーッ…っ、』
乱れる呼吸に、張り詰めた下半身。今にも理性が切れてしまいそうな危険な俺から遠ざけるように、syを介護台に座らせる。
しかし、syは『嫌だ嫌だ』と小さく声を出し、俺の服に縋りつく。 そんなsyを無理矢理引き剥がし、俺は多目的トイレから外に避難する。
扉にもたれ掛かり、ゆっくりと腰を下ろしていく。そして、大きく乱れた呼吸を元に戻そうとする。
kz『ッ…はッ…っ、はッ…っ、ッ…ッ』
俺の理性とは裏腹な言葉が自身の本能によって囁かれる。
『触れろ、ぐちゃぐちゃに犯してしまえ__。』
扉の向こうからsyの泣き声が聞こえる。 苦しそうなその声に心が蝕まれる。
sy < kzッ…やだッ…かッ…ひぅッ…っ、…っッ
扉を叩き、syからの助けを求める声を無視する。初めてのヒートで不安なsyを無視している自分自身に嫌気が刺す。
この状況をどうにかしようと、俺は携帯を手に取り、ある人に連絡をとった。
どのくらい時間が経っただろうか、syの泣き声は小さくなっていき、俺の頭も少しずつ働き出す。
kz『ッ…ふー、ふーッ…っ』
だが、syを隔離しようとも、溢れる甘い匂いで身体は熱く火照り、呼吸が安定しない。
??『kz…ッ!!』
ばたばたと足音が聞こえたきたかと思えば、明後日の方向から俺の名を呼ぶ声がする。なんとも安心する声だ。頼り甲斐のある俺たちの柱。
kz『fu…ぁ、…』
fu『kz…呼吸やばいよ。顔も熱っつい…』
俺の顔を見るなり、心配そうに駆け寄り頬を撫でられる。エメラルドグリーンの瞳が心配そうに揺れ、冷たいfuの手が俺に触れる。
kz『rmに怒られる…やめろ、』
友達といえど、恋人がいる同士。相手に知られたら怒られそうで、fuの手を払い除ける。
fu『あー、ごめん…。って…あ、薬!薬飲んで?!』
fuは、焦ったように鞄を漁り、抑制剤を取り出す。小分けに同封されたカプセル状の抑制剤を水の入ったペットボトルと一緒に手渡してくる。
それを口に含み、飲み込む。
数分すると少しずつ身体の熱が引き、呼吸が落ち着き身体の状態が良くなる。
働き出した頭に最初に浮かんだのはsyの存在。
俺は、fuからΩ用の抑制剤を受け取ると、扉の取っ手に手をかけ、急いでsyの元へ行く。
sy『ふッ…ひぅ…ぅあ”ッ…っ、かざッ…kzッ…っ…ッ…//』
扉を開けた瞬間に目に移るのは、地面にうずくまり、苦しそうな声を上げ泣きじゃくるsy。
それに加え、甘く煮えたぎる匂いが溢れ出してくる。
fu『ッ…!』
抑制剤を飲んで結構経っているであろうfuですら、手で口元を覆い、苦虫を噛み潰したような顔をする。
fu『kz…ッ、よくこれ…ッ…ッッ、俺離れるわ…ッ…//』
そう言い残し、fuは少し離れた場所へと避難する。
kz『sy…、/』
甘く煮えたぎる、熟れすぎた果実のような甘い匂いにまた、頭の奥が痺れ出す。
ゆっくりとsyの脇に腕を入れ、身体を起こしていく。俺がsyに触れると、びくびくと震え、声が溢れる。
sy『ッ…ぁ、♡…かざッ、ぇ…ひぅッ…っ…//』
kz『うん…うん。ごめんな…、ごめん。』
syの不安を無視し、どうしようもなかった俺の無力さと罪悪感で、俺は何度も謝罪する。
kz『薬飲める?…』
涙でぐちゃぐちゃになったsyの顔を、服の袖で優しく拭きながらsyの口元をすりすりと撫でる。
sy『kzッ…ぇ、ッ…ぅあ”…ぁ、ッ…っ、ッ』
泣きじゃくり、抑制剤を飲めそうにないsy。俺はそれに焦りを隠せない。
kz『sy…お願い、抑制剤飲んで…』
〃『ッ……』
初めてのヒート。自分自身ですら制御出来ない身体に不安であっただろうに、自身の恋人にすら無視されて…パニックになっているのだろう。
kz『sy…ごめん、』
俺はsyに飲ませるための抑制剤と水を自分自身の口に含み、そのままsyの唇に口づけをする。少し開いたsyの口に無理矢理自身の舌を侵入させ、抑制剤と水をsyの口内に移動させる。
sy『ん”ッ…んん”、ッ…!、//』
〃『はッ…//、んッぐ…っ、……ん、』
syの喉仏が上下し、ごくりと喉が鳴る。しっかりと抑制剤を飲み込んでくれた。抑制剤に即効性はないがこれで、syのこの状態も少しずつ落ち着いてくるはずだ。
sy『ッ…ぅあっ、抱っこッ…kzッ…ぇ、…ッッ…』
驚きや不安、それを緩和するためだろうか。syは俺にいつもはしないであろう甘え方…縋り方をする。それに答えるように俺はsyを優しく抱擁し、抱き上げる。
首元にかかる息が熱い。syの目から溢れる涙で肩が濡れる。syの酷い身体と精神の状態。初めてのヒートで相当な不安を与えてしまったことに後悔を覚えた。
このヒートの経験で、ヒートの度不安に押しつぶされそうにならないといいが…
俺はsyを抱いたまま、多目的トイレを後にし、fuの元へと歩みを進める。近くの壁にもたれて俺達のことを待っていたfuの顔はほんのり赤く、シャツをぱたぱたとさせ、身体の熱を逃がそうとしていた。
kz『fu…ありがとな』
fu『困った時はお互い様だろ?…sy大丈夫?』
fuは、俺に気を使いながらもsyの状態へも気を使う。fuは、俺の肩に顔を乗せ、少し荒い呼吸をするsyの顔を覗き込む。
fu『しんどいなぁ…』
fuは、ふわふわとsyの頭を優しく撫でる。流石だと思う。昔から俺達の支え役だったfu。やはり俺たちの柱はこいつしかいない。
fu『あ、ごめんな、kz…』
kz『いや、大丈夫。ほんとにありがとう』
fuは、優しい顔で微笑む。自身もsyのフェロモンに当てられて辛いはずなのに、責めることはせず。俺たちを気遣う行動にfuの優しさが滲み出ている。
しっかし、どうしようか。ヒート中のsyを公共交通機関に乗せて、帰ることもできない。だからといって、タクシーを見つけるのも大変だ。
αやβの運転手ではsyのフェロモンに当てられる可能性があるからだ。
fu『kz帰ろ。迎え呼んでるから』
kz『え…?』
fuは俺の背中を軽く押し、俺はそのままどこかへ誘導される。
そして、少し歩いていくと駐車場に入り、fuは俺の背中を軽く押しながらスタスタと歩く。
だが、syを抱く俺の負担を考えたからなのか歩くスピードはいつもよりゆっくりで、1番近場だった1階の駐車場へと誘導される。
kz『…?』
駐車場の奥の方に止まる緑の軽自動車。fuはその車の方向に少し足早に、歩いていく。
fu『ゆっくり来て』
もちろん俺たちへの気遣いの言葉は忘れず残してからずいずいと歩いてゆく。
fuはその緑の車の傍に行くと、窓をこんこんとノックし、開けられた窓から運転手らしき人と話し出す。俺はウトウトし始めたsyの負担にならないように歩くスピードを変えずに、fuの元にゆっくりと歩みを進める。
kz『あれ…』
少しずつ運転手の顔が見えてくる。
kz『え、jpさん?!』
赤髪でキリッとした眉毛に、緑色の恐竜を模倣したパーカーを着た男。
jp『大丈夫?家まで送るから乗りなー?』
俺が驚きで立ち尽くしていると、優しく声がかかる。そして、fuに目線を移すとfuはにこっと優しい笑みを見せ、手招きしてくれる。
kz『あの…syたぶん。ひとりじゃ座ってられなくて…あの、』
jp『大丈夫大丈夫!kzさんが抱っこしててあげて、そのまま乗りな?』
kz『すみません、ありがとうございます…』
fuが車の扉を開けておいてくれ、エスコートしてくれる。そして、俺とsyが乗り込んだことを確認すると、『閉めるよ』と声をかけてから扉を閉めてくれる。
扉を閉めたあとは、fuは俺たちの隣へと乗り込み、しんどくないかと気を遣ってくれる。
そして、jpさんは後ろを振り向き、俺たちの状態を確認すると、車を発進させる。
移り変ってゆく景色、俺はその光景に少し見入る。
syの呼吸はまだ、少し荒く身体も熱い。
だが、syは俺の上でスヤスヤと眠り…最初よりは随分楽そうだ。俺はそんなsyの背中をぽんぽんと子供をあやす様に優しく叩く。
kz『あの、jpさん…syのフェロモン大丈夫ですか?、運転に支障とか…』
確か、俺が知る限りjpさんはαだ。双方抑制剤を飲んでいるといえど、syのフェロモンはαにとってなかなかに効くものだろう。
jp『んー?大丈夫大丈夫。俺番いるから』
fu『あれ、番ってttさん?』
jp『そうそう、今ttもヒート中なんだけど焦りに焦ったfuさんに呼び出されて急いできたよ…w』
あー、jpさんの番のttさんもヒート中なのか、そんな大変な時に呼び出してよかったのかと申し訳なく思う。
jp『ttはヒート何回も経験してるから大丈夫だからさ。kzさんは、syさんのことだけ考えてあげてね。』
ほんとうにこの人達は優しい。自身のことよりも周りを考え、見返りは求めない。
kz『ありがとうございます。』
周りの優しさで心が暖かくなる。
おまけ
5話『交差する気持ち』のafter story
furm【つらいのあとは__。】
fu side
rm『fuが泣いてるの初めてに見た…かも』
ベッドの端に座った俺の膝に対面で乗っかるrm。すぐ近くにrmの体温を感じ、心地がいい。
そして、rmとのたわいもない会話が俺の心を暖かくする。
fu『俺もrmがあんなに泣くの初めてだよ』
fu&rm『…ふふ、w』
俺たちは少し涙で滲む目を合わせ、笑い合う。
rm『んへ…』
笑いあったあとも、少しの間目線を交わし合う。だが、少しずつ恥ずかしくなってきたのかrmの目が泳ぎ出す。
fu『rm…ちゃんと目見てて?』
rm『ぇ…、?…んッ…っ』
ゆっくりとrmの唇に自身の唇を近付ける。rmは恥ずかしそうに、目を細めるが開けてくれてはいる。
ちゅ__。
甘いリップ音が部屋に響く。何度も角度を変え、rmの柔い唇に食らいつく。しつこく続けていると、rmは嫌だと言わんばかりに、ぎゅっと強く目を瞑る。
rm『ふッ…、♡…ん…っ♡』
rmの甘い息遣いと、声が漏れる。俺たちの間には蜂蜜のような甘い時間が流れる。
甘いこの時間に終止符を打つように、俺はほんの少しだけ長い口付けをし…rmの唇から自身の唇を離していく。
fu『rm~…目瞑んないでよ~』
しつこいほどの愛の口付けを終わらせると、rmの頬を優しく撫でながらそう軽く物申す。
rm『恥ずいわ…//』
いつものrmなら、少し過激な暴言を吐くか、俺を叩くかするのだが。ただただ頬を赤く染め、照れた表情を見せるrmにグッとくるものがある。
いつもはパチリと大きい二重瞼の瞳を細め、常に垂れている眉が更に垂れ、困り眉過ぎて可愛らしい。それに加え、いつもの萌え袖の癖なのか手を口元に持っていくがrm自身の手だけでは隠れ切らない口元…
fu『ふ…、かーわいい…♡』
rmの全てが愛おしい__。
つらいのあとは…
⋆˳˙ ୨୧…………………………………୨୧˙˳⋆
今回はkzsyメインで、おまけでfurmも入れてみましたー!!約7000字です🫠ᩚ
次回あたりにkzsy編一旦収束しそうです✌🏻´-
流石に次投稿する作品はリクかな?
furmのdom/sub書くと思います👍🏻 ̖́-
では、次回もお楽しみに〜
モチベくださーい
.:° 🌾🌾╰(ˇωˇ )╯🌾🌾;。:*
コメント
4件
いやぁ〜待って待って、、、最高すぎるんですけど、、、?じゃぱぱさん出てきたぁ!?しかもたっつんさんと番だとぉ!?神ってますね✨ふうはやさんの気遣いが良すぎる😭かざしゅうも最後のふうりももめっちゃ尊ッ_:(´ཀ`」 ∠):めっちゃこの小説好きなのでこれからも頑張ってください!応援してます!長文失礼しました!!
じゃっぴ出てくんの...最高!❤ まじて湊斗さんの作品神です...全部2回、いや3回ずつはみてます!やっぱノベル上手!次も待ってます☺️