テラーノベル
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――家が立ち並ぶ住宅街
白色ベースのモダンな家の前に車を停められる。
jpさんのおかげで無事に家へと帰ることができた。
kz『jpさんほんとにありがとうございます』
車から降り、開けられた扉から顔を覗かせ、感謝を伝える。
jp『いいよいいよ〜。また今度ね〜』
柔らかい笑みを浮かべながら、軽く手を振ってくれる。
その姿は、最後まで隙のない紳士のようだった。
jp『あ、一応これ持っときな』
kz『あ、はい!ありがとうございます』
手渡されたものは小さなポーチに入ったペン型の「α用ラット抑制剤」と書かれたもの。
jp『それ強い抑制剤だから、もしもの時にね?』
最後まで気を配るその姿勢に、自然と頭が下がる。
kz『fuもありがとな。』
視線を横に向け、もう一人にも礼を言う。
fu『おう。じゃ、また学校で』
すきま風に揺れるエメラルドグリーンの髪。
その表情はいつもより穏やかで、どこか安心感を与えるものだった。
鞄から家の鍵を取り出す。
しかし、片腕にはsyを抱えているため、思うように動けない。
kz『…しょ、っ』
鍵穴に集中しながら、体勢を整え直すためにsyを抱え直す。
sy『んッ…ぅ、っ』
――その揺れで、syは少し声を漏らす。
だが意識は戻らず、規則正しい寝息は続いている。
ようやく鍵を開け、玄関を押し開ける。
外とは違い、家の中はいつも通りの静けさに満ちていた。
それが逆に、妙な現実感を伴って押し寄せてくる。
sy『ん、ぅ…ッ…っ』
――時折、声を漏らすsy。
その声はほんの少し苦しそうで、
それが、俺の心を締め上げる。
kz『しんどいなぁ、…』
それと同時に、
痺れた自身の腕が限界を迎えようとしていることに気がついた。
痺れたような感覚が走り、握力が落ちていく。
kz『sy…下ろすからな』
その少し汗ばんだ背中を撫でながら、 丁寧にソファへとsyの身体を預ける。
沈み込むクッションが、彼の体重をゆっくりと受け止めた。
kz『ふぅ…、』
ソファに移動させても起きなかったことに安堵の息を吐く。
視線がソファに寝る彼に向く。
――赤く染め上がった熱い頬に、
時折、鼻をかすめるsyの甘いフェロモン。
確実に俺の中の何かを壊すものがそこにはあった。
kz『ッ…やば、っ』
――同じ空間にいては危険だ。
とりあえず、買い出しに行こう。
デート帰りに買い物する予定だったため、俺の家の冷蔵庫はほぼ空だ。
それに、何があってもいいように薬局で抑制剤も買い足したい。
sy『ん、…すぅ…っ、』
先程より落ち着いたsyの呼吸。
苦しそうに漏れ出ていた声も、今は落ち着いている。
状況はいい。
――俺は、置き手紙を置いて買い出しに行くことにした。
薬局に着いた俺は、抑制剤コーナーの前で頭を抱える。
α用の抑制剤は1種類「ラット抑制剤」しかない。
だが、Ω用の抑制剤はそうもいかない。
Ωは特に人それぞれの体質がある。
物によれば強い副作用が出る可能性があるのだろう。
だから、Ωは基本病院で抑制剤を処方してもらう。
kz『どーしよ…』
ふと、本音が漏れ出す。
すると、それに気付いた薬剤師が話しかけてきた。
薬剤師『どうされましたか?』
kz『あ、パートナーがはじめてヒートになりまして、どの抑制剤がいいかと…』
丁寧な説明を受けながら、適切な薬を選んでいく。
知識のある相手がいることで、不安は少しずつ軽くなっていった。
――買い物からの帰り道。
冬に近付く冷たい風が俺の頬をかすめる。
kz『はあ、よかった…』
冷たい空気に、俺の安堵の息が白く溶け込んだ。
――だが、家に帰ることを少し億劫にも思う。
あの甘く熟れすぎた果実のようなαの本能を掻き立てるsyの匂い。
あれ以上耐え切れる気がしなかった…
そんなこんな考えていると、いつの間にか家の前。
扉を開ける前に、
深呼吸をして心を落ち着かせる。
kz『よし…』
――扉を開ける。
途端に、空気の密度が変わった。
甘く濃い匂いが一気に流れ込んでくる。
kz『ッ…匂い強、っ//』
俺は1歩ずつ慎重に、リビングへと歩みを進める。
リビングについて目にしたのは、空っぽなソファと、脱ぎ捨てられたsyの上着。
一瞬、心に焦りが生まれる。
が、玄関にsyの靴があったことはこの目で確認している。――外へは出ていない。
この家のどこかに移動したのだろう。
風呂にトイレ、一階の部屋をくまなく探す。
それでも、syの姿は見当たらない。
嫌な予感がする。――階段付近を通った時に感じたsyの強いフェロモン。
二階は俺の部屋。
kz『………行くか』
意を決して、階段に足を掛ける。
トントン、と階段を上る音が家の中に響く。
一段一段、階段を上る度。
この身体がsyのフェロモンを強く感じ取る。
二階に着いた瞬間
甘ったるい匂いに全身を包まれる。
俺の部屋から漂ってくるであろう
――この匂い。
部屋の扉の前に立ち、ドアノブを軽く握る。
そして、深呼吸をしたあと
勢いよく扉を開ける。
――扉を開けた瞬間。
今までに感じたことの無い強いフェロモンが俺を襲う。
身体が暑く火照り、呼吸が荒くなる。
そして、部屋のベッドには__。
部屋に散らばった衣服の中で、
kzの服を抱え込むようにしている…
俗に言う、巣作りをしているsyがいた。
sy『ぁッ…ん、kzぇ…?…//』
こちらに気付きぼんやりとした顔をこちらに向ける。
kz『ッ…なぁにしてんの、sy…//』
身体が熱い、呼吸がしずらい。
張り詰めた下半身が痛くて、syのフェロモンに反応し、興奮が高まる身体。
ほぼラットに近い状態__。
kz『syッ…っ、//』
sy『んッ…♡、kzッ…っ…//』
――季節は冬へ向かい始めていた。
朝は寒く、昼はほんの少し暖かい。
そんな難しい気候に、セーターを着るべきか着ないべきか迷う今日この頃。
校舎の長い廊下には朝の光が差し込み、まだ人の少ない時間帯特有の静けさが広がっている。
――時刻は、午前7 時23 分。
この時間帯に廊下を歩いている人はほぼいなくて、たまに教員が歩いている程度である。
kz『はぁ、早く来すぎた…』
深いため息をつく。
しばらく歩いた先に見える自身の教室。
――その扉をガララ、と開ける。
fu『よお、kz!今日早いな』
いつものハツラツとした声が教室に響く。
kz『まあな…』
そんな彼の席の隣で立ち止まる。
自身の席にドスっと座り込み、片手に持った機器に目線を落としていたfu。
kz『まだ、喧嘩してんの…?』
fuにすら、聞こえるか聞こえないかくらいの声量で問う。
fu『え?…そんn…』
そう言いかけた瞬間。
rm『終わったぁあ!!』
勢いよく教室の空気を破るような声が響いた。
その大きな声に、kzもfuも肩をわずかに跳ねさせる。
rmはそのままこちらに向かってきて、ドスッとfuの上に座り込む。
先日喧嘩していたとは思えないほど、甘い空気が二人の間に流れる。
fu『課題終わった?』
rm『終わったぁ…』
rmは力が抜けたように、fuの胸元へ寄りかかる。そして、安心したように頬をすり寄せる。
それをfuは、満更でも無さそうに自然に受け止める。
kz『仲直りしたのか』
fu『まあな。さっきはrmやってない課題写してただけだから…w』
軽い笑い混じりの返事に、教室の空気も少し緩む。
そして、いつも通りのfurmの姿を目にし、俺は心から安心する。
rm『あれ、syは?』
ふと周囲を見回したrmが、違和感に気づく。
いつもならいるはずのsyの姿が見えない。
kz『syは、ヒートでしばらくは休み』
rm『あー、ヒート…ヒートね、、』
その言葉を聞いた瞬間、rmの表情がわずかに曇った。
syの言っていた言葉に、rmのこの表情。
こいつが抱えていた闇が少し分かった気がする。
fu『rm~、こっち向いて』
rm『ん?』
ちゅ__。
軽いリップ音が、静かな教室に小さく響いた。
ほんの少し触れるだけのキス。
fuのその行動に、rmは顔を赤く染め上げる。
rm『ッ…//、ばかッ…タヒねっ、ッ…』
すぐさま顔を赤くして、いつものように強い言葉を返すrm。
だがその声には、怒りというより照れが混ざっている。
fuはというと、満足そうに笑っていた。
kz『仲いいな…』
呆れにも似た小さなため息が漏れる。
kz (あぁ、一気に会いたくなった…)
――その瞬間、脳裏に浮かぶ記憶。
赤く染め上がる頬に、恥ずかしそうに細める目。
極めつけには、キュッと紡いだ柔い唇。
kz『勃った…』
fu&rm『は…?』
⋆˳˙ ୨୧…………………………………୨୧˙˳⋆
どもども!
連載投稿するのが久々すぎる🫠ᩚ
この連載ほんとにめちゃくちゃ長くなりそうで、番外編まで書いたら相当な長さになりそう🙃
まあ、ぜひ最後まで見て行ってください^^
良ければ感想ください💬
いつもコメントありがとうございます🫰🏻💕
𝑳𝑶𝑽𝑬__です。
.:° 🌾🌾╰(ˇωˇ )╯🌾🌾;。:*
コメント
3件
鼻血出す用意をしてきて1ヶ月 ようやく解放できる
続き待ってました!かざねさんの部屋で巣作りしてるしゅうとさん可愛すぎです!きっと可愛い巣を作っているんだろうなぁ〜( *´艸`)かざねさん、我慢の限界も近いのにしゅうとさんのこと考えて行動するのいい彼氏すぎる! りもさんの曇った表情に気づいてすぐに安心感を与える?ふうはやさんもいい彼氏だし、ニヤニヤが止まらんですわ笑 今日も最高の投稿をありがとうございます!!
来たぁぁぁぁぁぁぁッッ!! マジで楽しみにしてましたッッ!!かざねさん、、、しゅうとさんのこと片手で抱き上げてるんですか!?かざねさんが凄いのか、しゅうとさんが軽すぎるのか分かんないですね、、、ふうりもも仲良くしてて尊ッ、、、(´ཀ`」 ∠)かざねさんも早くしゅうとさんに会って欲しい!!(2人のイチャイチャが見たいだけです)この連載本当に好きなので最後まで追います!!続き楽しみにしてます!!