テラーノベル
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本館で会っていない執事は地下の執事だけとなった。
今日は地下に行ってみようかと思い、散歩がてら階段を下りた。
地下はひんやりしていて、静かだった。
広い廊下にテーブルセットが置かれているので、ここで作業とかしたら捗るかもな、と考えながら執事さんの部屋の前まで歩いてきた。
フルーレという衣装担当の執事さんが採寸したいと言っていた、と今朝ベリアンが言っていたので用事もちゃんとある。
少し緊張しながら、ドアをノックした。
「・・・少し待ってくれるかな?」
中から落ち着いた低い声が聞こえて、びくっとしながら返事をした。
女の声だったことで主が来たと分かったのだろう、部屋の中からはガタガタと賑やかな音が聞こえてきた。
「あーもう!これ持ってて!!」
「・・・反抗期ですか?」
「ミヤジ先生!メジャー見てませんか!?」
「確かこの辺に・・・あ、これかな」
「ありがとうございます!
ラト!それはこっち!」
元気な声と落ち着いた声とちょっとこもったような声が聞こえた。
どうやら地下の執事さんは全員揃っていたらしい。
「お待たせして申し訳ない・・・
中にどうぞ、主様」
ドアを開けてくれたのはめちゃくちゃ背の高い執事さんだった。
ドアの近くに立っていたため、全く顔が見えず数歩バックすることになった。
「・・・?あぁ、はじめまして。ミヤジ・オルディアと申します」
ミヤジさんは丁寧に頭を下げてくれる。
私も自己紹介して頭を下げた。
『〇〇と言います・・・よろしくお願いします』
それにしてもデカいな、と部屋に入りながらミヤジさんの顔を見上げる。
どのくらいの身長なのか聞いてみたい。
「おや・・・新しい主様は小さいですね」
そりゃこんなデカい人と並べばより小さく見えるだろうな、と思いながら声のした方を見ると長いピンクの髪を一本の三つ編みにした男の子が居た。
その後ろにはお人形のように可愛らしい女の子が立っている。
「ラト!失礼だろ!」
お、男の子、だと・・・?
後ろの子の声からして男の子だと分かり、衝撃を受けた。
こんな美少年が居るなんて・・・私が女なのが恥ずかしいくらいだ。
「ぁ・・・あの、俺・・・フルーレ・ガルシアと、申します・・・
ラト!自己紹介!」
「・・・ラト・バッカです」
「す、すみません・・・あの、よろしくお願いします・・・」
「あ、〇〇と言います・・・よろしくお願いします・・・」
後ろに居るのがフルーレ君で、この子が衣装担当の執事さんだったのか、と納得した。
通りで髪も肌もめちゃくちゃキレイだし、服も可愛いけど格好良さもあるデザインでよく似合っていると思った。
そして、フルーレ君に怒られている三つ編みのラト君は、なかなかに個性的というかマイペースな感じの子のようだ。
私がメモを取り終わると、フルーレ君がメジャーを片手に私に近づいてきた。
「主様・・・あの、採寸してもいいですか?」
『あ、はい、どうぞ・・・』
私は部屋の真ん中に立たされ、フルーレ君に頭から爪先まで全部のサイズを測られた。
『・・・あ、そうだ』
「な、なんですか?」
『身長って測れますか?』
「え、はい・・・ではそこの壁に立ってもらえますか?」
『はい・・・』
「・・・センチですね」
(伸びてなかった・・・まぁそうだよね・・・もう伸びるわけ無いか・・・)
『・・・ありがとう・・・』
ちょっとがっかりした私を慰める言葉を見つけられないのか、フルーレ君は口をモゴモゴさせながら私を見ていた。
すると後ろからミヤジさんが慰めの言葉を掛けてくれた。
「大丈夫だよ、まだ伸び盛りだろう?」
『・・・2✕歳です・・・』
「「「え!?」」」
「嘘!?年上!?」
「「・・・!?」」
フルーレ君は私より下だったのか。びっくり。
3人とも私が20代だとは思っていなかったらしく固まってしまっていた。
「・・・済まない・・・えっと、そのままでも十分可愛らしいんだから、気にすることは無いよ・・・」
ミヤジさんはなんとかフォローしてくれたが、個人的にはもうちょっと大人っぽくというか、年相応に見られたいのだ。
『あ、いえ、大丈夫です・・・』
何が、と心の中で突っ込みながらフルーレ君が書いていたデザインを見せてもらった。
『わぁ・・・上手・・・』
「あ、ありがとうございます・・・」
『凄いなぁ・・・』
「・・・あ、気に入ったのとか・・・ありますか?」
『う〜ん・・・そうだなぁ・・・これ?』
私はスカートがふんわりしているけど上半身はスッキリしたデザインのドレスを指さした。
「あ、お似合いになるかと思います!」
フルーレ君も賛同してくれたので自分のセンスはおかしくないのだと安心した。
フルーレ君と話し合っていると、ラト君が私達の手元にあったスケッチブックを覗き込んできた。
「もう、邪魔しないでよラト」
「・・・冷たいねぇフルーレ・・・
兄は悲しいよ・・・」
「勝手に弟にするなって言ってるだろ!」
兄弟かと思いきや、違ったらしい。
勝手に弟にしてるんだ・・・?
いまいちキャラが分からない、不思議ちゃんなラト君の顔を見てみる。
整った顔立ちだが、目が淀んでいる感じがしてちょっと怖いと思ってしまった。
「・・・くふふ、主様は私が怖いですか?」
『え・・・』
ラト君が目だけこちらに向けて、私の胸の内を見透かすように言った。
「くふふ・・・」
ラト君は楽しそうに・・・新しいおもちゃを見つけた子どものように笑った。
その瞬間ぞわりと悪寒に襲われた。
この子は私をモノ程度にしか思ってない。
そう認識すると、怖いとしか思えなくなってしまった。
「こら!ラト!主様を怖がらせるなよ!」
「ラト君、少し離れようか」
ちょっと震えてしまっているのに気付いてフルーレ君とミヤジさんは私からラト君を引き離してくれた。
「すまない・・・ラト君には私から言っておくから、またフルーレ君の採寸に来てほしい・・・」
『あ、いえ、大丈夫です・・・』
部屋から帰るまでミヤジさんはずっと謝り倒していた。
確かに怖かったけど、私が弱すぎるのも原因なのだろうからミヤジさんが謝ることはないだろうに。
今度はゆっくり話したいな、と部屋のベッドに横になりながら考えていた。
・・・でも、しばらくは1人でいたいかも・・・
コメント
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ミヤジさんの落ち着いた低い声にびくっとするところから始まって、賑やかな室内の雰囲気、フルーレ君の可愛らしさとラト君の不気味な笑い…一気に個性が立ちましたね。特に「新しいおもちゃを見つけた子どものように笑う」ラト君の描写がゾッとして、主人公の「しばらくは1人でいたい」という気持ちに共感しました。それでもミヤジさんの優しいフォローが温かくて、また顔を出したくなりますね…続きが気になります!
MAKO