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MAKO
フルーレ視点
新しい主(まだちゃんと会ったこともない)に着せるドレスのデザインを考えているが、ベリアンやロノなどから聞いた雰囲気と性格からして華美なデザインは好ましくないだろう、ということしか分からなかった。
ただ、キレイで長めの黒髪という点では様々な色を合わせられるので嬉しいところだ。
情報が少なすぎるために頭を悩ませていると、部屋にノックの音が響いた。
ちょうど手が空いていたミヤジが対応し、ドアの向こうから控えめな女性の声が聞こえたので、大慌てで散らかった道具を纏め始める。
「あーもう!これ持ってて!!」
「・・・反抗期ですか?」
近くに居たラトにスケッチブックを押し付け、床に散らばったデザイン画や道具箱を机の上に放り投げる。
ラトはいつも通りにニコニコと笑ってフルーレの行動を見守っていた。
「ミヤジ先生!メジャー見てませんか!?」
「確かこの辺に・・・あ、これかな」
「ありがとうございます!
ラト!それはこっち!」
ミヤジが見つけてくれたメジャーを丸めつつ、スケッチブックを椅子の上に乗せるように言った。
ラトは、はいはい、と適当な返事をしてスケッチブックを置いた。
「お待たせして申し訳ない・・・
中にどうぞ、主様」
ミヤジがドアを開けても主は部屋に入ろうとしない。
「・・・?あぁ、はじめまして。ミヤジ・オルディアと申します」
ミヤジは自己紹介をしていなかったことが原因で怖がられていると思ったらしく、丁寧に挨拶をした。
主も釣られるように簡単な挨拶をして頭を下げたようだった。
『〇〇と言います・・・よろしくお願いします』
主はミヤジと並ぶと小柄な体がより一層際立ち、屋敷で一番小さなフルーレよりも恐らく小さいと思われた。
「おや・・・新しい主様は小さいですね」
そんな中、空気を読まないラトが思ったことをそのまま言ってしまったのでフルーレは慌てて叱る。
「ラト!失礼だろ!」
その声にビックリしたらしく、主の視線がミヤジからフルーレに移ったため、フルーレは緊張してしまった。
「ぁ・・・あの、俺・・・フルーレ・ガルシアと、申します・・・
ラト!自己紹介!」
「・・・ラト・バッカです」
「す、すみません・・・あの、よろしくお願いします・・・」
人見知りと緊張で上手く挨拶できたか分からないが、主に不快感を与えた様子はなく、主は深々と頭を下げて挨拶してくれた。
「あ、〇〇と言います・・・よろしくお願いします・・・」
それから主は3人の担当や名前をメモ帳にメモしていた。
ミヤジ視点
メモが終わると、フルーレが主の採寸をしたいとお願いして採寸を始めた。
ミヤジは小さなフルーレがもっと小さな主の採寸をしているのを微笑ましく見守っていた。
主は採寸されたことがなかったらしく、不思議そうにメジャーを当てるフルーレを見て、真っすぐ立っているように怒られていた。
採寸が終わると、主はフルーレに声を掛けた。
『・・・あ、そうだ』
「な、なんですか?」
『身長って測れますか?』
「え、はい・・・ではそこの壁に立ってもらえますか?」
『はい・・・』
「・・・センチですね」
『・・・ありがとう・・・』
主は身長を測ってもらうと、ちょっと残念そうに礼を言った。
きっと思ったよりも身長が伸びていなかったのだろう。
しかし、主の年齢であればきっとまだまだ伸びるはずだろうと思ったミヤジはすかさず慰めに入る。
「大丈夫だよ、まだ伸び盛りだろう?」
主は目を丸くしてミヤジを見上げ、残念そうに呟いた。
『・・・2✕歳です・・・』
「「「え!?」」」
「嘘!?年上!?」
「「・・・!?」」
フルーレは自分よりも年上だったことに大層驚いて声を上げていた。
もちろん、ミヤジもラトも十代後半だと思っていたために非常に驚いた。
「・・・済まない・・・えっと、そのままでも十分可愛らしいんだから、気にすることは無いよ・・・」
すかさず謝罪をしてそのままで十分素敵だと伝えると、主は何となく納得できていない様子ではあったが、無礼を許してくれた。
『あ、いえ、大丈夫です・・・』
大丈夫、と言うことは少しばかり気を悪くさせてしまったようだ、と反省した。
ラト視点
主はフルーレがデザインを見せると機嫌が直ったらしく、夢中でスケッチブックを覗き込んでいた。
『わぁ・・・上手・・・』
「あ、ありがとうございます・・・」
『凄いなぁ・・・』
「・・・あ、気に入ったのとか・・・ありますか?」
『う〜ん・・・そうだなぁ・・・これ?』
主は気に入ったデザインがあったらしく、指を指した。
「あ、お似合いになるかと思います!」
どんなデザインを気に入ったのか気になってスケッチブックを覗き込むと、フルーレに怒られた。
「もう、邪魔しないでよラト」
「・・・冷たいねぇフルーレ・・・
兄は悲しいよ・・・」
「勝手に弟にするなって言ってるだろ!」
いつものごとく、弟扱いすると怒る。
どうして弟が嫌なのかさっぱり分からないが、それよりもじっとラトを見ている主の方に意識が向いた。
「・・・くふふ、主様は私が怖いですか?」
『え・・・』
主がラトを見て若干怖がっているのを言い当てると、主はますます怖がって心拍数が跳ね上がる。
「くふふ・・・」
ラトはあまりにも分かりやすい反応と、一瞬で壊れてしまいそうな弱さを見て面白く思った。
こんなに弱くても生きていられるなんて、面白いこともあるものだ。
「こら!ラト!主様を怖がらせるなよ!」
「ラト君、少し離れようか」
ラトが笑っているとフルーレが主を庇うように立ち、ミヤジに肩を掴まれて部屋の隅に連れて行かれてしまった。
もう少し観察していたかったのだが・・・
ミヤジ視点
「すまない・・・ラト君には私から言っておくから、またフルーレ君の採寸に来てほしい・・・」
『あ、いえ、大丈夫です・・・』
ミヤジは主を部屋に送り届ける道すがら、延々ラトの非礼を詫びた。
主は特に気にしていないような口ぶりだが、かなり怯えていたのは端から見ても明らかだったため、申し訳がない。
地下に戻りながら、ラトの言動をどうにかしないとフルーレが迷惑を被ってしまう、と危機感を抱いた。
それに、主がもしラトに怯えてこちらの世界に来てくれない、なんてことになったら困る。
ミヤジはラトにはちょっと厳しく、マナーを教えないといけないな、とため息を吐いたのだった。
コメント
1件
わあ、新主様登場!思ってたよりずっと大人で小柄なのに、ちゃんと意思表示するところが可愛いし、かっこいいですね。フルーレの慌てっぷりとラトの不気味な好奇心のギャップが絶妙で、ミヤジのフォローも優しい…。執事たちそれぞれの主への距離感がじわじわ来ます。次、ラトはどう出るんだろう?