テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
保「僕は誰のもんでもないけど、兄貴のなんは嫌やな」
鳴「……」
一「…は?」
2人が僕を凝視して固まった。
…普通の答えやと思うんやけど。
一「…え、宗四郎、嘘やんな?」
保「こんなとこで嘘つく訳ないやろ」
鳴「…ックク…宗四郎が…宗一郎を…」
兄貴は魂が半分くらい抜けかけてるし、僕はめっちゃ冷めてるし、弦くんは爆笑してるし。カオスすぎるやろ。
しばらくして、魂が戻ってきた兄貴が口を開いた。
一「宗四郎、帰んで」
保「え、なんで?」
一「なんでちゃうわ。外見てみい。もう暗いやん」
兄貴の言う通り、日はすっかり沈んで星がいくつか見えていた。
一「おかんが心配しとったで?」
やから兄貴が来たんか。
ん?っていうかなんで……
鳴「なんでお前は、宗四郎の居場所が分かったんだ」
僕が聞きたかったことを弦くんが聞いてくれた。
一「んー?そらもちろん…GPSや」
保•鳴「……は?」
GPS?
鳴「おまっ…宗四郎にGPSつけてんのか!?」
一「いや、変な意味ちゃうわ!」
いや、変な意味やなくても勝手につけんのはあかんやろ!せめて僕には言えや!
心の中で最大にツッコむ。
一「とにかく!帰んで、宗四郎」
鳴「ちょっと待て。…宗一郎、ちょっと来い」
弦くんが兄貴を呼び止めて内緒話をしている。僕には聞かれたらあかんことなんかな…
ちょっと寂しい。
一「よし。宗四郎、帰るで」
話し終えた兄貴が僕を呼ぶ。
保「…うん」
鳴「宗四郎」
店を出ようとした僕を、弦くんが呼び止める。
僕が振り返ると弦くんは
鳴「…また明日」
と笑って言った。
保「……!うん。また明日な」
僕は軽く手を振って弦くんにそう言う。
珍しく、弦くんは手を振りかえしてくれた。
…かわいいな
僕たちが家に帰ると、おかんはもう部屋に入っていた。『ご飯は冷蔵庫にあるからチンして食べや』という、親切なメモがリビングに置いてあった。
保「…なあ、兄貴。店出る前さぁ、弦くんと何喋っとったん? 」
僕は、メモの指示通りに僕らのご飯を冷蔵庫から取り出しながら、兄貴に聞いた。
一「あー、あれな。言うたら鳴海くんに怒られるかもしれんのやけどな。…『GPS、ボクもつけていい?』って言われたんや」
兄貴はゆっくりとソファに座りながら言う。
保「……え?」
僕は、慌てて取り落としそうになったお皿を持ち直す。
一「せやから、『ええよ。そん代わり、宗四郎とのことは全部俺に話せよ』って言うたったわ」
保「何勝手に変な約束しとんねん…」
僕はレンジのボタンを押すと、兄貴の隣に腰を下ろす。
一「せやけどまあ…」
不意に兄貴の声のトーンが変わる。
一「ええ彼氏持ったな、宗四郎」
保「…せやろ。僕の自慢の彼氏や」
僕は、少し得意げに兄貴に返す。
一「…宗四郎。大事にするんやで、鳴海くんのこと」
保「…分かっとるわ」
そんなことぐらい、兄貴に言われんでも。
4,375
郁不-いふ-
426
一「…そうか」
チン、と間の抜けた音が響く。
保「兄貴、食べよか」
一「せやな」
その後僕の頭の中は、兄貴と話しているのにも関わらず、一つのことで埋め尽くされていた。『明日になったら、早く弦くんに会いたい』ということしか。
コメント
5件

宗一郎の扱いに思わず笑っちゃいました(笑)3人のやりとり面白かったですし、最後の鳴海に思いを馳せている保科も可愛かったです🥰次回も楽しみにしてます!
ひなのさん、第16話読了したよ〜!✨ もうね、今回の宗四郎くんの「僕は誰のもんでもないけど、兄貴のなんは嫌やな」の一言に全部持ってかれた😭💥 それに対して弦くんが爆笑してるシーン、カオスすぎてめっちゃ好き。 あと最後の「明日になったら、早く弦くんに会いたい」って心中、甘すぎかよ…! 高校生の純粋な恋心が眩しすぎて眩暈するわ🌈💕 宗四郎くんの自慢の彼氏発言も尊死不可避でした。 次話も楽しみにしてます!ひなのさん、ありがとうございました🌸