コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
銃声が鳴り始めた…軍人らが動き始めたのだ。
耳を貫くような砲撃、何もかもを無にする爆撃、そして進んでいく軍靴。
…人間…いや住民のことを考えないんだ。あいつらは。
人の死なんてどうでもいい。スターリンもこう言った。
「一人の死は悲観的だが、何万もの死は統計上に過ぎない。」と。
そうじゃない。そう言いたいが…心の奥で、納得してる自分が居た。
二重帝国国境
「全軍突撃!」
「皇帝陛下のために!」
二重帝国前線司令部
「…何人死んだ?」
「6000人が、このハルシャト攻勢で土へと帰りました。…少将。」
「…続けろ。」
「こんな攻勢を続けてよろしいのでしょうか?このような結果になってしまってるんです。」
「…私も…分かってる。こんな攻勢無駄でしかない。」
「ならなぜ!」
「…シェヴェール、誰にも言わないと言えるか?」
「…はい。」
「そう言うと思ったよ。部下思いの貴女だ。…なぜ攻勢を続けるか…
それはな、上陸作戦の為だ。まぁ、海軍力などたかが知れてるが。」
「…海軍は最近アドリア海戦にて敗北したはず…」
「正解だ。ある意味隠蔽なんだよ。」
「隠蔽?」
「昔あった…何だっけか、ロシアによるウクライナ侵攻。あれのロシア側なんだよ、俺らは。」
「…つまり…」
…負ける可能性が高いってわけだよ。
二重帝国
ザルツブルク空軍基地
「おい…聞いたかよあれ。」
「聞いた…俺らは…死ぬんだな…」
「そう悲観的になるなよ…と言いたいが…」
「…ちょっと母親に電話してくる。」
「分かった。」
スゥー…
はぁ…
俺らは軍人だ。死なんて怖くない。
怖く…ないんだよ……母さん…父さん…
ありがとう…
「こちらEF4隊、急降下爆撃を開始する。」
イタリア戦線司令部
「ヴェネリア!対空作戦開始せよ!」
「了解しました、ドゥーチェ!」
ドォォォンッ…!
腹に響くような轟音を鳴らした。
それらは、爆弾からではなく、殆どが…人が載っているものだった。
イタリア軍は強い…いや、強すぎる。
これが軍事会社の力とは思えぬほど。
国の内情は薬物と快楽に溺れた、美の欠片もない物なのに。
兵士らは常に全てを見る。
大局を、敵を、仲間を、自分を。
このまま、国境が進むことなど殆どなかった。
あったとて、すぐに踏み潰された。
帝国の国歌も、もう喉が潰れるぐらい歌われた。
なにか…なにか無いのか…
逆に…なにも…無いのだろうか?