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あまね🍡💠
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十五年前――。
能力犯罪が続けて発生してから一週間。
ニュースでは連日のように事件が報じられていた。
『能力関連事件 第23号。』
『能力を利用した殺人未遂事件が発生。』
『現在、警察が詳しい状況を調べています。』
『能力関連事件 第24号。』
『能力を利用した器物損壊事件。』
『能力関連事件 第25号。』
『能力を利用した恐喝事件。』
事件番号は日を追うごとに増えていた。
テレビを見つめる蓬萊は、小さく息を吐く。
「こんなにも早く……。」
-–
その日。
ZEROは地域の公民館で講演会を開いていた。
蓬萊は集まった人々へ静かに語り掛ける。
「ここ数日。」
「能力を利用した事件が立て続けに発生しています。」
会場が静まり返る。
「事故は、不注意で起こることがあります。」
「ですが。」
「犯罪は違います。」
「人の心が引き起こすものです。」
参加者たちは真剣な表情で耳を傾けていた。
蓬萊は続ける。
「能力は便利です。」
「だからこそ。」
「責任があります。」
「このまま何もしなければ。」
「能力犯罪は、もっと大きな事件へ発展するかもしれません。」
会場の空気が張り詰める。
「皆さん一人ひとりが。」
「能力と向き合ってください。」
「未来を守れるのは。」
「私たち自身です。」
大きな拍手が響いた。
-–
講演終了後。
詩織が蓬萊へ温かいお茶を差し出した。
「今日も素敵なお話でした。」
蓬萊は微笑む。
「ありがとう。」
義一も静かに口を開く。
「少しずつですが。」
「皆さんの表情が変わってきた気がします。」
蓬萊は頷いた。
「焦らず続けるしかありません。」
-–
その頃。
イコル・ヤーレン研究所。
博士は政府関係者へ資料を渡していた。
「能力教育は急務です。」
「学校教育へ組み込むことを強く提案します。」
議員の一人が尋ねる。
「そこまで必要でしょうか。」
博士は迷うことなく答えた。
「必要です。」
「能力は。」
「教えなければ、必ず誤った使い方をする人が現れます。」
「だからこそ。」
「学校で学ばなければならないのです。」
議員たちは静かに資料へ目を落とした。
-–
夕方。
ZERO本部。
詩織が新聞を広げる。
「今日だけで三件……。」
義一も表情を曇らせた。
「事件が増えるペースが早すぎます。」
蓬萊は静かに新聞を閉じる。
「まだ止められます。」
「止めなければいけません。」
その瞳には、まだ強い意志が宿っていた。
-–
その頃。
政府庁舎。
会議室。
机の上には一枚の資料。
『能力犯罪対策準備室 設立計画』
官僚が口を開く。
「能力犯罪は今後さらに増えると予測されます。」
「専門組織の設立を急ぎましょう。」
全員が静かに頷いた。
会議室の外。
一人の青年が資料へ視線を向ける。
『能力犯罪対策準備室』
その文字を見つめ、小さく呟いた。
「能力犯罪専門か……。」
青年はわずかに口元を緩める。
「面白そうだ。」
そのまま静かに歩き去っていく。
誰も、その青年の存在には気付かなかった。
-–
夜。
ZERO本部。
一本の電話が鳴る。
蓬萊が受話器を取る。
「はい。」
電話の向こうから震える声が聞こえた。
「蓬萊さん……。」
「また事件です。」
蓬萊は静かに目を閉じる。
「今回は……。」
「何があったんですか。」
電話の向こうで、ゆっくりと言葉が続く。
「能力を使った殺人未遂です。」
「被害者は……。」
「小学生の男の子です。」
部屋の空気が凍り付く。
詩織は思わず口元を押さえた。
「そんな……。」
義一も拳を握り締める。
「子どもが……。」
電話の向こうの声は震えていた。
「命に別状はありません。」
「ですが、あと少し発見が遅れていたら危なかったそうです。」
蓬萊は静かに受話器を置いた。
部屋には重い沈黙だけが流れる。
詩織の目から、一筋の涙がこぼれた。
「どうして……。」
「子どもまで巻き込まれなければならないんですか……。」
蓬萊は何も答えられなかった。
窓の外では、能力を使って無邪気に遊ぶ子どもたちの笑い声が聞こえる。
その笑顔を見つめながら、蓬萊は強く拳を握った。
「守らなければ……。」
「この子たちの未来を。」
その決意とは裏腹に。
能力犯罪は、確実に社会へ広がり始めていた。
第61話へ続く
コメント
1件
鳳蓮荘さん、第60話読ませていただきました。 十五年前の回想という形で、能力犯罪が社会に広がっていく様子がひしひしと伝わってきました。蓬萊さんの「未来を守れるのは私たち自身」という言葉が胸に響きます。それと同時に、ラストの小学生の男の子が被害に遭ったニュース……詩織さんが涙をこぼす気持ち、すごくわかります。 あと、「能力犯罪対策準備室」に興味を示した青年の存在が気になります。彼が今後どう動くのか、続きが気になりますね。