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ん”ん”んッッ可愛いッッ!!!!! 最後のいつもどうりの笑顔って…てぇてぇ…✨
1回目──書き出しは『あの出会いを忘れるはずがない』で、煽り文は『好きだって何度でも言ってやる』です
あの出会いを忘れるはずがない
きらきらと、星屑瞬く空の下。あの子は静かに佇んで──目を奪われるほど綺麗な瞳で、星を見上げていて
あの時──その目に、そんなあの子に……一目惚れしたんだ
『〜ッ、好きです!!!』
柊 夜鷹(ひいらぎ よたか)は”今日も”天体サークルの前で、目の前のとある人物に大声で言い放つ。
『……だから、俺はキミに興味ないって何度も言ってるでしょ』
告白された張本人……宵星 龍華(よいぼし りゅうか)は、またか……と半ば呆れながらに断りの返事を口にした。
夜鷹『ぅ”ーー……!!!!』
龍華『唸っても変わらないよ、というか獣かなにかなの?君は』
夜鷹『ち”ーか”ーい”ーま”ーす”ッ”ッ”!!!!』
龍華『なら唸るのをやめなよ、まるで獣だよ?』
そんな冗談か冗談じゃないのか分からないことを言いながら、龍華はレポートに視線を戻してしまった。
夜鷹『むぅぅ……なんっっで……なんでですかぁぁぁ……!!!!』
少し涙目になりながらそう訴えると、目線はそのままレポートに向けながら、呆れたような声で『なにが…』と返事が返ってくる。
夜鷹『りゅーか先輩ッ…こんなに沢山好きって言っても振り向いてくれないんですもんん…ッ…!!!!』
龍華『好きって言われた時はちゃんと手止めて振り返って聞いてたでしょ』
夜鷹『そういう事じゃなくてぇぇっ…』
何故こんなに思いが伝わらないのか、自分に魅力がないからか、と、ついに夜鷹はぴよぴよと泣き出してしまった。
龍華『……は、ちょっ、なんで泣いてるの???』
泣いていることに気付いたのか、少し慌てたようにレポートから目を離し、夜鷹を見つめてそう問うと
夜鷹『ヒクッ、グスッ……知ってますよぉぉっ…僕に魅力がないから、りゅーか先輩はいつまでたっても僕の事を見てくれないんですよねぇぇ…っ…でも、でも僕、これでもがんばってるんですよぉぉ……』
龍華『なんっっでそうなるの…!?』
夜鷹『だ、って、だってぇぇっ……』
きゅうと鼻を鳴らし、ぺしょりとへこたれている姿は名前にある夜鷹と言うよりまるで主に叱られた子犬のように見えてくる。そうなると、龍華は途端に弱くなるのだ。
龍華『ちょ……はぁぁ……ほら、泣かないでって…好きだから、ほら好き、ね?』
そう言いながら頭を撫でてやるとみるみるうちにぱぁぁっ、と夜鷹の顔が明るくなり、ぶんぶんと振られる尻尾が見えてきそうなほど手に頭をすりつけている。
夜鷹『ほんと、?ほんとですか……!?』
龍華『全く……友達として好き、ね?』
夜鷹『んぇ………ん、むぅ…でも、好きなら…』
友達として、と、聞いた瞬間、振られていた尻尾が止まったように感じたがすぐにまたぱたぱたと振れているような気がする、と龍華は心の中でひっそりと思った。
龍華『……というか2年は次、特別講習でしょ?時間大丈夫?』
夜鷹『えっ……!?』
慌てたように夜鷹が時計を見ると、特別講習開始の5分前を時計は指していた。
夜鷹『……やっっっばぃ……!!!!』
龍華『はぁ……ほんっと忘れっぽいんだから…ほら、急ぎなよ?』
夜鷹『はーいっっっ!!!!』
そう言い残すと、夜鷹はわたわたとしながら急いで教室に駆けて行った。
龍華『………ふぅ……危なかった……』
夜鷹が教室に駆けて行った数分後、1人残った室内で、顔をほんのりと赤くさせながら小さく息をつく。
龍華『………魅力、無いわけないでしょ…ほんと…』
バレていなかっただろうか、平然を装えただろうか、と今日も自らに数回問いかける。
龍華『……なんで、毎回、あんなに好きとか、簡単に……はぁぁ、もぅ……』
少し気持ちが落ち着いた後、顔を覆って机に突っ伏した。そして、そのままの状態で夜鷹と出会った日の事を思い出していた。
あの日は確か……そうだ、流星群を新しい天体メンバーで見に行ったんだっけ…?
周りの奴らはサボるばっかりで真面目に星を見ていなかったけど……あの子は……夜鷹だけは違った。
まるで本当のヨタカのように、自身のその目をきらきらとさせて。星に憧れる、とでも言うように食い入るように星空を見上げて。
その目に俺は……心を奪われてしまった。
その目で、見つめられていたい。その目を、ずっと近くで見ていたい。俺も、そんな風に……と。
最初は、ただそれだけで。”好き”だなんて気付きもしなくて。でもいつからか…夜鷹は俺に懐いて、告白してくれた。
正直、驚きはしたけどそれと同時に、とても嬉しかった。そこでようやく『あ、俺…好きなんだ、夜鷹の事……』と、気持ちに気付いた。
でも、それと同時にひとつの考えが浮かんで。
『俺は、男だよ…?…夜鷹は、今は盲目的に俺の事しか見えてないだけで、きっといつか女の子の方に………』…と。
そう考えたら、怖くなった。付き合って、別れてしまえば、もう二度と夜鷹と話せない気がして。でも、先輩後輩の関係ならずっと、話していられる気がして。
そこからずっと、ずっと、夜鷹への気持ちに蓋をして。
それなのに……夜鷹は最初に告白した日から、ずっと告白を続けている。約1年半、毎日、毎日。
……好き、だなんて、俺だって…俺だって……
龍華『俺だって、夜鷹の事…ずっと…好きなのに…』
そう、独り言を口に出したつもりだった。
ばさばさっ!!
龍華『ぇ……?』
背後、部屋の扉の方から音が聞こえて。まさか、と後ろを振り向くと──
夜鷹『せ、せんぱい……??いまの、って……』
見慣れた夜鷹の姿が、目に入ってきた。
龍華『な、んで、キミ……いま、講習中じゃ、?』
しどろもどろに、聞かれてしまった焦りから、言葉をつまらせつつ、必死に声を絞り出すと
夜鷹『ぁ、えっと……講習の先生が体調崩しちゃって…自習になったんで筆箱取りに来たんです……けど…あの、りゅーか先輩、今さっきの言葉……』
ちらり、黒い瞳を龍華に向けて。その目で、焦りが頂点に達して。頭を混乱させながら、龍華は部屋から逃げ出した。
夜鷹『ちょっ…!?先輩!?!?』
──驚いたように叫ぶ夜鷹の声を、背に浴びながら。
龍華『ゼェッ、ハッ……っ、最ッ悪……』
部屋を飛び出し向かった先は、何時もの展望台だった。
龍華『ッ……ど、しよ、……』
小さくうずくまって、自身の膝に顔をうめて。自身の薄い黄色の瞳からは、混乱とバレてしまった焦りで、涙がぼろぼろとこぼれ落ち。
龍華『も、あわせる顔……ないよ……』
ぐす、ぐす。1人、展望台でうずくまり、少し前の自分の言動に後悔して。
なんであの時、口に出してしまったんだろう。なんで、どうして…
そんな思いが、頭をぐるぐると回っていると
がちゃり
展望台のドアが、開く音がして。
龍華『っ……!』
誰だろうか、鍵はちゃんと閉めた。展望台室の鍵は、天体サークルの人しか持っていないはず……回らない頭で思考を巡らせていると
……先輩、龍華先輩
それは、とても聞き覚えがある声で。
居ますよね?龍華先輩
もう、ほぼ毎日聞く、あの声で。
……出てくる気がないならいいんです。そのまま、聞いてください。
僕、先輩の事……好きって言ってましたけど……先輩のさっきの言葉聞いて、違うって分かりました。
その言葉に、息が止まって。胸の奥が、ズキリと、切り付けられたように痛んで。
気付けば思わず、立ち上がって叫んでいた。
龍華『ッ……やっぱり、女の子の方がいいんでしょっ……?』
涙で霞む瞳に、夜鷹の姿が映って。
夜鷹『……先輩、やっぱり居たんですね?』
咄嗟に、目を床に逸らしてしまった。夜鷹の、龍華を見る目が優しげで、穏やかだったから。それが一層、龍華の悲しみを掻き立てた。
その目が向くのは、もうこれからは俺じゃない。これからは、もう……と。
また、逃げ出したくなった。隠れるあてもないけれど、何処か…夜鷹に見つからないような場所へ。
そう思って、目線を床に向けたまま、黙って展望台室から出ていこうとすると
夜鷹『待ってください、先輩』
がしっと、夜鷹が龍華の腕を掴んで。
龍華『ッ……離してよッ…!』
掴む手を振り払おうと腕を振ると、夜鷹はパッと手を離して、龍華に抱きついて。
龍華『……?なに……?』
夜鷹『最後まで、僕の話きいてくださいよ』
少しジト目になりながら言ったかと思うと、強く龍華を抱きしめて、ふわりと微笑んで、こう言った。
夜鷹『……僕の気持ちは、”好き”じゃ収まらないって、気付いたんです』
夜鷹『”愛しています”。先輩』
龍華『……ぇ……?』
そう、小さく声を零すと
夜鷹『聞こえませんでした?愛してます、龍華先輩。僕は、先輩しか愛す気ありませんよ』
耳元で、愛しさを含んだ声で、もう一度繰り返されて。
龍華『ぇ、あ、ぅ、……????』
恥ずかしさと、驚きと。そして、嬉しさで。頭がショートしたように何も考えられなくなり。
夜鷹『……だから、先輩。僕と、お付き合いして頂けますか?』
その上、夜鷹がこんなはにかんだような笑顔を浮かべて言うものだから。つい、言ってしまった。頷いてしまった。
龍華『ぇあ、は、はい…』
すると夜鷹は、龍華にとびきりの笑顔を向けて
夜鷹『~っ!!やった~!!!!これからは毎日、愛してるって言いますから!』
なんて、言うものだから。龍華は顔を赤くして
龍華『っ、な、慣れるまでは、これまでどうり好きでいいよっ……!!!』
と、大声で返して。
すると夜鷹は、『しょーがないなぁ、りゅーか先輩は!』と言って悪戯っぽく笑って
夜鷹『慣れる日なんて来ない気もしますけど……いいですよ、言います。何度も何度も。だって先輩、そうじゃないと、流れ星みたいに何処かに消えちゃいそうで不安ですもん』
夜鷹『龍華先輩は僕だけの星です。誰にも、渡しませんし離しません。』
それから、何時もと少し違って不敵に微笑み
夜鷹『好きだって、何度でも言ってやる』
龍華『ん、ぇ……っ……!?』
そう、龍華の耳元で、小さく呟いて
夜鷹『~♪覚悟しといてくださいね、せーんぱいっ♡』
いつものように、ふわふわと笑うのだった。
───星が望むは夜継鳥
END───