総司side
悟君達の屯所案内が終わり、僕は野薔薇ちゃんのお仕置をした後、部屋に入ろうとしている悟君と風香ちゃんに話しかけた。(僕が野薔薇ちゃんに何のお仕置をしたのかは言えないけど、これは想像に任せるかな。w)
総司「ねえ悟君、風香ちゃん。」
僕に声を掛けられた悟君と風香ちゃんは、振り返って僕の顔を見て不思議そうな顔をし乍、僕に返事をした。
五条・風香「ん〜?総司、どうしたの?・はい、総司さん、一体何でしょうか?」
悟君と風香ちゃんはお互い同時に返事をした。そして、僕は思い出すかのように発言をした。それを聞いた二人は一瞬だけ驚いた顔をしていた。
総司「僕達って何処かで出会ったことある…よね?」
僕がそう言うと、二人は若干驚いた顔をしていたのだけど、直ぐに表情を変えて申し分無いような顔をした。
五条「ごめん、分からないかな。人違いじゃないかな。」
風香「ごめんなさい、私も分からないです。」
二人から告げられた言葉に、僕は失望してしまった。何故って、旧友であった悟君と風香ちゃんから発せられた言葉が衝撃的で胸が押し潰されそうになってしまったからだった。僕は泣きそうになり乍も、二人から返された言葉に返事をした。
総司「そっか。悟君、風香ちゃん、変なことを聞いてごめんね?💦」
僕は二人に泣いているところを見られたくない為、瞳を細めて堪え乍も二人にごめんねと謝った。僕の返事を聞いた二人は、大丈夫だよという顔をしていた。
五条・風香「大丈夫だよ。・いいえ、全然大丈夫ですよ。」
総司「じゃあ、また後でね。」
二人のその困り顔を見た僕は、この後の事を見据えるかのように二人に「また後でね。」と言って、二人に踵を返して自室に戻った。何そうしたのかというと、僅かに目から溢れ出ている涙を二人に見せたくなかったからだ。
僕が自室に入ると、周りが静かになったところでその場で蹲るように僕は一粒の涙を流した。あの二人から、「分からない」という一言と僕の事を忘れてしまったという悲しみの涙だった。悟君と風香ちゃんがもしかして本当に僕との記憶を忘れてしまったのかという悔し涙でもあった。
涙が流れ止まった僕は、部屋に置いてある机の引き出しから一羽の折り鶴と一枚の栞《しおり》を手に取った。折り鶴は、昔と変わらずの綺麗な桜色をしており、栞は綺麗な紅葉《もみじ》と銀杏《いちょう》が施されていて埃や傷など一つも付いてなかった。この二つは僕が幼い頃、試衛館に入館したての時に僕と同じく未だ幼かったあの二人から貰った物だった。
あの二人との出会いは、僕はいつものように同じ試衛館に居る兄弟子達に苛められていた。痛くて苦しく、誰一人助けてくれなかった僕を救ってくれたのはあの二人が僕の様子を見て駆けつけてくれた事だった。
五条(幼少期)「おい!弱い者苛めは良くないだろ!💢」
風香(幼少期)「そうだよ!苛められているその子の気持ちにもなって見なさいよ!可哀想でしょ!?💢」
僕を苛める手を止めた兄弟子達は、二人の方を見て声を上げた。
兄弟子1「何だよお前ら!急に俺達の前に出るとか何様のつもりなんだ!💢」
兄弟子2「そうだそうだ!赤の他人であるお前達には関係ないだろ!これは俺達のことなんだよ!💢」
ドカッ
総司(幼少期)「ガハッ!!💦」
二人目の兄弟子は倒れ込んでいる僕の腹部を強めに蹴った。この時、未だ僅か九歳だった僕にとってそれは迚痛かった。そんな口論があり乍も、僕は二人のおかげで兄弟子達の苛めから解放された。その時の会話も今でも良く覚えている。
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