第11話 痛み
「何をしているんだ⁉︎お前は…!」
佳代はいきなり安東に港の人の気配のない暗い場所に連れて行かれた。
佳代は安東に鎖で繋がれた。そして、相当な暴力を受けていた。
「俺の機嫌に逆らうとは、どういうことか…..教えてやるよ、佳代。」
静寂を裂くように、安東の低い声が響く。体は既に限界を超えていた。
幾度となく浴びせられた黒炎の爪痕が、肌を焼き、骨の奥まで痛みを伝える。
それでも佳代は、首を横に振った。
「…..みんなの元に返して…..」
その言葉に、安東の顔が歪んだ。怒りではない。冷笑だった。
「ふうん、じゃあ、また”ご褒美”をやらなきゃな」
次の瞬間、床を走る黒い炎が一斉に佳代の四肢を襲う。皮膚が焼け、筋肉が引き攣る。佳代は声を上げなかった。
「ううっ、ああ゛っ」
「ほら、もっと叫べよ。血の一滴まで搾り取ってやるよ」
安東の足が佳代の腹を蹴り上げた。
衝撃で内臓が揺さぶられ、口から大量の血を吐いた。
床に散る鮮血は、すでに自分の血か、口の中の肉片かすらわからない。
「ーーッツ、は……う……」
「このままじゃ、ほんとに死ぬかもな。
でも、お前が”こっち側”になるまで….俺はやめねぇよ。」
安東は佳代の髪を掴み、顔を無理やりこちらへ向ける。
「見るよ、自分の血だ。きれいだろ?その特別な血。
お前の中の恵まれし“悪魔”の血だ!」
安東はその血を舐めた。
「ああ、いい!いい血だ!」
「いいか?これは拷問じゃない。調教だ」
「従わなければ、もっと壊す。心も、体も、全部…..」
焼け焦げた傷口からは絶え間なく血が流れている。
さらに攻撃が来ようとした。
その瞬間ー。
「ここにいたのか…。佳代!今助ける!」
動けるもの全員、佳代を助けにきたー!