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R
23
#執着
さぶれ
1,448
一体何人寝られるんだろうかと思えるくらいに大きい、キングサイズのベッドで、
「いいだろ……?」
耳にふっ……と吐息が吹き込まれて、(いいのかな?)という思いが、にわかに湧き上がる。
春樹には何も伝えていないし、急に部屋に行かなくなったことを気にしてるんじゃないだろうか……。
それに、あの秘書の彼女……霧嶋 麗華さんだって……こんなことは許してくれるはずもない気がした……。
「っ、ん……」
そう思うそばから、首筋に付けられた唇がさらに鎖骨へ這い下りそうにもなって、
胸元を緩めようとする彼の手に、思わず服の合わせ目をぎゅっと両手で握り締めた。
そこで、ふと彼の手が止められ、「……嫌なのか?」と、問いかけられた。
どう答えればいいんだろうと迷っていると、
「何も言わないのなら、続きをしてもかまわないと受け取るが、」
鷹騰社長が言葉を切り、しばらく黙って私の顔を見下ろした。
そうして、その後に、
「……いいんだな?」
と、一言を問いただされた。
「……い、」何か返さなければと声に出してはみたものの、否定か肯定かその先の判断が、自分でもまるでつけられなかった。
「……いいよな?」
彼の言葉が確信めいた言い方に変わり、はだけられた胸元に手が滑り込んだ。
ブラの上から胸が鷲掴まれ、「あっ……」と、上目に彼の顔を見やる。
「……なんだよ?」
睨み据えるような鋭い眼差しに射すくめられて、ぞくっと身体が打ち震える。
だけど、その震えさえも甘い痺れに変わりそうで……下着越しに赤く痕が残りそうなほど胸の膨らみが揉みしだかれると、「……ふっ、う……」鼻にかかった声がこぼれた。
ブラが半分ずらされ、熱感のある手の平が直に肌に触れる。
右手は胸を掴んだままで、左手が下半身へつたい下りて、スカートの裾をたくし上げる。
「……あっ、そこ……はっ……」
両手で思わずスカートを押さえ込むと、「今さら、遅い……」低いひと声とともにまくり上げられた。
あっという間に下着姿にされて、このままだと雰囲気に流されてしまうかもしれないと感じる。
私の思惑をよそに、彼が着ているシャツのボタンを片手で外しながら、身体で覆いかぶさり体重で押さえつけるようにしてのし掛かった──。
「……重たい、から……」
今を逃したら今度こそ最後まで及んでしまいそうで、せめてもの悪あがきとわかりつつ、彼の胸を両手で跳ねのけようとした。
けれど厚い胸板に阻まれビクともしなくて、もうなるようにしかならないとぎゅっと目を閉じた──。
でも、いくら待ってもそれ以上は何も起こらなくて、瞑っていた目を薄っすらと開けてみた。
すると──、
私の肩にもたれ掛かる彼から、まさかの寝息が聞こえて、
「……え、寝ちゃったの……?」
信じられない思いで身体の下から這い出すと、その顔を覗き込んだ。
閉じられた瞼が開く気配もないのを、(嘘……本当に寝てる……)と、まじまじと見つめる。
このタイミングで寝るなんて、良かったんだか悪かったんだか、釈然としないような思いに駆られる。
「良かったんだよね……」
そう、わざと口に出して自分に言い聞かせるように呟いて、ふーっとため息を吐いた。
片手を枕にして、傍らですぅーすぅーと寝息を立てる寝顔を眺める。
眉間にわずかなしわが刻まれた、心なしか苦しげに見える表情は、酷く疲れ切っているようにも感じられた。
「そういえば、計画が上手く行かなかったとか言ってたけど……。……こんなに飲まないといられないくらいに、悔しかったのかな……」
仕事上のうっぷんを晴らすために酔い潰れるとか、この人って根っからの仕事人間なのかなと、ふと感じた──。
コメント
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ああ、もう……このもどかしさ!(笑) あれだけの雰囲気になっておいて、まさかの寝落ちとは。でも主人公が「良かったんだよね……」って自分に言い聞かせるところ、すごくリアルな心情だなと思いました。あのタイミングで寝顔に苦しげなしわを見つけて、仕事のストレスを思いやってしまう優しさも素敵。鷹騰社長の人間らしい脆さが垣間見えて、一気に親しみが湧くエピソードでした。