コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ちょっと、買い物付き合って。」
あいつは、渋る自分を外へ連れ出した。互いに、ポケットにスマホと財布を突っ込んだだけの軽装。それほど重要そうな要件では無さそうだ。ヨーロッパ旅行、まだなのかな。楽しみに、してるんだけど。
しばらく他愛ない会話をしていて、気がつく。あいつの手によって車椅子が進むままにしていたら、見知らぬ場所だ。
「えーと、ヨーロッパって、こっち方面。」
「ばか、ほんとばか。」
全部置いてきた。何もかも、捨ててきた。ここにあるのは、こいつと自分だけ。全部から逃げて、ヨーロッパに行く、っていう、無謀な挑戦を抱えて。悪くない。こいつとなら、このまま死んでしまっても構わない。