しばらく他愛ない会話をしながら進んだ。途中のコンビニでおにぎりを食べたり、飲み物を飲んだりハンカチを買ったりトイレ借りたり。ただふらふらしてるみたいで、ほんとに何やってるんだろう、自分たち。気付けば見知らぬ田舎に来ていて、コンビニも減って、1時間ほど歩かなければコンビニの姿は見えない。ところで、こいつは直線的な方角でヨーロッパに行こうとしてるのか、はたまた飛行機に乗るために、空港をめざしてるのか。まあ、前者だろう。田舎に進んでるのに、空港をめざすは、ない。空港を使うなら、普通に公共機関を駆使して旅行に行きたい。直線的な方角、と言えば、海か。
海がちらりと、木々の隙間から覗いた。でもまだ、遠い。ここは違う。気が付けば、手ぶらで、ただひたすら普段通りの話をして歩き続けた。増えてった荷物も、どこかに置いてきた。
「歩きたい」
「わかった。危ないから、手を、…」
こいつの手を頼りに、歩く。足が、動かない。立つのも、やっとだ。それでも長い時間をかけて1歩1歩、歩いた。次第に早くなって、話に夢中になった。こいつだけが自分の世界にいた。きっと、互いが同じように感じてた。
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