テラーノベル
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第5話:治すから…
The HOPE-LIGHT開幕前日。
Ryok「ぉはようございま〜す…」
早朝に楽屋入りした藤澤。朝が強い藤澤は、基本メンバーの中で誰よりも早く楽屋に入る。集合時間の1時間前ほどに入るのがほとんどだ。若井が楽屋入りするのはおよそ集合時間30分前。大森は基本ギリギリか数分遅刻する。
だが今日は早朝というか深夜に目が覚め、二度寝しようと思ったが謎の胸騒ぎがありいつもよりうんと早い集合時間1時間半前に楽屋入りした。
Ryok「ふぁあ…ねむ…時間あるしソファで寝ようかなぁ…」
スマホ片手に荷物を抱え楽屋にぶつくさと独り言を言いながら楽屋入りした藤澤の目に、信じられないものが映る。
Ryok「…ぇ?」
なんと、そこには机に突っ伏して寝ている元貴だ。
Ryok「ぇ、?え?嘘でしょ、?!」
確か元貴は昨日僕と若井よりもかなり遅く帰宅したはず。おそらく家に着いたのは深夜だろう。
その元貴がなぜここにいる…?普段遅刻寸前に楽屋入りする元貴が…?
Ryok(元貴が楽屋で寝るなんて…初めてじゃない…?)
そう、元貴はどれだけ睡眠時間が少なくても現場や楽屋で睡眠を取ることはなかった。
「人に眠っているところを見られるのが苦手」
と以前話していたため、僕の記憶の元貴はいつも作業をしているかスマホをいじっていたはず。
それほどまでに疲れているのか…
Ryok「暖房もつけずに…風邪ひくよ、?」
そういいながら自分の荷物を置き、ソファの上に置いてあったブランケットを取り元貴にかけようとする。
が、その時。ブランケットをかけようとした僕の手がピタリと止まった。
Ryok「ん…?」
なんだ…?元貴が何か言ってる…?
Mtk「んー゛……ん…ふ…ッ」
Ryok「…うなされてる…?」
元貴が小さな声で苦しそうに唸っている。
嫌な夢でも見ているのだろうか…顔は見えないが、きっと酷く歪んでいるのだろう。首には冷や汗が滲んでいる。
Ryok「起こした方がいいのかな…」
正直、楽屋で寝るほど疲れているであろう元貴を起こすのは抵抗がある。少しでも休めるなら休んで欲しい。
…が、嫌な夢にうなされているのなら起こすべきだろう…。
ごめんねと思いながらも元貴を起こす。
Ryok「元貴…元貴…!」
声をかけながら、トントンっと肩を叩く。が、元貴が起きる気配は無い。まだうなされたままだ。
Ryok「元貴…!起きて…!」ユサユサ
Ryok「ぇ、?あっつ…?!」
元貴の肩をゆさゆさと揺らした時、藤澤は思わず声を出してしまった。
元貴の体が熱い…。明らかに熱を持っている。
Ryok(もしかして、熱にうなされてる…?)
Ryok「元貴!起きて!!」
Mtk「んぅ゛…?」パチ…
ようやく元貴が起き顔をあげる。
Ryok「ごめん、元貴…僕だよ、」
Mtk「ん…?涼ちゃん…?」
Ryok「そうそう。涼ちゃん。」
Mtk「早いね…どーしたのこんな早朝に…」
Ryok「それは元貴もでしょ。元貴がこんな時間に楽屋入りなんて珍しい…」
Ryok「て…元貴?聞いてる?」
Mtk「ん〜…?聞いてる聞いてる…」
まだ寝ぼけているのか、ポヤポヤとしており頭が働いていない元貴。
Ryok「元貴…ちょっとお熱測ろ?」
Mtk「お熱…?なんで…?」
Ryok「いいから、ほら、ちょっと冷たいよ」
そういいながら元貴の脇に体温計を挟む。
ピピピピ ピピピピ
Ryok「ぅわ…これはしんどいね…」
Mtk「ん…何度…?」
Ryok「知らない方がいいよ。多分知ったらもっとしんどくなっちゃう。」
体温計に表紙された数字は、39.7℃。かなりの高熱だ。
Ryok「元貴、ちょっと移動しようか。持ち上げるよ。よいしょ」
Mtk「んぇ…」
元貴の膝裏と背中に腕を回し持ち上げる。
Ryok(かる…)
ちゃんとご飯は食べているのだろうか。持ち上げた元貴の体は、成人男性とは思えないほど軽かった。
ゆっくり慎重に元貴をソファへと移動させ、元貴のそばにしゃがみ頭を撫でる。
Ryok「元貴、寒かったり暑かったりする?」
Mtk「ん…さむぃ……」
Ryok「寒い?おっけー、ちょっと暖房つけるね。ブランケットかけるよ」
寒いと訴える元貴の体にブランケットをかける。あの高熱で寒いということは、もっと熱が上がるのだろうか。
Ryok「若井まだ来ないからちょっと寝てな。僕ずっとここにいるから。」
Mtk「ほんとに……?ずっといる……?」
Ryok「うん。約束する。おやすみ」
元貴の目の上に手を置き、強制的に眠りへと誘導させる。
一定のリズムでトントンとお腹を叩いていると、やはり高熱の体は限界なのか、すぐに眠ってしまった。
Ryok「ふぅ……今何時だろ…」
Ryok「ん、ちょうど集合時間30分前か…そろそろ若井くるかなぁ」
スマホで時間を見ると、ぴったり集合時間30分前。もうすぐ若井が来るだろう。
Ryok(The HOPE-LIGHT、延期すべきだよね……)
ここ最近の元貴はどこかおかしい。元々体が弱く風邪をひきやすい人ではあったけれど、ライブ直前だし、しっかり者の元貴だ。体調管理はきちんとしているはず。
それなのにこの高熱。この前の貧血で倒れたことも気になる。
元貴の体を優先してライブを延期すべきだろうが、頑固としてやると言い張る元貴をどう説得しようか…
ガチャ
Hrt「ぉはざまーす……」
そんなことをぐるぐると考えていると、若井がやってきた。
Ryok「ん、若井。おはよぉ」
Hrt「おはよ涼ちゃん。」
Hrt「……え?は?なんで元貴いんの…?!」
びっくりするのも無理はない。
Ryok「あのね、若井……」
僕と同じように元貴が楽屋にいることに驚いた若井に、元貴に高熱があること、明日のライブは延期すべきだがどう元貴を説得すればいいか分からないことなど、ありのままを話す。
Hrt「なるほどねぇ……まあ俺も最近の元貴はなんか変だなって思ってたし…絶対延期にするべきなんだろうけどさぁ…」
Hrt「この元貴だよ、?絶対素直に“延期する”とは言わないだろうな……」
Ryok「だよね……」
Hrt「ディレクターとサポメンも交えてちょっと話し合おっか。今からここ呼ぶね」
Ryok「ありがと…」
D「なるほど……」
サポメン「絶対開幕遅らせるべきでしょ。元貴の体調が第一じゃない?」
Ryok「僕たちもそう思ってるんだけど……元貴、絶対に延期しないって言うと思うんです。」
D「まぁ……何となく僕もそうだろうなとは思いました…」
Hrt「どれだけ高熱だろうと、多分元貴は点滴でもなんでもしてライブをすると思うんです。あんな最悪の体調の中点滴打って無理やりゼンジン大阪やるぐらいだし……」
D「それだともう、どうしようもないですもんね……」
Ryok「それに、このライブは元貴がやりたいって言い出したライブなので……自分がやると言った以上、元貴はやらないと気が済まないと思います。」
D「一度、大森さんが目覚めたら話を聞いてみましょう。おそらくお2人の方が話しやすいと思いますので、僕たちは別室で待っていますね。」
Ryok「すみません、ありがとうございます…」
D「いえいえ、また話がまとまったら教えてください。」
Ryok「わかりました…」
バタン
ディレクターとサポメンが出ていき、3人だけとなった空間に沈黙が流れる。
その沈黙を断ち切ったのは若井だった。
Hrt「……ねぇ、涼ちゃん…」
Ryok「んー、?」
Hrt「あのさ……こんなこと言っちゃダメだって、わかってるんだけどさ……」
Ryok「……うん」
何となく、若井が言おうとしていることが分かってしまう。
多分、今僕と若井は同じことを考えているだろう…
Hrt「俺さ…元貴、風邪とか疲労とかじゃなくて……」
Hrt「なんか……病気なんじゃないかって思ってて……」
Ryok「……」
ほら、やっぱり。
Hrt「元貴を信じなきゃいけない…。そんなことないって、信じてるけど…
明らかにおかしいじゃん…最近」
Ryok「若井…」
Hrt「やっぱり俺は…ライブを無理やりにでも延期して、元貴を病院に行かせるべきだと思う…」
Hrt「いつか…いつか、元貴がふらっといなくなっちゃいそうで…」
若井の目から、ポロポロと涙がこぼれる。
不安で仕方がないのだろう。僕だってそうだ。
もし、元貴が何かの病気だったら…?
ただの風邪や疲労じゃなくて、大きな病だったら…?
僕たちは、どうなってしまうのだろう。
若井は、ファンのみんなが思っている以上に繊細で、心配性だ。
いつもはおちゃらけてて、なんにも気にせずに生きてるように見えるけれど。
誰よりも心配性で、繊細で…それでいて強がりで。
だからたまに、こうやって溢れてしまう。
けど、元貴の前じゃ絶対に若井は泣いたりしない。
「心配かけさせたくないから」
って
若井が安心して泣ける場所が、僕ならそれはそれでいい。
僕が若井や元貴を救えるのなら、それでいい。
若井は、この前元貴が倒れるところを見てる。
若井が自分で、あと少し気づくのが早ければ、元貴を助けれたのにって1人で落ち込んでたのも知ってる。
Ryok「若井…」
泣きなれてないのか、不器用に泣く若井を抱きしめる。
僕には…僕にはこれぐらいしかできないから…
あぁ、神様…どうか、どうか…
僕達が、ただ純粋にミセスでいられるように…どうか…
僕たちを、助けてください…
Mtk「ん…」パチ
Ryok「ぁ…元貴、おはよ。」
しばらくして、元貴が目を覚ました。
若井は僕の腕の中でひたすら泣いた後、頭を撫でていたら泣き疲れたのか眠ってしまった。
元貴が起きたら若井も起こそうかと思っていたけど、だいぶ精神がやられてるみたいだし、そっとしておいてあげよう。
眠っている若井のそばから立ち上がり、元貴の方へ歩く。
Ryok「体調はどう?少しは良くなった?」
元貴が横になっているソファのそばにしゃがみ、頭に響かないように優しく小さめの声で話しかける。
Mtk「んー…」
まだ眠りから完全に覚めれていないのか、はたまた熱のせいなのか、元貴はじーっとこちらを見つめながらYESともNOとも取れる返事をする。
Ryok「どうしたのそんなに見つめて」
Mtk「涼ちゃん、おめめ赤いよ…?」
Ryok「…!」
まさか、気づかれてしまうとは。
若井が眠った後、僕は若井を抱えたまま1人で泣いていた。
何故か、涙が止まらなかった。
よくライブやテレビ番組で泣く人だけど、基本的にメンバーの前で弱って泣くことは無かった。感動して泣くことはあったけれど。
不安なのだろうか。僕も。
若井が泣いていたように。
きっとそうなのだろうけれど、そうじゃないと自分に言い聞かせないと、やっていけない気がして。
僕まで不安がってたら、元貴も若井も不安で仕方がないだろうから。
ひとしきり1人で静かに声を殺して泣いた後、元貴に泣いた後の顔を見せられないと、メイクで目元が赤くなっているのと泣き跡を隠したはずだったのに。
本当、元貴には到底敵わないな。
Ryok「ん?あーさっきなんか目痒くて擦っちゃったからかも。」
Mtk「本当に…?」
Ryok「うん。本当。」
Mtk「涼ちゃん…無理しないでね…」
Ryok「…うん。大丈夫。無理してないよ」
Ryok「じゃあ…何かあったら相談させてね?」
Mtk「うん…もちろん。」
本当に、僕は限界になったら元貴に相談出来るのかな。
ずっと僕の奥底にある、「寂しい」って感情は何なのだろうか。
元貴と若井がいるのに。目の前にいるのに…。
けど、今…うっすらと…“独りで寂しい”と…元貴の前で思ってしまう。
Mtk「あれ…若井寝てるの…?」
Ryok「…ん?あ、」
Ryok「…ちょっと、仕事が夜遅くまであって疲れてたみたい。すごいげっそりしてたから寝かせてあげてたの。」
Mtk「そうなんだ…」
Ryok「うん。ちょっと3人でお話しよっか。若井起こすね。」
そう言って、元貴の傍から立ち上がる。
その時、後ろから声が聞こえてきた。
Mtk「涼ちゃん…本当に無理しないでね。」
Ryok「…もー!無理してないってばぁー」
Mtk「でも…」
Ryok「なーにー?元貴の方が無理してるでしょ。本当に僕は大丈夫だから。」
Mtk「…」
そうは言っているけれど、僕は元貴の方を向けない。
今、元貴がどんな表情をしてるのか、僕には分からない。
Ryok「わーかーい。起きて」
Hrt「…ん…」
Ryok「ごめんね、元貴起きたから話そ。」
ごめんね。きっと僕は今酷い顔をしているだろうから。今は元貴の方を向けない。
今の僕には、元貴のその優しい愛が…
僕には美しすぎるから…
元貴も起き上がりソファに腰かけ、僕と若井は元貴の向かい側に座る。
しばらくの沈黙の後、若井が喋り出す。
Hrt「…元貴」
Mtk「やだ。」
Hrt「ちょ、まだ何も言ってな」
Mtk「いやだ。絶対ライブ延期しよって言うんでしょ。」
核心をつかれ、若井は黙り込んでしまう。
Ryok「元貴…」
Mtk「わかってる…わかってるよ。」
元貴が何かを言おうとするけれど、その言葉は出かかって止まる。
Mtk「お願い。僕を信じて欲しい…」
Mtk「治す。絶対治す。治すから…熱下げるから…」
Mtk「お願い…これ以上期待を裏切りたくない…ファンに離れて欲しくないから…」
Ryok「…」
何も言葉が出なくなってしまう。
きっと、元貴はこれ以上ファンの期待を裏切って、ファンのみんなが離れていってしまうのに恐れているのだろう。僕が想像もつかないほどに。
Hrt「…でも…」
Ryok「わかった。」
Hrt「…涼ちゃん…」
Ryok「わかった。元貴を信じる。でも、これだけは約束して。」
Ryok「まず、明日少しでも熱があったり体調が悪かったら容赦なく延期させるからね。元貴の言い分は聞かないから。
それから、ライブ中に少しでも体調が悪くなったら僕でも若井でもサポメンでもいい。絶対に言うこと。絶対に無理はしないこと。」
Ryok「これが守れるなら、僕は元貴を信じる。」
Mtk「…わかった。約束する。」
Ryok「今日は明日に備えてもう解散にしよっか。僕と若井ディレクターに話してくるから…」
Ryok「元貴先帰っててくれる?ごめんね」
Mtk「うん…ありがとう。」
Ryok「もう…そんなに落ち込まないの。治すんでしょ?熱。僕、元貴の言葉信じるからね。」
Ryok「早く帰って早く寝ないと治んないよ。」
Mtk「うん…」
ライブ前日に熱を出したことをかなり落ち込んでいるのか、俯いている元貴の頭を撫でる。
Ryok「若井、行こっか。」
Hrt「あ…うん…」
Ryok「…と言ってましたので…」
D「まあだろうなと思ってましたよ…笑」
Ryok「すみません…少しでも不調があればライブ中だろうがなんだろうが即刻中断して帰らせるので…お願いします…」
ディレクターに向かって、深々と若井と頭を下げる。
D「いやいやそんな…顔をあげてください…」
D「明日、頑張りましょうね。」
Ryok「すみません…よろしくお願いします…。」
おかえりなさい!楽しかったでしょうか?
少し書き方を変えてみました!
以前の書き方が行の間を全然空けない書き方だったので絶対恐ろしい程見づらかったですよね…申し訳ないです…
もっとこうしたらいいなどアドバイスがあれば教えていただけると嬉しいです!
以前の小説もまた行の間少し空けて上げ直しますね…
今後こういったあとがきがたまーにあるかもしれませんが…見たくない方は全然スルーしてもらって構わないので!
それでは、また次のお話でお会いしましょう!
#Mrs. GREEN APPLE
#藤澤涼架#大森元貴#若井滉斗
コメント
2件
高熱が出てるのにライブをやるという大森さんが心配です…! そして、若井さんと藤澤さんの精神状態とかも心配ですね…🤔 少し話逸れますが、間にゼイアーの歌詞入ってますね!すごいです! 書き方、前も見やすかったけど今回はもっと見やすくなりました! ありがとうございます! 続き待ってます!🎶