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南アフリカの国立公園に、カルーというヒョウの女王が住んでいました。広大な縄張りを所持し、まさに、「女王」と呼ぶにふさわしい美しいヒョウでした。カルーはたくさんのオスと結婚し、たくさんの子供を生みました。息子たちは母、カルーの縄張りから遠く離れたところで新たな縄張りを作って生活していますが娘たちは縄張りの側に小さめの縄張りを構えている。それは母の側にいた方が心強いからだけではない。母女王が亡くなったら、その縄張りを自分がもらえるかもしれないのだ。そうしたら自分が母の後を継ぐことができます。広大な縄張りを所持する新女王となれるのです。そして今自分が持っている縄張りと母の縄張りを繋げれば母よりも大きな縄張りを持てるのです。
母女王、カルーが老衰で弱ってきた兆しが見えてきた春。ついに数十頭の娘たちが動き出しました。
まず、最初に動き出したのは末娘にして幼い頃、三つ子の二人の姉、カリンバとトゥリンバにずっといじめられていたサリンバです。サリンバは幼い頃の大喧嘩で左耳がぐちゃっと破れてしまいました。その恨みからかサリンバは三つ子の中で一番大きく縄張りを作っており、そしてすごく攻撃的な性格になってしまいました。そして母、カルーが亡くなったらその縄張りを手に入れる。そう決心していました。
サリンバはまず最初に邪魔者である三つ子の二人の姉を始末することにします。そうっとぬるい風とともにカリンバの縄張りに侵入してきました。カリンバは今は先程仕留めたインパラを木の上に引き上げて美味しく召し上がっているところです。まさか末妹が自分の縄張りを狙って侵入してくるとは夢にも思っていません。しかし、インパラを食べ終わり、木から降りると妹が侵入してきたことを知ります。カリンバが、水辺へ行くために木から降りると、高く生い茂った草から左耳が破れた小柄なメスのヒョウが飛び出してきたのです。突然の攻撃にたじろいだカリンバは逃げ出しました。サリンバは俊足で追いかけます。と、途中で何事か、カリンバが振り返りました。ビクッとサリンバは足を止めました。ううぅ、ぐるぅ と、カリンバは唸ります。サリンバも睨み返します。
そんなことが数分続き、ついに、決闘の幕が開きます。
二匹はすごい唸り声をあげ、ドッと飛びかかりました。引っかき、噛みつきます。戦いは姉、カリンバの優勢でした。そしてカリンバはサリンバの首に噛みつきました。首から紅い血がつぅっと流れてきます。と、サリンバが決死の思いで左足を振り下ろしました。それがカリンバの後頭部に直撃しました。無論、カリンバはサリンバを離せざるを得ませんでした。カリンバはその場に倒れました。後頭部に一撃を食らったので、脳震盪などを起こしてしまったのです。しかし、サリンバは慈悲をかけることなく、ずるずると引きずってカリンバの縄張りの隣、トゥリンバの縄張りの中に放り入れました。サリンバは姉、カリンバの縄張りを手に入れたのです。