テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
〜〜火曜日〜〜
〇〇「……今日は雪華か」
部屋の真ん中で、ひらひら手を振ってこっちに駆け寄ってくるのは――君守雪華。
明るくて元気で、やたらと可愛く見せる仕草を忘れないぶりっ子だ。
雪華「やっほ〜!〇〇くんとペアだなんて、今日ボクついてる〜♡」
〇〇「……いや、ただの実験だからな」
雪華「えー?なになに、そんな冷たいこと言っちゃうの?ボク、悲しくて泣いちゃうかも〜😭」
(……絶対泣かないだろ)
雪華は大げさに頬を押さえて、くるっとターン。まるで舞台に立ってるアイドルみたいだ。
雪華「ねぇねぇ、〇〇くんってさ、ボクのことどう思ってる?」
〇〇「どうって……ぶりっ子?」
雪華「ひどっ!でも正解かも〜♡ あ、でもね?こう見えてボク、真剣に人のこと好きになれるんだよ?」
〇〇「……誰がそんなこと聞いたんだよ」
雪華「え、聞いてないけど言いたくなっちゃった〜♡」
(……やっぱり“自語り”か)
雪華は次から次へと話題を出しては、自分の話に持っていく。
家で飼ってるペットの話、昨日の夢の話、昔の失敗談……。
〇〇「……なぁ、心理実験は?」
雪華「あ、忘れてたっ! じゃあボクの質問に答えてね♡」
〇〇「……質問?」
雪華「〇〇くん、好きなタイプは〜?」
(……心理実験っていうより、ただの恋バナだろこれ)
雪華「ほらほら、答えなきゃ〜♡ 言わないとずっと追いかけちゃうよ?」
にこにこと笑いながらも、目は本気。
……そういうところが、こいつの怖いところだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結局、雪華にペースを握られっぱなしの一日だった。
でも――その明るさと勢いに押されて、少しだけ気が楽になったのも事実だ。
(……正直、悪くはなかったな。)