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〜〜水曜日〜〜
〇〇「……今日は殺鬼か」
部屋の隅で、猫柄の靴下をぱたぱたさせながら、こちらを見つめてくる。
大きな瞳と満面の笑顔――桜ヶ刻 殺鬼は、どう見ても中学生くらいにしか見えない。
殺鬼「〇〇っ! 今日、妾と一緒なんじゃな!」
〇〇「……ああ。よろしくな」
殺鬼「うむ! 妾な、めっちゃ楽しみにしてたのじゃ!」
(……このテンション差、ついていける気がしない)
実験内容は「互いに好きなことを話して心の動きを観察する」――らしい。
が、殺鬼は話し始めて数秒で大暴走した。
殺鬼「妾、焼きそばパンが好きなんじゃ! あとにゃんこも好き! 〇〇は何が好きなんじゃ?」
〇〇「……別に、特にないけど」
殺鬼「えぇぇ! つまらんのぅ! じゃあ妾のことは好きか?」
〇〇「はぁ!? なんでそうなるんだよ!」
殺鬼「なんでって、聞きたいから聞いただけじゃ!」
にこにこしながらぐいっと近寄ってくる。
身長差がほとんどないから、至近距離で見つめられると妙にドキッとする。
〇〇「……やめろ、近い」
殺鬼「え〜? 妾、〇〇のこともっと知りたいのじゃ!」
(……純粋すぎて、逆に怖い)
殺鬼はそのあとも、〇〇の好き嫌いを次々と聞き出そうとする。
好きな食べ物、好きな色、好きな音楽…
殺鬼「じゃあさ、〇〇は妾と友達でいてくれるか?」
……いつもの無邪気な笑顔じゃなく、不安げに揺れる目。
その真剣な表情に、思わず息をのむ。
〇〇「……ああ。もちろん」
殺鬼「っ……やったー! 妾、めっちゃ嬉しいのじゃ!」
満面の笑顔に戻った殺鬼は、勢い余って俺の肩に飛びついてきた。
その軽さと温もりが、妙に心に残る。
その後も楽しい会話は続いた…
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(……殺鬼って、ほんと子供みたいだけど。
その裏で“友達でいたい”なんて言われると――ズルいよな)
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