──────いえもん視点──────
全員が寝静まる丑三つ時。俺は廊下を歩いている。理由は簡単。メテヲさんが心配だからだ。
あの時茶子さんの誘いを躊躇うように…いや、避けたように消えた。そもそもメテヲさんってワープとかできたのか…という今考えなくてもいい疑問は置いておく。
俺はさっきまで薄暗い廊下を平然のように歩いていたのに、今は恐怖するかのように歩くのを躊躇い始める。なぜランタンでもなんでもいいから光るものを持ってこなかったのかと後悔し始める。
…そこで気づく。メテヲさんの部屋から少しだけあかりが漏れている。
ほのかに漏れる光からは人工的な光だと言うことがなんとなくだがわかる。(確証は無い)
耳をすませば話し声のようなものも聞こえる。
俺はドアに耳を当て、その声を聞き取ろうとする。1部…というかほとんど聞こえないが何となく聞こえるようになってきた。
「─────?────ん?──…──────う─…────か─?」
──────ほとんど聞こえない。
聞こうと思うが何か膜でも貼ってあるのか何も分からない。
「う───…──────はし──い…?いや、もう1──────ャ──────☆」
「はぁ…──────────?──か、──────レ─────れ────ど…」
「な──────よ〜じ─、─────くんもう──────ン──────よ」
「…──、────。だい─────い─…や」
「な─い────〜──れ、───よ〜」
いや、ほんとに何言ってるのか分からない。もうちょっとハキハキ喋ってくれよ…なんて愚痴をこぼしかける。でも、なんとなく、いやMaybe(唐突な英語)だが、何人かで喋っているのではないだろうか?なんて考え始めると最初に出てきたのは……、まさか…暗殺者!?
そう思うといてもたってもいられなくなって、ドアを叩くように数回ノックする。
そして返事を待たないでこじ開ける。幸いにも魔法はかかってなかったようで物理的に開けることが出来た。
ドンッッと鈍い音を立ててそのドアは招かれざる客を呼び込むように開く
そこには──────人工的な光とは程遠い月光の光がメテヲさんを照らす。メテヲさんは闇と同化しそうな程黒い翼を悠々と広げ、自身を護るように翼を丸め込む。天使の輪は存在感があまりなく、縮こまり、弱々しい光を放つ。
そしてベッドの上にいるのにも関わらず少し浮いている。
俺の存在に気づいていないのか俺のことを気にも止めないでメテヲさんは小刻みに震えている。そしてブツブツと何かを呟く。
その声は消え入りそうな声だ。どれくらいかと言うと、正面になっていても聞こえないくらいだ。
「メテヲさん…?メテヲさんッッ!!!大丈夫ですかッッ!!!??大丈夫なら返事をしてください…!!!」
俺は最後らへんには縋り付くような声をあげ、メテヲさんの手を握る。手は冷たく、死人のようだった。
メテヲさんはやっと俺の存在に気づいたのか、さっきまで焦点があっていなかった目を俺の顔に合わせる。その後に部屋をくるりと見回したあと、メテヲさんは少しだけ安心感を得たのか、ほっと息が漏れ出す。
「…ごめん。かっこ悪いとこ見せちゃった…」
メテヲさんはさっきまで泣いていたのか泣きあとが頬についている。目は赤く腫れ、瞳は潤んでいる。そんなさっきまで泣いていたようだったのにメテヲさんは俺に心配させない為に空元気を振りまく。
…俺が見たいのはそんな無理やりな笑顔じゃなくて、天真爛漫な笑顔なのに
なんて言ってメテヲさんを追い詰めたら意味が無い。メテヲさんを優しく諭すようになるべく優しい声で声をかける。
「大丈夫ですよ…それよりも、大丈夫ですか?何があったんですか…?」
俺は安心させるために心配している感情を押し込め、笑顔をつくる。多分だが、今、メテヲさんが求めているのは『癒し』では無いだろうか?または、心配させたくないのではないか?と考えた結果だ。
「アハハ…まあ、ね…。えと…タバコ、吸ってもいい…?あッいや、嫌なら大丈夫…だよ?」
メテヲさんは遠慮がちにそう切り出す。瞳には否定して欲しくないような拒絶して欲しくない、みたいな負に似た感情が入り乱れているように視える。
──────メテヲさんが表に感情を出すなんて…。それがどんなに不思議でどんなに驚きか…。大変失礼だが、俺の中のメテヲさんは怒りと喜びくらいしか見たことがない。何があっても明るい、そんな人だと思ってた。
なんて、そういうのがプレッシャーだったのかもしれない。
ただ、今言えることは
──────メテヲさんは俺を信頼して弱い部分を見せてくれている。なら、俺はそれに応えるだけだ。
「大丈夫ですよ!ゆっくりでいいので教えてください。嫌なことは教えなくていいですよ。」
俺はなるべく明るい声でそう言う。今メテヲさんが欲しいのは俺が信頼できるかどうかだろう。なら、信頼してくれそうな言葉を選ぶ。
メテヲさんはありがと、消え入りそうな声で呟くように言うと、ライターを取り出す。そして、ポケットからタバコを取り出す。
その手は心做しか震えていた。震えた手で持っているライターは怪しくメテヲさんの心を逆撫でするようにゆらゆらと揺れる。メテヲさんはゆっくりとタバコに火をつける。ジジっと音を立てて、タバコは薄く黒煙をまとっていた。
メテヲさんはそれに口をつけ、ゆっくりと吸う。すると突然むせだす。
ゴホッゴホッと咳を出す。その顔は苦しそうな満たされたような慣れてしまったみたいなよく分からない感情を映し出している。
「大丈夫ですか!?無理して吸わなくていいんですよ…?」
俺は不安になって、さっきまで、ベッドの下で見上げるように座っていたが、メテヲさんの隣に座る。
「いや…。吸わないとメテヲがメテヲじゃなくなっちゃうから…」
メテヲさんの顔は月光による逆光で見えない。しかし、ひかりがメテヲさんの瞳から溢れた雫を反射させる。
まだ夜は長い──────
はい!ここで切ります。中々なシリアス展開になってきましたね…今回と次回はメテヲさんの秘密について深堀していきます。ご安心ください!めめ村メンバー全員にそれぞれ秘密がありますので…!!そして…全然めめ村メンバー集合しなくて焦ってます。ぶっちゃけこんなに物語が長引くと思ってませんでした…。わんちゃん100話とか行きますかねw?そしたら大人になった時リメイクして小説売ろうかなw?なんて夢物語を考えています。
それでは!おつはる〜
コメント
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すげえ一万行ってる!おめでとう!!!!!
小説販売これのリメイクは難しいかな?w なんか誤字ってね?