吹き付ける土砂降りの雨が右眼から溢れる血を洗い流すも、眼窩の奥から痛みと怒りがふつふつと、後から後から込み上げてくる。
「リジエール! 返事をしろ! おい! 聞こえないのか! リジエール!!」
片方しか残っていない眼は仇敵から逸らせないので、愛する夫の安否を確認出来ない。
いや、本当はもう見えなくても分かっていた。しかし脳裏を掠める答えを振り払おうと、ルシャ=ヴォータンは豪雨の中叫び続けた。
「スレイプ、グズグズするな! 早くリジエールのカバーに回れ!」
「で、ですがルシャ様……」
「泣き言を漏らす暇があったら手を動かせ! 私は命を諦め――」
『『無駄だルシャ=ヴォータン。お前の番はもう機能停止した』』
二重の機械音に眉をひそめたルシャは、威圧する様に愛槍の穂先を機神に向けた。
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