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人手はみるみる少なくなっていき、建物の影が大きくのびている。
「着きましたよ」
一つの駐車場に車を止めて、シートベルトを外しながら龍は言った。
後ろの二人を起こしてから山道へ向かう。
「ぅん”わぁぁ…眠」
「めっちゃ寝てた。龍さん運転ありがと」
「いえ全然」
コンクリートの道は段々と枯れ葉で覆われていき、進むにつれてザクザクとした音に変わってゆく。
「きたみん?こっちであってんの?」
「ん?うん、あってるあってる」
道という道もなくなった頃、奥に少し開けた場所が見えた。
「…あれ…?ここ…」
「そうそうここ!すごくね?ちょーどでっかい木一本生えてて、それが影になってひらけてんの!日当たりいいし、虫も少なそうだし…誰が見つけたんだろな?」
軽快に笑う悠征と反して、ネスは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「どうしました榊さん、何か…気になることでも?」
どこか含みのある声、表情でそう言う。
「ん?いや、別に。ちょっとなんか…うーん…」
「んま、気にせんでええんちゃう?思い出せんってことは、そこまで大事じゃないんやない?」
少し身を乗り出して言った。
大事じゃない。
たいしたことじゃない。
そう言うと、ネスは割りきったようにニパッと笑った。
探検だ!と走って行った悠征に続いて、少し足早に後をついていく。
「…魁星さん」
「大丈夫。なんかあったら…なんとかする」
「そですか」
痛む胸から顔を背けて、ボロボロの誰かの秘密基地へ歩いた。